AGA治療をやめるとどうなる? 一生薬を飲み続けないといけない?
「薄毛が気になってしょうがない」「ぜひAGAの治療を始めたい」
そんな方々のお悩みとして、「治療を始めるのはいいとして、その後の治療は一生続ける必要があるの?」という声をよく聞きます。
今回の記事では、AGA(男性型脱毛症)をオンラインで診療されている三上先生に、AGAの治療経過とその後の治療継続の必要性についてお話を伺いました。
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- 適正な監修プロセス
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- コンテンツ作成基準の明確化
AGAのお薬(飲み薬/外用薬)に期待できること
AGAのお薬としては以下に紹介する4つのタイプがよく使われています。
これらは、
- 抜け毛を防止してくれるフィナステリド/デュタステリド
- 発毛を促進させるミノキシジル
- サプリメント
に大きく分けられます。
もともとは血圧を下げるために使われているお薬も
フィナステリドとデュタステリドは、日本でもAGAの治療薬として認可され広くAGA治療に用いられています。ミノキシジルは海外で高血圧治療薬として承認されているお薬で、その血管を拡張させる作用が発毛にも好影響を与えます。
4つのタイプを組み合わせて治療をする
AGAの治療では、患者さん個々の状態やご希望に応じて、これらのお薬を組み合わせながら治療を行います。フィナステリドとミノキシジルの配合剤も作られています。
【1】フィナステリド/デュタステリド[内服]
フィナステリドには、頭皮で髪の成長を抑制するDHT(ジヒドロテストステロン)が産生されるのを抑える働きがあります。DHTが多くなると髪の毛がうまく成長できず、成長する前に抜けてしまいます。その結果、通常2~6年の髪の毛の周期が短くなり、薄毛が進行するのです。
DHTは、男性ホルモンであるテストステロンが酵素(5α還元酵素)と結合することで産生されますが、フィナステリドを飲むことでこの酵素を抑制することができるのです。
デュタステリドも同様のメカニズムで効果を発揮しますが、フィナステリドに比べてDHT阻害作用が大きいため、より強力な効果が期待できます。
【2】ミノキシジル[内服]
全身の血管を開いて血流をよくすることで、毛根に栄養を行きわたらせて発毛促進作用を発揮します。
毛母細胞を刺激して発毛因子(IGF-1やVEGF)の産生を促す作用や、毛母細胞に栄養や指令を送る毛乳頭細胞を増殖させる作用もあることも知られています。
一方で、その作用が全身的なことから毛髪だけではなく体毛も増えるということになります。
【3】ミノキシジル[外用]
ミノキシジルの飲み薬が全身に作用するのに対して、発毛促進作用を必要な頭皮にだけ作用させようというのが外用薬です。
ただし、ミノキシジルを飲み薬として体の中に入れたときのような毛根に対する作用が発揮されるかどうかは、個人差があるようです。
【4】サプリメント[内服]
サプリメントにはL-リジンや亜鉛、ビタミンを含む物が主流です。
L-リジンは、髪の原料となる必須アミノ酸です。他にも髪の毛によいとされる亜鉛やビタミンBを含有しています。毛髪のハリ・コシを保ちたい、ボリュームが気になるという方は、他のお薬に加えて服用するのがおすすめです。
お薬による治療の時間経過
フィナステリドまたはデュタステリドという抜け毛防止薬と、ミノキシジル(飲み薬)という発毛促進薬を組み合わせた基本的な治療を行った場合の時間経過についてご紹介したいと思います。
治療スタートから2~3カ月頃の初期脱毛に注意!
