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【医師解説】AGA治療薬のジェネリックを選んでも大丈夫?

2024/03/25
監修:三上 修

医療機関で処方される薬には先に販売された「先発医薬品」(新薬)と、新薬の後に販売された「後発医薬品」であるジェネリック医薬品の2種類があります。

テレビでジェネリック医薬品のCMが流れていることもあり、何となく聞いたことはあるものの、具体的な内容についてはいまひとつ分かっていない、という方も多いのではないでしょうか。 

ジェネリック医薬品は先発医薬品と同一の有効成分が含まれていますが、価格が抑えられているのが特徴です。しかし、先発医薬品とまったく同じというわけでなく、一部異なる点もあるので注意が必要です。

今回はAGA治療薬におけるジェネリック医薬品の種類、ジェネリック医薬品のメリットとデメリットなどを解説します。

ジェネリック医薬品とは

ジェネリック医薬品には、先発医薬品と同一の有効成分が同じ量含まれており、効能・効果、用法・用量も先発医薬品と同じです。そのため、先発医薬品と同等の効果が期待されます。

先発医薬品と比べて品質、有効性、安全性が同等でありながら低価格であるということが最大の特長といえます。

現在、AGA治療でもジェネリック医薬品の使用が主流であり、AGA治療は長期間に及びお金がかかることから、クリニック側からジェネリック医薬品を勧めることが患者さんへ親切な対応と考えます。

注意点があるとすれば、先発薬からジェネリック医薬品に変更した場合、あるいはジェネリック医薬品を他のメーカーのものに変更した場合、一時的に抜け毛が増たり、発毛効果が弱まる可能性があることです。その場合はクリニックを定期的に受診し、医師に経過を診てもらうことが大切です。

ジェネリック医薬品は様々な領域の治療薬として使用されており、AGA治療薬にも存在します。では、なぜジェネリック医薬品は安価にもかかわらず先発医薬品と同じ効果があるのでしょうか。ここから解説していきます。

ジェネリック医薬品が先発医薬品より安い理由

先発医薬品である新薬は、一般に長い年月(9〜17年)と多額の費用(数百億円)をかけて開発されます。

新薬の開発に成功すれば、製薬会社は特許権を取得することで新薬を一定期間独占して製造・販売する権利を得られます。これが新薬を開発するメリットです。

しかし、一定期間が過ぎた後は特許権がなくなるため、他の製薬会社も同じ有効成分を使った薬を製造・販売できるようになります。これがジェネリック医薬品です。

ジェネリック医薬品は新薬に比べ、開発費用や開発期間を圧倒的に圧縮できるため、新薬より価格を低く設定できるのです。

ジェネリック医薬品が先発医薬品と同じ効果・安全性があるのはなぜか

先ほどお伝えしたように、ジェネリック医薬品は先発医薬品と有効成分が同一成分で同一量です。有効成分はすでに先発医薬品として多くの方に使用されており、効果・安全性が確認されています。

それだけでなく、新薬、ジェネリック医薬品を問わず医薬品はすべて国が定めた厳しい品質基準を満たした上で承認されています。さらに法律に基づいて、新薬と同じように製造管理や品質管理なども厳しくチェックされています。

このため、ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ効果・安全性があるといえます。

ジェネリック医薬を使用するメリット・デメリット

ジェネリック医薬品は新薬よりも安く、新薬と同等の効果・安全性があるならば、全部ジェネリック医薬品に変えたほうが良いと思う方もいるのではないでしょうか。しかし、ジェネリック医薬品にも注意すべき点があります。ここではジェネリック医薬品のメリットとデメリットについて解説します。

ジェネリック医薬品を使用するメリット

新薬よりも低価格で入手できる

先ほど述べた通り、ジェネリック医薬品は開発コストが低い分、価格が抑えられています。

AGAの治療は内服薬(フィナステリド、デュタステリド)、外用薬(ミノキシジル)にかかわらず、継続的に行う必要があります。長期にわたる出費が必要になるため、より低価格なジェネリック医薬品は魅力的といえます。

新薬と同等の有効性・安全性が期待できる

先ほど述べた通り、有効成分とその量は新薬と同じです。したがって、新薬と同じ治療効果が期待できます。

新薬にはない特徴がある薬もある

ジェネリック医薬品は有効成分・量は同じですが、添加剤などが異なっていることがあります。そのため薬の形、大きさ、味などが新薬と異なる場合があります。新薬だと苦くて飲めない、大きすぎて飲みにくいなどという場合、ジェネリック医薬品ではこの点が改良されていることもあります。

ジェネリック医薬品を使用するデメリット

厳密には新薬とまったく同じ成分ではない

ジェネリック医薬品は有効成分とその量は新薬と同じと説明しましたが、添加剤が異なる場合があります。味や形が改良されるというメリットでもあると同時にデメリットにもなり得ます。 

