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コラムカテゴリ男性AGA

喫煙でAGAリスクが1.8倍に? タバコはやめるべき?

2024/05/15
監修:三上 修

喫煙は、がんや脳卒中、心臓病やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など、さまざまな病気の原因であることがわかっています。なんとなく髪にも悪そうなイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。今回は喫煙が男性型脱毛症(AGA)にどう影響するのかについて解説します。

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タバコを吸っている人はAGAになりやすい?

AGAとの関係を調べた研究はそれほど多くはありませんが、一般的にも「タバコは薄毛に影響するのでは?」と考えられています。では、喫煙者はどのくらいAGAになりやすいのでしょうか。

喫煙経験がある人はAGAになりやすい

最新の研究では、喫煙経験がある人は一度も喫煙経験がない人と比べて、約1.8倍AGAになりやすいことがわかりました。この研究では、喫煙経験がある人と一度も喫煙経験がない人を比較していますので、長年タバコを吸っている人はよりAGAになりやすい可能性があります。

また、1日にタバコを少なくとも10本以上吸う人は、1日10本未満の人と比べて、約2倍AGAになりやすいことも報告されています。

※いずれの図も「Gupta AK, et al. J Cosmet Dermatol. 2024;23(4):1446-1451.」を参考に作成

さらにイタリアにおける調査では、現在タバコを吸っておりかつ肥満の人は、そうでない人と比べて約6倍AGAの重症度が高くなることが明らかになっています。

すべての喫煙者がAGAになるわけではありませんが、喫煙者はAGAになりやすいといえそうです。

では、なぜ喫煙者はAGAになりやすいのでしょうか。

原因①:頭皮の血流悪化による発毛抑制

原因の一つとして考えられるのは、喫煙によって頭皮の血管が収縮し、血液の流れが悪くなってしまうことです。

血液の流れが悪くなると、発毛するのに必要な栄養が毛根に十分行き渡らなくなるほか、タバコに含まれる有害物質による障害が発毛を邪魔するものと考えられます。

原因②:DNAの損傷による発毛抑制

次に考えられているのは、タバコの煙から取り込まれるニコチンが毛根の細胞に働き、DNAを傷つけるというメカニズムです。毛根で発毛を促すDNAが傷つけられることにより、発毛が抑えられてしまうものと考えられます。

原因③:酸化ストレスによる毛根の炎症

また、喫煙によって起こる酸化ストレス*が毛根の炎症を引き起こすことにより、毛根そのものが傷つけられ、発毛しづらい状態になる可能性が考えられています。

*酸化ストレス:活性酸素と呼ばれる物質が体内で増えた状態。喫煙によって増えることがわかっている。

原因④:ジヒドロテストステロンの増加

さらに喫煙者では、非喫煙者と比べてAGAの原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)の血中濃度が14%高くなることが報告されました。

DHTは男性ホルモンであるテストステロンが体内で変換されたもので、髪の毛の成長を阻害し抜け毛を増やします。

AGA治療薬であるフィナステリドやデュタステリドは、テストステロンをDHTに変換する5α還元酵素の働きを抑えることにより、毛根のDHTの量を減らして効果を発揮しています。

■DHTによるAGAの発生メカニズム

このように喫煙はさまざまなメカニズムでAGAを引き起こすものと考えられます。

タバコはやめた方がいい?

タバコを吸っている人がAGAになりやすいことはわかりましたが、
「もうAGAになってるし、今更タバコをやめてもしょうがないよね?」
と考える人もいらっしゃるかもしれません。このパートでは喫煙がAGAの進行に関係しているかについて解説します。

AGAと喫煙の関係

喫煙経験がある人は、一度も喫煙経験がない人と比べて約1.3倍AGAが進行しやすいことがわかりました。ただし、タバコを吸う本数はAGAの進行に影響しませんでした。

AGAの進行と喫煙の関係については、まだよくわかっていないことも多く、AGA治療のために禁煙した方がよいかどうかは結論が出ていません。しかし喫煙は、がんや脳卒中などの他の病気の原因であることは証明されていますので、可能であれば禁煙、節煙に挑戦することをおすすめします。

AGA治療は禁煙だけではなく全体的な生活習慣の改善を

今回は喫煙の話が主でしたが、喫煙以外の生活習慣も髪の健康に影響します。早期にAGAになった人を調べてみたところ、喫煙のほかに不健康な食生活、肥満などが原因となっていることがわかりました。また、メタボリックシンドロームや心血管疾患、糖尿病、高コレステロール血症といった生活習慣病を発症する可能性が高いことも明らかになっています。

喫煙や食生活、肥満は生活習慣病の危険因子として知られていますが、同時にAGAの危険因子である可能性もあります。AGA治療のためには、メタボリックシンドローム対策を意識した生活習慣の改善が必要かもしれません。

■AGAを取り巻く生活習慣病
そして、AGAの原因になる生活習慣は喫煙や食生活だけではありません。睡眠不足や運動不足、お酒の飲み過ぎがAGAの原因になるという報告もあります。

よりよい治療効果を得るためにも、薬の使用にプラスして、喫煙、食事、睡眠、運動といった生活習慣を見直してみましょう。

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