まずご注意いただきたいのが治療を始めて2~3カ月頃までに起こる初期脱毛*です。これは、お薬によって新しい元気な髪の毛が生えて来るまでに3カ月程度を要するのに対して、その間も新陳代謝によって古い傷んだ髪が抜け続けるために起こります。
*初期脱毛の時期や抜け毛の量は個人差があります
初期脱毛は言わば「髪の生え変わり」の期間です。ここでお薬の服用を止めてしまうと治療によって、髪の毛が抜けただけという残念な結果となってしまいます。頭皮の中で新しい元気な髪がスクスクと育っているところを想像しながら、この期間を乗り切っていただきたいと思います。
※初期脱毛については、以下の記事もあわせてご確認ください。
【疑問に医師が回答】「AGA治療を開始して4週間、抜け毛が増えたけど大丈夫?」
原状回復を経て、増毛期に
最初の2~3カ月の初期脱毛の期間を抜けて原状回復を遂げた後は、4カ月目、5カ月目、6カ月目とお薬の効果を実感できる成長期に入ります。
初期脱毛を乗り切って髪の成長期を実感していただくために、ビフォーアフターで写真を撮っていただくようにお願いしています。最初の状態と原状回復を遂げた段階、そして少しずつ髪の毛が増えていく経過を写真に記録しておくことで、治療効果を実感していただきやすくなります。
再診によって治療経過をチェック
髪の毛が増えていく、治療開始から5カ月目を目途にもう一度受診していただくとよいと思います。
お薬で実際にどのくらい髪の毛が増えていくかは個人差が大きいものです。5カ月目頃の段階で状態を確認させていただき、患者さんのご希望も伺いながら、そのままの治療を続けていくか、お薬を変更あるいは追加するかを判断しています。
12ヵ月目ぐらいまでは毛量が増えていく
4~6カ月目にお薬がうまく効いてきた方は、その後も12カ月目ぐらいまでは毛量が増えていくという印象を持っています。
そして、その後は増えた毛量をそのまま保っていく維持期へと入っていきます。
■AGA治療の時間経過(イメージ図)
お薬を止めるとまた髪の毛は抜け始める
維持期と言っても、お薬の作用によって毛量が保たれていますので、お薬を止めてしまうとまた髪の毛は抜け始めます。
フィナステリド/デュタステリドによる抜け毛防止作用、ミノキシジルによる発毛促進作用は、それを服用している間だけ効果が発揮されます。維持期に入った段階で、さらなる増毛を希望される場合は、
- お薬を追加する
- あるいはお薬をより強いものに変更する
ということになります。
AGAのお薬はいつまで飲み続ければよいのか
お薬をいつまで飲み続けるかについては、患者さんのご判断によるところが大きいです。
せっかく増えた髪の毛をそのまま維持していきたいという方もいらっしゃいますし、目的を達したので一旦お薬の服用を休まれるという方もいらっしゃいます。
毛量を維持するために治療を継続される患者さん
実際、私がAGAの治療にかかわるようになって最初に治療を始めた患者さんの中には、その前から合わせて5年以上お薬の服用を継続されているという方もいらっしゃいます。
お薬の用量を減らしながら、できるかぎり毛量の維持を目指される患者さん
今のままの治療をずっと継続していくのではなく、お薬代を抑えながら治療を続けていくひとつの方法として、お薬の用量を減らすという方法があります。
お薬を服用することで得られた効果を「ゼロ」にしてしまうのではなく、少しでも維持していこうという考え方です。
お薬の種類を減らす患者さん
お薬代を抑えながら治療を続けていくもうひとつの方法として、3剤服用していたお薬を2剤にする、2剤を1剤にするという方法があります。
いずれにせよ、当然ながらお薬の総合的な効果は弱まりますが、継続するお薬による治療効果は維持されます。
結婚式を満足した状態で迎えたかった患者さん
ある患者さんは、結婚式に向けて髪の毛を増やしておきたいと治療を開始され、満足された状態で結婚式を迎えられたということで、一旦、治療を止められています。
私のこれまでの経験上、お薬を飲んで効果が得られた患者さんは、しばらくの休薬を経て、また服用を開始することで同じような効果が得られています。
この患者さんは、今後もお子さんが生まれるとき、お子さんの入学式など、人生のイベントに向かってまた治療を再開されるのではないかと思っています。
定年退職を迎えてその後は年相応でよいとおっしゃる患者さん
また、それまで長く治療を続けて来られた患者さんが、定年退職を機に治療に区切りを付けられたということもありました。
これからは年相応に人生を謳歌していきたいとおっしゃっていました。
まずは治療を始めて、経過の中で継続の仕方を考える
20代から40代の抜け毛が気になり始めた方、薄毛が進行している方、そして50代になって家族から薄毛を指摘されたというような方まで、多くの方がAGAの治療を始められています。
薄毛が気になる方は、まずは一度、気軽に診療を受けていただければと思います。そして、治療を開始・継続していく中で、
- いつまで治療を続けていくのか
- 治療を強化するのか
- もしくは減量・減薬するのか
以上について考えていただければよいのです。
目的を達して一旦治療を止められた方が、何かのきっかけでまた治療を再開されるというケースも日々経験しています。AGA治療は自信を取り戻すためのステップであり、また患者さんご自身の価値観も重要となります。私たち医師は、患者さん一人ひとりのストーリーやライフスタイルに寄り添い、適切な治療でサポートします。薄毛にお悩みの方は、ぜひ最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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