フィナステリドはいつまで飲む?長期服用の効果・耐性・副作用を解説
フィナステリドは、男性型脱毛症(AGA)の治療薬として日本で2005年に発売されました。服用を長く続ける中で、「以前より効果が弱くなった気がする」「飲み続けても問題ないのか」と不安を感じる方もいるでしょう。
この記事では、フィナステリドを長期服用した際の効果の持続性や副作用、服用を中止した後の経過を解説します。
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フィナステリドを長く使っていると効かなくなる?

「薬を長期間服用すると、次第に効きにくくなる」といったような話を、ときどき耳にすることがあるのではないでしょうか。薬が効かなくなる“耐性”と呼ばれる現象は、全ての薬で起こるわけではありません。もう少し詳しく見ていきましょう。
薬が効きにくくなる「耐性」とは
「耐性」とは、薬を繰り返し使用するうちに、薬が体内にある状態に体が慣れてしまい、薬への反応が弱くなる現象です。
耐性が起こるメカニズムの一つに、薬の代謝が速まる変化があります。
代謝とは、薬を分解する体のしくみです。薬の種類によっては、繰り返し長く使っていると、代謝が進みやすくなる場合があります。薬が早く分解されるほど、体内で作用する薬の量が減り、効果も弱まります。
■薬の代謝イメージ

耐性が生じるもう一つのメカニズムとして、薬が結合する受容体の変化も挙げられます。薬を長く使い続けていると、受容体の数が減ってきたり、薬と受容体の結合力が弱くなってきたりすることがあります。薬は受容体に結合しないと効果を発揮できないため、こうした変化によっても効果が下がってしまいます。
感染症で使われる抗生物質やがん治療薬でも「耐性」が起こります。しかし、この場合は、病原体やがん細胞が薬より強くなってしまう状態を指し、上記の「耐性」とは異なります。
では、フィナステリドで「耐性」は起きるのでしょうか。
フィナステリドの長期服用による耐性を示す明確な報告はない
フィナステリドは2005年に国内で発売され、AGA治療に長く使用されている薬です。
日本人男性801人がフィナステリド1mg/日を5年間服用した観察研究では、99.4%に改善が認められました。また、日本人男性532人がフィナステリド1mg/日を10年間服用した観察研究では、91.5%に改善が認められ、99.1%でAGAの進行が抑えられました。
現時点では、長期服用によって薬理学的な耐性が生じることを示す明確なエビデンスはありません。長期観察研究でも、多くの患者で効果が維持されています。ただし、AGA自体の進行や個人差などにより、服用中でも毛髪の状態が変化することはあります。
※いずれも対照群を設けていない観察研究です。頭部写真を用いた医師の評価に基づきます。
フィナステリドの効果を感じにくくなる理由

フィナステリドを長く服用する中で、「以前より効果が弱くなった」と感じる場合があります。ここでは、フィナステリドの作用と、効果を感じにくくなる主な理由を解説します。
フィナステリドの作用と服用の基本
フィナステリドは1日1回服用するAGA治療薬です。AGAの原因に関わるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑え、抜け毛を減らして進行を抑制します。飲み始めて3ヶ月程度で効果があらわれ始め、6ヶ月頃から効果を実感できるようになります。ただし、効果のあらわれ方には個人差があります。
服用を中止するとAGAが再び進行し、毛髪の状態は徐々に服用前へ戻ります。効果を維持するためには、毎日飲み続ける必要があります。
効果が感じられない方は、毎日服用できているか今一度確認しましょう。仕事が忙しいときやお酒を飲む機会が増える時期などは要注意です。飲み忘れを防ぐために、歯磨きや洗顔といったルーティンに合わせる方法があります。毎日同じ時間帯に服用できるよう、生活の流れに組み込んでおきましょう。
フィナステリドの効果を感じにくい場合
前提として、どのような薬でも、効果のあらわれ方は人によって違います。フィナステリドは、以下の場合に効果があらわれやすいことが確認されています。
- 若いうちに服用を開始した場合
- AGAの進行度が低い場合
この結果から、服用開始時の年齢が高い場合やAGAが進行している場合は、若年者や進行度が低い人と比べて、改善を実感しにくい可能性があります。
韓国で実施された研究では、一部の患者でフィナステリド服用中に効果が下がったように見えたと報告されています。「前頭部から頭皮全体の毛髪が少なくなるタイプ」および「頭頂部の毛髪が少なくなるタイプ」で、毛の量が改善した後に脱毛が見られました。

