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病院へ行くべき? AGAのセルフチェック方法と診断基準を医師が解説

2023/12/25
監修:中谷 英巴

薄毛の原因はAGAかもしれない、とお悩みの方へ。手軽にセルフチェックを行うための9項目をご紹介します。当てはまる項目が多い場合は、早めの受診をおすすめします。反対に、特に心配のいらない薄毛・抜け毛もありますので、あわせてご確認ください。

自分で確認する際のポイントや病院での診断基準について、AGAを専門とする医師の中谷先生に詳しく伺いました。

ここを確認!AGAのセルフチェック項目9つ

ある日、鏡を見て「もしかしてこれは薄毛が進行しているのでは」と気になった方は以下のセルフチェック項目を確認してみてください。もし、当てはまる項目が多い場合は早めにクリニックを受診しましょう。

起床時の枕元やシャンプー時の抜け毛が増えた

毛髪は合計で10万本くらい生えているといわれています。その中で1日に抜けるのは通常40〜70本程度です。

抜け毛の本数を正確に数えるのは難しいですが、朝、起きたときに枕元に落ちている抜け毛が増えたと感じる方、シャンプーなどの際にお風呂の排水溝にたまる抜け毛が多いと感じる方は、もしかしたらAGAが進行しているサインかもしれません。

前頭部の生え際が後退している

AGAによる脱毛の進行パターンはいくつかに分類されています。日本では「ハミルトン・ノーウッド分類」と「高島分類」を合わせて判断することが一般的です。「ハミルトン・ノーウッド分類」はおもに欧米人のAGAの進行パターンです。これを基に日本の皮膚科医の高島氏が日本人男性向けに修正した「高島分類」を加え、判断されています。明確に「何センチ進んだらAGA」という定義はありませんが、前頭部の薄毛が進行するのがAGAの特徴で、生え際の両サイドから薄毛が始まり中央に広がっていきます。

また、髪の毛が細くなり産毛のようにになってしまっているというのも、AGAが進行している判断材料になります。今まではしっかりと生えていた部分の毛が薄くなっていたら、AGAの可能性が高いと考えられます。

頭頂部やつむじ部分が薄く地肌が多く見えるようになった

頭頂部やつむじ部分は、AGAが起きやすい部分です。ただ、生え際より症状の進行がわかりにくいので、家族や理容室・美容室で指摘される場合が多いようです。

自分よりも他の人の目が届きやすい場所のため、もし指摘してくれる人がいたら、それを参考にAGA治療も視野に入れましょう。

産毛のような細い髪や短い髪の毛が増えてきた

AGAはヘアサイクルの乱れによって起こります。髪の毛の成長サイクルには、順に成長期、退行期、休止期、脱毛期がありますが、ヘアサイクルが乱れて髪の毛が十分に成長しないうちに退行期となることで薄毛が進行してしまいます。

生え際や頭頂部の髪の毛が細くなっていたり、短い髪の毛が増えてきたら、AGAが進行している証拠なので要注意です。

AGAの進行に伴い、髪の毛の質も変わります。今までしっかりとした髪の毛が生えていた場所に柔らかい赤ちゃんのような毛が生えてきた、抜けた髪の毛が短いなどの症状が見られたら、一度クリニックを受診してもよいかもしれません。

親族(特に母方の家系)に薄毛の人がいる

薄毛の進行には男性ホルモンが5αリダクターゼという酵素によりジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることが関与しています。

つまり、5αリダクターゼの活性度が高いと、DHTを過剰に生成してしまい、薄毛が進行しやすいと考えられます。5αリダクターゼの活性に関わる遺伝子は常染色体上にあり、優性遺伝です。両親のどちらかからその遺伝子を受け継いでいると、AGAが進行する可能性が高いといえるでしょう。

また、男性ホルモン受容体の感受性も個人差があり、感受性が強いほどDHTに強く反応するため抜け毛が進行しやすくなります。女性はXX、男性はXY性染色体を持っており、男性のX染色体は母由来、Y染色体は父由来です。男性ホルモン受容体の感受性に関わっているのはX染色体であることから、母方の遺伝子の影響が大きいといわれています。

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同年代の人と比べて髪の量が少ない気がする

AGAの世代ごとの発生率を見てみると、20代で10%、40代までに発症する確率が30%、50代までに発症する確率が50%といわれています。最近は10〜20代でAGAを発症する人が増えています。ストレスや生活習慣の乱れも薄毛の原因になりうるので一概にAGAとはいえませんが、額の広さや頭髪のボリュームのなさが気になる方は遺伝や生活習慣などでAGAが進行している場合があるので、一度AGAクリニックを受診することをお勧めします。

