薄毛は遺伝する? 確率はどれくらい? 遺伝の仕組みを医師が解説
「両親や祖父母の薄毛は遺伝する?」と気にされている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。今回の記事では、薄毛や抜け毛を専門とする医師の先生に、薄毛と遺伝の関係性や遺伝の仕組みについて詳しく話を伺いました。
最近薄毛が気になる方、これから薄毛対策しようとしている方はぜひご一読ください。
男性の薄毛の多くはAGAによるもの
男性が悩む薄毛の8〜9割は男性ホルモンの影響によって起こるAGA(男性型脱毛症)で、その原因は遺伝です。 AGAのメカニズムをおさえながら、その理由を解説します。
AGAは、男性ホルモンのテストステロンが体内にある還元酵素・5αリラクターゼの働きによって、DHT(ジヒドロテストステロン)へと変化し、DHTが前頭葉や頭頂部にある男性ホルモン受容体と結合することで、毛の成長に影響を与えます。
AGA以外で薄毛の原因となるのは、生活環境や外的要因です。食生活の乱れや睡眠不足、ストレスといった生活要因だけでなく、シャンプーやワックスなどのヘアケア剤も影響することがあります。
また、紫外線などの外的要因などによって、薄毛が進行することもあります。
薄毛の原因によって対策や治療法が異なるので、原因を明確にして適切な治療法を選択することが大切です。
薄毛(AGA)は遺伝する?
生え際や頭頂部の薄毛が目立つ方や、若い頃から薄毛で悩まれている方の中には、遺伝が原因でAGAを発症している方がいる可能性が考えられます。
AGAは遺伝が原因ですが、還元酵素・5αリラクターゼの活性度と男性ホルモン受容体の感度が遺伝します。
5αリラクターゼの活性度は個人差があり、活性化のしやすさは遺伝で受け継がれます。男性ホルモン受容体の感受性も、5αリラクターゼと同様に個人差があり、感受性が強いほどDHTと強く結びつくため、よりAGAのリスクが高まります。
AGAが遺伝する確率
薄毛の遺伝子を持つとされるX染色体は、母方の祖父母や曽祖父母の遺伝子情報も引き継ぎます。
具体的な確率としては、母方の祖父が薄毛の場合で約75%、母方の祖父と曽祖父ともに薄毛の場合で約90%というデータがあります。
母方・父方、どちらの家系から遺伝する?
一般的に、薄毛の遺伝子は母親の遺伝子(X染色体)から引き継がれるといわれています。
母方に薄毛の人がいるからといって必ずしもAGAになるということではありませんが、母方に薄毛の人がいない人に比べるとAGAを発症する確率は極めて高いといえます。
母方に薄毛の人がいなくても、稀に父親の薄毛が遺伝するケースもあります。
遺伝の確率が高いと判断した時にやるべきこと
血のつながった兄弟でもAGAが同じように発症するわけではありません。AGAの要因は必ずしも遺伝だけというわけではなく、個人差があります。
大切なのは、AGAの症状が見られたら早めにアクションを起こすことです。
AGAクリニックを受診し、薄毛の原因がAGAと認められたら薬を使った治療を始めましょう。治療をするなら、早めのタイミングで開始することをおすすめしますが、症状がないのに「遺伝しているかもしれない」という不安だけで治療する必要性はありません。
遺伝の可能性が低くとも薄毛のリスクはある
薄毛の原因としては、AGA以外に円形脱毛症や脂漏性皮膚炎も考えられます。
円形脱毛症は、脱毛している場所が部分的であることが多い疾患です。AGAはおでこや頭頂部に起こりますが、円形脱毛症は頭皮のどこにでも起こりえます。かゆみがあったりフケが多い場合は、脂漏性皮膚炎の可能性が考えられるため、皮膚科を受診しましょう。
新型コロナウイルス感染症による後遺症も薄毛・抜け毛が見受けられることがあります。経過をみることで自然に症状は改善することも多いですが、クリニックに行って相談をしてみると安心感を得られるかもしれません。
薄毛の原因が判断しづらい場合は、まずは皮膚科に行ってみるのもひとつの方法です。
薄毛に悩む方はクリニックへ相談を
AGAの薬は自由診療でしか処方できません。少しでもAGAではない可能性があるなら、まずは保険診療のクリニックで相談してみるとよいでしょう。AGAが認められた場合は治療が可能です。クリニックで正しい対処法をアドバイスしてもらいましょう。
AGAは遺伝要素が大きいが、必ずしも発症するわけではない
今回は薄毛の遺伝についてお話をしましたが、家族に薄毛の人がいてもAGAを発症しない方もいますし、家族で薄毛の人がいなくても自分ひとりだけが薄毛という方もいます。
遺伝だけが原因で必ず発症するわけではありません。遺伝を気にするよりも「遺伝でAGAの可能性が高い。早めに治療を開始しよう」とポジティブに捉えてみてはいかがでしょうか。
薄毛の原因はさまざまですが、まずはその薄毛がAGAによるものかどうかを知り、AGAであればできるだけ早く治療をスタートすることが大切です。遺伝だからと諦めず、まずはクリニックに相談をしてみましょう。
スマホやPCで、お好きな場所から医師の診察を受けられます。
問題が解決しない場合は、
こちらからお問い合わせください。