毎朝のコーヒーが薄毛に影響する? カフェインとAGAの関係性
コーヒーは嗜好品として人気が高く、日常的に飲まれている方は多いと思います。また、最近ではカフェインが多量に含まれているエナジードリンクを飲む方も多く、以前に比べて日常的にカフェインを摂取する機会が増えています。
コーヒーは体に良いという情報も数多くある一方、髪の毛にとっては悪影響であるという噂もあります。実際のところ、コーヒーは髪の毛にとってどのような影響を与えるのでしょうか。
今回はコーヒーと薄毛との関係について解説していきます。
適量であればコーヒーを飲んでも薄毛にはならない!
薄毛の原因はさまざまなものがありますが、男性の薄毛で一番多いのは男性型脱毛症(AGA)です。
AGAによる薄毛は男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)によるものです。コーヒーに含まれるカフェインが直接薄毛を促すということはありません。適量のコーヒーは体にとってプラスの面もあり、薄毛には影響がないといえるでしょう。
しかし、睡眠時間や飲食物から摂取する栄養素は少なからず薄毛に影響を与えることが知られており、多量のコーヒーを飲むことで髪の毛にマイナスとなる可能性があります。この点については後ほど詳しく解説します。
カフェインが髪の毛に与える影響
適量のコーヒー摂取は薄毛に影響がないと伝えましたが、コーヒーに含まれるカフェインは実際に髪の毛にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。ここではカフェインが髪の毛に与える良い影響と悪い影響、それぞれについて解説します。
過剰摂取が亜鉛・アデノシンの吸収を妨げる
カフェインを過剰摂取すると、いくつかの栄養素の吸収が妨げられることがあります。代表的なものとして亜鉛とアデノシンの2つが挙げられます。2つの栄養素の働きについて解説します。
亜鉛
髪の毛はケラチンと呼ばれるタンパク質が主な成分です。亜鉛はケラチンを作り出すために必須の栄養素です。牡蠣・レバー・大豆・煮干し・カシューナッツなどに多く含まれていますが、カフェインの過剰摂取により亜鉛の吸収が阻害されることが知られています。
アデノシン
アデノシンは、体の細胞が活動するうえで必要なエネルギー代謝に関わっています。頭皮の血流を改善し、発毛を促す効果があるとされています。アデノシンが含まれた外用剤は、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」でもAGAの治療法として「推奨度B(行うよう勧める)」となっています。
過剰なカフェインは、このような髪の毛に大切な2つの栄養素の吸収を妨げてしまうことがあるので注意が必要です。
眠りの質が低下する
先ほど触れたアデノシンは眠気を誘発することが知られています。カフェインはアデノシンの働きをブロックする働きがあり、その結果眠気を感じにくくなってしまいます。またカフェインは人が活動する時に働く神経である交感神経を優位な状態にする作用もあります。
このように、過剰なカフェインは体を覚醒する状態に誘導するため、眠りの質が低下してしまう恐れがあります。
ストレスを軽減させる
カフェインは体にとって悪い影響ばかりではありません。
ストレスや緊張している状態を改善するリラックス効果や、疲労感を軽減させる効果が知られています。適切な量のカフェインであれば悪い影響はほとんどなく、体にとって良い影響が生じることもあるといえるでしょう。
コーヒーに含まれるその他の成分が髪に与える影響
コーヒーにはカフェイン以外にもポリフェノールやタンニンといった成分も含まれています。
ここではポリフェノールやタンニンが髪の毛に与える影響について解説します。
ポリフェノールが血行を促進
ポリフェノールは抗酸化物質の1つであり、体に有害な活性酸素を除去する働きがあります。赤ワインや緑茶に含まれており、コーヒーには赤ワインと同じくらいの量(緑茶の約2倍量)が含まれています。
コーヒーに含まれているポリフェノールはクロロゲン酸という物質です。クロロゲン酸は動脈硬化を予防し、血管を健康な状態に保つのに役立ちます。またクロロゲン酸は血行を促進する作用があり、栄養や酸素を髪の毛により送りやすくなります。
タンニンが亜鉛の吸収を阻害する
タンニンもポリフェノールの1種です。クロロゲン酸と同様に抗酸化作用がある一方、亜鉛の吸収を阻害するといったデメリットも存在します。
先ほど説明したように、亜鉛は髪の毛にとって必要な栄養素の1つです。コーヒーの過剰摂取はせず、適切な量を飲むことでコーヒーのメリットを最大限に生かすことができます。
一日に飲むことができるコーヒーの目安量は?
コーヒーは髪の毛にとって良い面も悪い面もあるため、適切な量を飲むことが大切です。それでは適切な量とはどれくらいなのでしょうか。カフェインの摂取量をもとに1日に飲めるコーヒーの量について解説します。
米国食品医薬品局(FDA)によると、健康な大人が1日に摂取するカフェインは400mgまでであれば健康への悪影響はないとしています。ヨーロッパやカナダでも同様の見解が発表されています。
コーヒーカップ1杯(150ml)に含まれるカフェイン量は80〜90mgです。そのため1日に飲んでも問題のないコーヒー量は4〜5杯となります。
しかし、ここで1つ注意が必要です。カフェインはコーヒーだけでなく、紅茶や緑茶、エナジードリンクなどにも含まれています。これらの飲料も飲む場合は、トータルのカフェイン量を考慮する必要があります。
飲食物が原因で薄毛になる可能性は低い
コーヒー以外の飲食物は薄毛とどれくらいの関連性があるのでしょうか。
髪の毛はタンパク質でできており、そのほかにも亜鉛、ビタミンなどさまざまな栄養素が髪の発育に関わっています。
AGAのメカニズムは判明しており、主に影響を及ぼしているのは栄養素ではなく男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)です。そしてAGAのなりやすさには遺伝的要因が関わっていることも知られています。
極端な食事内容・生活習慣であれば薄毛に影響はあるかもしれませんが、通常の生活を送っていれば栄養だけで薄毛になる可能性は低いといえます。AGAによる薄毛でお悩みの場合は、食事・生活習慣を見直すだけでなくクリニックでの治療が必要です。
※薄毛対策を意識した食事内容については、以下の記事もあわせてご確認ください。
【医師監修】薄毛対策におすすめの食べ物13選 積極的にとりたいのはこれ!
コーヒーは基本的に薄毛には関係ない。しかし飲み過ぎには注意を
今回はコーヒーと薄毛の関係について解説しました。現時点でコーヒーおよびカフェインと、薄毛とは直接的な関連はありません。適度な量のコーヒーを飲むことはさまざまなメリットもあります。
しかし、過剰なカフェイン摂取で生活習慣が乱れると、頭皮環境が悪化する可能性はありますので飲み方には注意しましょう。
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