AGAの一般的な進行速度と進行パターンを医師が解説
最近頭髪が薄くなり「AGAかもしれない」と悩んでいる方や、すでにAGAと診断されていてこれからどのように進行するのか不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の記事では医師の辛島先生に、AGAの一般的な進行の速度、パターンについて解説していただきました。
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AGAの進行速度
AGAは、男性ホルモンのテストステロンが体内にある還元酵素・5αリダクターゼの働きによってDHT(ジヒドロテストステロン)へと変化することで起こります。DHTが前頭部や頭頂部にある男性ホルモン受容体と結合し、毛の成長に影響を与えることがAGAの原因です。それでは、AGAはどのような速度で進行していくのでしょうか。詳しくご説明します。
一般にはゆっくりと進行する
AGAの進行スピードは数日や週単位ではなく、数カ月、数年単位であることがほとんどだと考えられます。ある日急激に進行していることに気づくのではなく、毎日「なんか薄くなったかも」という程度の認識で、徐々に進行していくイメージです。
そのため、取り返しがつかなくなる前に治療に取り組める時間が、たっぷりあるともいえます。ゆっくり進行するからといって放置していると、ますます薄毛が進んでしまうので、気づいたタイミングで治療を開始するのがベストだと思います。
進行速度は個人差が大きい
AGAの進行スピードは個人によって異なります。
AGAは遺伝や加齢、生活習慣の乱れ、ストレスなど、さまざまな要因が複合しているので、それが個人差につながると考えられます。
進行速度だけでなく、治療の効果にも個人差があります。ただし、早い段階で治療を開始する方が、期待している効果を実感できるといえます。
若ければ若いほど進行は速まる?
AGAと年齢の関係性について解説します。若い年齢でのAGAは、より速いスピードで進行してしまうのでしょうか。それとも差はないのでしょうか。
年齢による進行速度の差はない
年齢がAGAの進行速度に影響することはありません。若い方でも高齢の方でも、AGAの進行速度は人それぞれです。
一部で「若いほど進行スピードが速い」といわれる理由
若い方がAGAの進行スピードが速いと思われている方が多いようですが、個人差が大きく年齢で一括りするのは難しいです。
年齢よりも遺伝要因が大きい
加齢によってAGAが進行することはありますが、それより影響が大きいのはやはり遺伝だと思います。AGAが起こる要因である、還元酵素・5αリダクターゼの活性度と男性ホルモン受容体の感度が遺伝するからです。
遺伝だけが原因でAGAが発症するわけではありませんが、もし遺伝的にAGAの可能性が高いと考えるなら、早めに治療を開始することが予防につながります。
AGAの進行パターン
AGA(男性型脱毛症)の進行パターンを識別するために「ハミルトン・ノーウッド分類」による分類が用いられます。それぞれ説明します。
O字型
頭頂部がO型に薄くなり、その範囲が徐々に広がっていくのがO字型です。
M字型
M字型では、前頭部の髪の生え際がM字に薄くなっていきます。
U字型
M字型のように額の両端が後退するのではなく、額全体が後退していくのがU字型です。
なぜこのような進行パターンなのか
AGAでは前頭部の髪の生え際がM字型、または頭頂部がO型に薄くなり、その範囲が徐々に広がっていくパターンが多いです。
AGAの発症に関与している男性ホルモンの一種DHT(ジヒドロテストステロン)は、男性ホルモン受容体に作用することがわかっています。この男性ホルモン受容体は、頭頂部や前頭部の毛根に多く存在しているので、このような脱毛パターンになるのです。
最後まで薄毛にならないのが側頭部と後頭部です。この箇所には男性ホルモン受容体が存在しないのがその理由です。
AGAの進行を遅らせる方法
AGAの進行を遅らせるためには、薬による治療が一番です。早めに治療を開始することで、効果がより実感しやすくなります。
AGA治療薬を服用する
AGAの治療薬(抜け毛の進行を抑える薬)として、クリニックで処方されるのがフィナステリドとデュタステリドです。
フィナステリドには、抜け毛の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑えて、毛周期(髪の毛のヘアサイクル)を正常に戻す働きがあります。
デュタステリドはフィナステリドよりも高い発毛効果を期待できるとされており、6カ月間の服用で、フィナステリドに比べて発毛効果が約1.6倍という臨床試験結果が報告されています。
生活習慣を整える
遺伝要因ではAGAが進行しなかったとしても、生活習慣の乱れなどが影響して薄毛を助長する可能性もあります。睡眠をしっかりとり、ストレスをできるだけ減らして自律神経を整えることが大切です。
食生活の乱れが高血圧や糖尿病などの生活習慣病につながり、血管が細くなった結果、血流が悪化し頭皮によくない影響を与えることもあります。バランスのよい食生活を心がけましょう。
過度な飲酒はAGAに直接的な影響を及ぼすといわれています。体内に取り込まれたアルコールは肝臓で分解されますが、この時にアセトアルデヒド(アルコールの代謝物)が発生し、それがDHT(ジヒドロテストステロン)を増加させて髪の毛の成長を抑制してしまうからです。そのため、アルコールを減らすことがAGAの予防効果につながるといえます。
正しいヘアケアで頭皮環境を改善
頭皮環境を整えることもAGA予防につながります。
頭皮に汚れが残っていると、皮脂が詰まって頭皮環境が悪くなり、AGAの進行が促進されてしまいます。シャンプーの時、指の腹で頭皮をやさしくマッサージするように洗うことで、清潔な頭皮を保つことができます。
シャンプーの流し残しは頭皮の皮脂が詰まる原因になるので、しっかりと洗い流すこともポイントです。また、髪の毛を乾かさないで寝ると、キューティクルが失われ切れ毛につながります。シャンプー後は必ず乾かしてから寝るようにしましょう。
進行速度を抑えるためにも受診を
AGAの進行速度には、年齢よりも5αリダクターゼの働きが大きく影響しています。
遺伝リスクや正しいヘアケアの方法などを知ることが、AGAの予防や進行抑制につながります。生活習慣や食習慣も、AGAの原因となるホルモンバランスに影響しています。
しかし、本気でAGAを予防したい方、進行速度を抑えたい方はやはりAGA治療薬を服用するのがベストだと思います。早めに治療を開始することによって、悩みが解消されるかもしれません。ぜひ一度クリニックを受診してみてください。
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