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コラムカテゴリ男性AGA

毛髪再生医療はAGAの救世主となるか

2024/04/30
監修:三上 修

近年、毛髪再生医療が男性型脱毛症(AGA)の新たな治療の選択肢として注目されています。この方法では、人の体内から採取した細胞や、成長を促す特別な成分を使って髪の毛が生える環境を整え、健康な髪の成長を促します。はたして、この治療がAGAの治療に革命をもたらすのか、その可能性について考察します。

毛髪再生医療とは

男性型脱毛症(AGA)は、遺伝や男性ホルモンの影響が主な原因となる成人男性特有の進行性の脱毛症です。現在、アメリカの食品医薬品局(FDA)が認めているAGAの治療薬には、内服のフィナステリド・デュタステリドと頭皮に塗るミノキシジルなどがあり、日本皮膚科学会でも、これらの薬が強く勧められています。

一方で、FDAの認可を受けていないものの、AGAに効果があるとされる治療方法もたくさんあるのが現状です。その一つに毛髪再生医療があります。これには発毛のための幹細胞療法や、多血小板血漿 (たけっしょうばんけっしょう=PRP) 療法などの血液由来細胞療法が含まれます。

毛髪再生医療の種類

毛髪再生医療にはさまざまな種類がありますが、ここでは特にPRPや成長因子などを用いた注入療法について説明していきます。

PRP(多血小板血漿)を用いた毛髪再生医療

この治療法では、本人の血液から取り出した血漿を特別に濃縮し、それによって得られた高濃度の血小板を含む血漿を頭皮に注入します。この血漿には、髪の毛を作る細胞の機能低下を防ぎ、毛根の細胞が活発になるのを助けるとともに、髪が成長する期間を長くする効果があります。最近の論文では、PRPを用いた治療で毛髪密度と毛髪の直径がそれぞれ大幅に増加・拡大していることが示されました。

PFC(血小板由来成長因子濃縮液)を用いた毛髪再生医療

PRPによる治療と同様に、本人の血液から成長を助ける成分を取り出し、PRPよりも濃縮して頭皮に注入する治療法です。PFCに含まれる成長因子はPRPよりも多くなります。

HARG療法

HARG(ハーグ)療法は、Hair Re-generative therapy(毛髪再生医療)の頭文字をとったもので、脂肪由来の幹細胞から抽出した成長因子と、成長に必要なビタミン、アミノ酸を混合したHARGカクテルを頭皮に注入することで毛周期を正常なサイクルに戻し発毛を促す治療法です。本人が採血する必要はありません。

※HARG療法については、以下の記事もあわせてご確認ください。
HARG(ハーグ)療法の概要と注意点を医師が解説

メソセラピー

メソセラピーは、成長を促す成分やアミノ酸、ビタミン、ミネラル、薄毛治療薬などを頭皮に直接入れることで、薄毛の進行を止め、髪の毛を生やす効果を高める治療です。この治療法は、使用する薬剤や名称がクリニックによって異なることがあり、HARG療法とは使用する薬剤が異なります。

それぞれの毛髪再生医療のメリット・デメリット

PRP療法、HARG療法などの毛髪再生医療は、2017年の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では治療法として推奨されていません。しかし、これは効果がないということや副作用が強いからという理由ではなく、さらに研究や調査が進んで効果や安全性が確認されれば、将来的にはこの治療法が正式に推奨される可能性はゼロではないと考えられます。

PRPを用いた毛髪再生医療のメリット・デメリット

メリット

本人の血液から取り出した血漿を使うため、感染症や免疫が反応することによる副作用のリスクが低くなることです。さらに、内服薬や外用薬のように、毎日薬を使う必要もありません。

デメリット

一方で、髪の毛を作る細胞を新しく作り出すことはできないので、一度ダメージを受けて細胞がなくなってしまった薄毛の場合は、効果が期待できません。

注入による頭皮の痛み、点状出血、頭痛、灼熱(しゃくねつ)感などがあげられます。また、出血性疾患や何らかの感染症、自己免疫疾患の病歴のある一部の方は、副作用のリスクが高まるため PRP の使用を控えるべきであるとされています。

PFCを用いた毛髪再生医療のメリット・デメリット

PRPを用いた場合と同様のメリット・デメリットがあります。PRPよりも血漿を濃縮するため、一般的に治療費もPRPより高くなります。

HARG療法のメリット・デメリット

メリット

本人の採血の必要がないこと、一定期間の治療の後、年1~2回のメンテナンスで毛髪を維持できることです。

デメリット

費用が高いこと、さらにPRP療法と同じように、注入時に痛みや点状出血などを伴うことがあります。

メソセラピーのメリット・デメリット

基本的にはHARG療法と同様ですが、メソセラピーならではのメリット・デメリットもあります。

メリット

患者ひとりひとりの症状に合わせて成分をブレンドできることです。

デメリット

内服薬に含まれる成分を使用した場合、その成分による副作用が発生する可能性があることです。

毛髪再生医療の費用

毛髪再生医療は、保険診療の適応外のため自費診療となります。ここでは、毛髪再生医療にかかる費用についてご説明します。

治療法ごとの相場

AGAのPRP療法の費用相場は、1回の治療につき約5万円から20万円です。PFC療法やHARG療法の費用相場も、1回あたり数十万円となります。メソセラピーはクリニックによって注入する成分が異なるため、費用に差が生まれやすく、相場の範囲も広くなっており、6~12回で20万円~80万円となります。

以上のように、薄毛や脱毛の範囲、クリニックによって費用はさまざまです。また、これらの注入治療を効果が出るまで少なくとも月1回、かつ6カ月以上行う場合が多くなっています。

投薬治療は費用を抑えられる

AGAに対する毛髪再生医療の治療費は、内服薬・外用薬の費用相場である1カ月あたり5千円〜3万円と比較すると、かなり高額となっています。さらに毛髪再生医療の場合、クリニックに通院するための費用や時間も考慮に入れる必要があります。

AGAの治療はまず内服薬と外用薬がおすすめ

AGA治療では、費用や安全性の面を考慮すると、まず内服薬と外用薬が基本的なアプローチと考えられます。一方で、治療の選択肢はこれだけに限らず、PRP療法、HARG療法などのような注入療法も、特定の条件下では効果を発揮することが報告されています。ただし、これらの臨床試験の多くは、限られた施設において倫理審査委員会の承認を必要とする先進医療の段階にあり、安全性なども含めてその有効性が十分に検証されているとはいえません。

現時点では、AGA治療にはフィナステリドやミノキシジルといった基本的な薬を使いながら、今後、徐々に毛髪再生医療の効果や安全性が確認されてきた段階で、それらを組み合わせることが良い治療法になるかもしれません。いずれにせよ、医師ともよく相談し、ご自身の状態に合わせてカスタマイズされた治療プランのもと、最良の治療結果を目指していきましょう。 

出典

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