食生活が乱れ、脂っこい食べ物や炭水化物中心の食事になっている

毛髪はタンパク質で構成されているため、タンパク質の摂取が少ないと毛髪の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

ミネラル、亜鉛、ビタミンBなどもしっかり摂取するようにしましょう。亜鉛はレバー肉、卵、納豆、ナッツ類に、ビタミンBは豚肉や野菜に含まれています。これらの栄養素はAGAのサプリメントにも含まれている栄養素です。

逆に、糖質や脂質を過剰に摂り過ぎると、血管の状態が悪くなり頭皮に十分な血流が行き渡らず、毛髪が成長する頭皮の土台の環境が悪化しやすくなってしまうので気をつけましょう。

仕事や私生活でストレスを感じている

AGAとストレスの直接的な因果関係ははっきりしていませんが、ストレスで抜け毛が助長される可能性は高いと考えられます。自律神経のバランスが乱れるとホルモンバランスが乱れ、その結果、皮脂の分泌量が増えて頭皮環境が悪くなることが考えられます。

また、ストレスがあると交感神経が優位になりやすく、血管が収縮してしまいます。そうなると血流が悪くなり頭皮の環境としてはよくないです。ストレスは溜め込まずに発散できるようにしましょう。

タバコを吸っている

喫煙によってニコチンや二酸化炭素が体内に入ると、血管が収縮して全身に酸素が届きにくくなります。髪の毛の成長と脱毛をコントロールしている毛乳頭細胞にも、酸素が届きにくくなって、発毛には不利になってしまいます。

また、喫煙者は非喫煙者と比較してDHTの数値が高かったと報告する論文もあります。

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心配しなくてもよい症状・兆候

生え際や頭頂部の薄毛が進行するのはAGAである可能性が高いですが、異なる箇所の部分的な抜け毛や、全体的に抜け毛が進んでいる場合は下記の原因の可能性もあります。

①ヘルメットなどで圧迫されるなど長時間毛髪に刺激が加わることで脱毛が進む「機械性脱毛症」
刺激を取り除くことで改善できます。

②円形の脱毛班ができるため比較的見分けやすい「円形脱毛症」
自己免疫の関与が示唆されているので、薬剤での治療になります。

また、薬の影響で髪の毛が抜ける「薬剤性脱毛症」もあります。服用している薬の副作用については、主治医の先生に相談することをおすすめします。

クリニックでのAGA診断基準

AGA治療は必須ではありませんが、将来的なリスクを知り早めに対応しておくと安心です。クリニックでは視診・問診・触診がメインですが、色々な検査を扱っているところもあります。ここでは、クリニックでのAGA診断基準についてお伝えします。

AGAが疑われる場合は、クリニックを受診

AGAは進行性の疾患のため、AGAが疑われる場合は早くクリニックを受診した方がよいでしょう。そして、早めにリスクや症状に合わせた治療を始めることをおすすめします。

クリニックにおけるAGAの検査と診断基準

AGAの明確な基準はありませんが、基本的な指針があります。それは「髪の毛が抜ける場所」と「髪の毛の質の変化」です。

生え際や頭頂部の髪の毛が抜ける、毛髪が細く短くなっている場合、医師がAGAと診断することが多いです。拡大鏡やダーモスコピーで頭皮をより詳しくチェックすることができるクリニックもあります。

また、毛髪のホルモン量を計測し、AGAのリスクがあるかどうかを見る検査もあります。こちらはあくまでリスクを測定するだけの検査のため、ホルモン量が多いからといってAGAが絶対に起こるというわけではありません。

遺伝子検査(血液検査)で「アンドロゲンレセプター遺伝子」について検査する方法もあります。この検査では男性ホルモンに対する感受性を予測し、AGAを発症しやすいかどうかを知ることができます。

AGAは進行性の疾患。早めの受診を

AGAに明確な診断基準はありませんが、医師による基本的な診断指針は存在します。セルフチェックも大切ですが、「AGAかな?」と自己判断して不安や悩みを抱えるよりも、早めにクリニックを受診して的確な治療を始めることをおすすめします。

AGAは予防や治療ができる症状です。正しい対処法で健やかな髪の毛を保つことができたらいいですね。

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