毛根が死滅したら毛は生えない? 休眠状態ならどうなる?
薄毛の進行が気になっており、「もしかしたら、毛根が死滅しているのでは?」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の記事では、毛根が死滅するメカニズムや休眠状態との違いなどについて、医師の中谷先生にお話を伺いました。
毛根が死滅する理由
先にお伝えしておくと、毛根が自然に死滅することはほぼありません。以下で詳しく説明させていただきます。
毛根とは
毛髪には、皮膚から出ている部分と皮膚の中に入っていて見えない部分があります。皮膚から出ている部分を「毛幹(もうかん)」、見えない部分を「毛根(もうこん)」といいます。
毛根の根元には球状になっている毛球があり、毛球の中の毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで、毛髪が成長します。
そしてその毛母細胞に栄養を届けるのが毛乳頭細胞です。毛乳頭細胞や毛母細胞が破壊されると、毛髪が生えてこなくなり、この状態が毛根の死滅にあたります。
毛根の死滅の原因①寿命
毛母細胞が細胞分裂を繰り返したことで寿命を迎え、毛根が死滅することがあります。
毛髪のヘアサイクルは、一生涯のうち20〜40回ほど繰り返されます。このヘアサイクルが終わったときに、細胞が寿命を迎えます。
AGAでヘアサイクルが短縮されてしまい、1回の周期が短くなると、細胞が寿命を迎えるタイミングが早まります。
毛根の死滅の原因②細胞の損傷
医療レーザー脱毛では、レーザーで毛母細胞を破壊することで新たな毛が生えてこないようにします。また、頭部に火傷やケガをしたことがある方はご存知かもしれませんが、外傷で毛根の細胞が損傷されると、毛髪が生えてこなくなります。
死滅した毛根が復活することはある?
現在の医療技術では、残念ながら一度死滅した毛根が復活することはなく、毛髪も生えなくなります。
毛根が死滅した場合の対処法として、毛髪が生えなくなった部分に別の場所の自毛を移植する「自毛植毛」という方法があります。自毛植毛についてはこちらの記事をご確認ください。
毛根の死滅と休眠の違い
ヘアサイクルには「成長期」「退行期」「休止期」があり、成長期は毛乳頭から毛母細胞に栄養がわたって毛髪が成長していく期間、退行期は毛母細胞の分裂が止まり、毛根が押し出される期間、そして休止期は毛母細胞のもとが活発になるまで待機する期間で、この間に毛髪が自然に抜け落ちていきます。
休止期は通常は2〜3ヶ月で成長期に移行しますが、AGAの場合はヘアサイクルが乱れて休止期が延長されてしまい、その状態が休眠と表現されます。細胞自体が破壊され再起不能になった毛根の死滅とは状況が異なります。
つまり毛根が休眠状態になるのは、AGAが理由の一つですが、生活習慣の乱れもヘアサイクルの乱れ・つまりは毛根の休眠につながる可能性があります。
毛根の状態の見分け方
毛根が死滅しているのか、休眠しているのかを見分ける方法についてお伝えします。
抜け毛の毛根をチェック
抜け毛の毛根の部分を観察してみると、毛髪がどのような状態にあるか分かることがあります。
毛根を見ると、正常な場合は白く丸い形をしています。もしいびつな形をしていたり黒っぽかったりする場合は、髪の毛が正常に成長できていない可能性があります。
産毛の有無
毛根が死滅しているのか休眠しているのかを目視で確認することはできません。しかし、クリニックを受診して頭皮をマイクロスコープで見てもらうと、肉眼ではわからないくらいの産毛が見えることがあります。少しでも産毛が生えていれば毛根は死滅していないことになります。
外的要因による細胞の破壊
もし過去にやけどやケガをして、その部分に髪の毛が生えていない場合は、細胞が死滅している可能性が高いと考えられます。
AGA治療の経過を見る
つまり外傷などの外的要因で毛根が死滅している場合以外は、死滅しているのかの判断が難しいので、一度AGAの治療をして経過を確認してみるのもひとつの方法です。薬剤を用いた治療は一般的には効果が出るまで3〜6ヶ月はかかると言われているので、少し時間はかかりますが、効果が出て産毛が生えてくる可能性があります。
ただ、かなり薄毛が進行してからですと元の状態に戻すことは難しいので、できるだけ早いタイミングで始めることをおすすめします。
AGAと毛根の関係性
AGAでは男性ホルモンの影響でヘアサイクルが短くなりますが、その結果、毛根も含めて毛髪自体が細くなるので、生え際や頭頂部が薄くなってきた、毛量が減ったなどと感じる場合は一度クリニックを受診してもよいかもしれません。
毛根が死滅しているのではなく休眠している状態なら、適切な治療を施すことで毛髪が生えてくることがあります。
AGA治療薬であるミノキシジルは、毛根に働きかけてヘアサイクルを正常化することで、薄毛を改善する薬です。毛母細胞に働きかけて発毛させる効果がありますが、これは毛根が死滅していない場合です。新たに毛根を作り出すことはできません。
休眠状態の毛根に治療効果が期待できる
毛根が死滅していなければ毛髪は生えてくる可能性があります。休眠状態の毛根に対策をすることで、治療の効果が期待できます。
AGAはそのまま放置しておくと進行してしまいます。もし薄毛に悩んでいるなら、毛根が死滅する前の早い段階でクリニックを受診し、治療を開始するとよいでしょう。
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