具体的には、添加剤にアレルギーがある場合は注意が必要になります。添加剤によっては内服や外用時に違和感を覚える方がいらっしゃるかもしれません。

ただ、薬に使用される添加剤は、効果や安全性に影響がないことが確認されていますので不安がる必要はありません。

新薬と形状や名前が異なる

ジェネリック医薬品を製造する際には、有効成分が同じであれば製造工程や添加物などを変更できます。これにより、薬そのものの形状が変わることがあります。

 例として、ジェネリック医薬品になって錠剤が大きくなって飲みにくくなった、塗り薬を塗った時に違和感を覚えた、という方も一部いらっしゃいます。

また、新薬とジェネリック医薬品の名前が異なるため、有効成分が一緒でも同じ効果のある薬なのか混乱してしまうことがあります。薬の名前と、どの新薬のジェネリック医薬品なのかを確認するようにしましょう。

供給が不安定になるケースがある

これはジェネリック医薬品だけの問題ではありませんが、近年、一部の薬が供給不足になっているケースがあります。

2020年にある製薬会社の不正問題があり、その不正が他の会社でも発覚し、業務停止・改善命令が出される事態となりました。この影響で医薬品の生産能力が低下し、需要に見合った供給ができなくなりました。

このように、ジェネリック医薬品にもデメリットがありますが、メリットが非常に大きく、安全な薬であります。

ジェネリックのAGA治療薬の種類

ジェネリック医薬品はさまざまな領域の治療薬で開発されており、AGAでもジェネリック医薬品は存在します。具体的には、内服薬のフィナステリドとデュタステリドと外用薬のミノキシジルにジェネリック医薬品があります。AGA専門クリニックで処方されることのある内服薬のミノキシジルには、国産のジェネリック医薬品はありません(国内未承認薬のため)。

フィナステリド(プロペシア)

フィナステリドは、脱毛因子であるジヒドロテストステロンの産生を促進する5αリダクターゼをブロックすることで脱毛を防ぐ効果がある内服薬です。

先発品の名前は「プロペシア」で、ジェネリック医薬品は「フィナステリド」という名前で販売されています。フィナステリドはさまざまなメーカーから販売されていますが、錠剤では色や大きさ、一部の添加物が異なります。

デュタステリド(ザガーロ)

デュタステリドはフィナステリドと同じく5αリダクターゼをブロックする内服薬です。フィナステリドと異なるのは、2種類ある5αリダクターゼの両方(Ⅰ型、Ⅱ型)をブロックする点です(フィナステリドはⅡ型のみ)。

先発品の名前は「ザガーロ」で、ジェネリック医薬品は「デュタステリド」という名前で販売されています。デュタステリドもさまざまなメーカーから販売されていますが、カプセル錠剤のみで、異なる点は一部の添加物、色や大きさが少し異なることです。

ミノキシジル

ミノキシジルは毛包に直接作用し、細胞の増殖や成長因子の合成を促進し、ヘアサイクルを正常に戻す働きなどがあります。国内で承認されているのは外用薬のみです。

先発品は「リアップ」シリーズで、ジェネリック医薬品は複数のメーカーから販売されています。ミノキシジルのジェネリック医薬品は、液だれを防いだり、塗り心地を改良したりするなど塗布しやすく工夫されているものがあります。

ジェネリックのAGA治療薬を購入する方法

ジェネリック医薬品を購入する方法はいくつかあります。それぞれ紹介します。

オンラインクリニックを受診して処方してもらう

AGAに対応したオンラインクリニックを受診し、処方してもらうことで購入できます。オンラインクリニックは自宅や好きな場所で都合の良い時間を予約できるだけでなく、医療機関と同様の診療を受けることができるので、安心して比較的低価格で処方してもらうことができます。AGAは継続した治療が重要なので、利便性が高いことは大きなメリットといえます。

取り扱っている医療機関を受診して処方してもらう

ジェネリック医薬品を取り扱っている医療機関で処方してもらうこともできます。対面での診療を希望する場合は、こちらで処方してもらってもよいでしょう。ただ医療機関によって値段が大きく異なることがあるので、事前に確認しておきましょう。

ドラッグストアや薬局で購入する

ドラッグストアや薬局で購入できるのは、ミノキシジル外用薬のみです。薬品の説明が最低限しか受けられないので、できればオンラインクリニックや医療機関できちんと説明を受けてから使用するほうがよいでしょう。

なお、AGA治療薬はインターネットを通じて個人輸入で購入することもできますが、安全性などのリスクが高いのでので控えましょう。

AGA治療でジェネリック医薬品を使いたい時はオンラインクリニックなどへ相談を

AGAは長期にわたる治療が必要で、安くて安全なジェネリック医薬品を上手に使うことで費用を抑え、効果的な治療を受けることができます。

しかし、いくつか注意点もあるので、オンラインクリニックや医療機関で薬の効果や使用方法についてきちんと説明を受け、その上でメリットのあるジェネリック医薬品を選択するのがよいと思います。

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