研究では、フィナステリドで発毛した毛髪が、同じ周期で抜け落ちることによるものと考察されています。これは耐性による効果低下とは異なる現象と考えられます。
フィナステリドは発毛だけでなく、AGAの進行を抑える薬です。「効かない」と感じる場合は、服用期間や飲み忘れを確認し、治療前後の写真で進行が抑えられているかを評価します。6ヶ月以上適切に服用しても進行が続く場合は、AGA以外の脱毛症も確認したうえで、デュタステリドへの切り替えやミノキシジルの併用を検討します。
フィナステリドを長期服用した場合の安全性

日本で行われた1年間のプラセボ(有効成分を含まない偽薬)を対照とした二重盲検比較試験における副作用は、フィナステリド1mg群(139例)で6.5%(9例)、0.2mg群(137例)で1.5%(2例) 、プラセボ群(138例)で2.2%(3例)でした。
性機能に関する副作用の発現率
フィナステリドでは、ED(勃起不全)や性欲減退といった性機能への影響が報告されています。国内の臨床試験における性機能への影響は、リビドー(性欲)減退が1.1%、勃起機能不全が0.7%でした。
海外で実施された5年間の長期投与試験では、服用期間の長期化に伴って、これらの副作用が増えることはありませんでした。
肝機能への影響と検査の目安
フィナステリドの添付文書には、重大な副作用として肝機能障害が記載されています。肝機能障害の人に投与した場合の安全性については確認されていないため、肝臓の異常を指摘された経験がある方は、診察時に医師へ伝えてください。
疲れやすい、体がだるい、力が入らない、吐き気、食欲不振といった自覚症状があらわれた場合は、直ちに医師に相談しましょう。体調や既往歴に応じて、血液検査で肝機能を確認する場合があります。
PFS(ポストフィナステリドシンドローム)
PFS(ポストフィナステリドシンドローム)とは、フィナステリドの使用を中止した後にも、性欲減退や勃起機能不全、抑うつ症状などが長期に続く状態を指します。
ただし、病態は十分に解明されておらず、フィナステリドとの因果関係は明らかになっていません。
フィナステリドを中止した後に体調の変化が長く続く場合は、自己判断で様子を見続けず、受診を検討してください。
フィナステリドの服用を中止した後の変化

フィナステリドの使用を中止した場合、生えてきた毛髪がどうなるのか、頭皮以外の体への影響が気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、フィナステリドを中止した際の毛髪への影響や注意点について紹介します。
服用中止後に薬が体内から減少するまでの目安
フィナステリド1mgを服用した場合、血液中の薬の濃度が半分になるまでの時間は約4時間です。
ただし、血液中の濃度が低下しても、DHT産生を抑える作用や毛髪への影響が直ちになくなるわけではありません。
服用中止後の毛髪の変化
服用を中止すると、フィナステリドによる発毛効果やAGAの進行抑制効果は維持されません。
海外の臨床試験では、フィナステリド1mgを12ヶ月服用した後、プラセボへ切り替えた48人を追跡しました。その結果、フィナステリドによって増加した毛髪数は、切り替えから12ヶ月後に服用前の水準へ戻りました。毛髪数は、脱毛が進行している頭頂部の一定範囲を写真で撮影して評価しています。
服用中止を検討する場合は自己判断せず医師へ
何らかの事情でフィナステリドの使用を中止する場合は、自己判断せずに医師に相談してください。中止後の経過や、他の治療への変更も含めて判断します。
フィナステリドの服用期間の目安

フィナステリドの服用を始めると、いつまで服用するのか疑問に思う方も多いでしょう。ここでは、服用の継続や中止を検討する際の考え方を整理します。
毛髪を維持したい場合は継続が基本
フィナステリドはAGAの進行を抑え、抜け毛を減らして毛髪量を維持する薬です。服用を中止すると再び抜け毛は増え、元の状態に戻ってしまいます。髪の量を維持したい場合、服用を続けることが基本です。
日本人男性を対象とした研究では、10年間の使用でも安定した効果が確認されています。
効果が不十分な場合は治療薬の変更も選択肢
もし、フィナステリドを継続しても十分な効果を感じられない場合は、デュタステリドなど別のAGA治療薬を検討する、という選択肢もあります。
副作用があらわれた場合は、薬を自己判断で変更せず、服用の中止や治療方針について医師へ相談してください。
定期的な受診で継続の可否を確認
フィナステリドによるAGA治療は、医師と相談しながら行うのが前提です。「いつまで飲むか」「薬を変更した方がいいのか」といった疑問や不安を一人で抱え込む必要はありません。服用期間や治療薬の変更に疑問や不安がある場合は、受診時に相談しましょう。
フィナステリドの長期服用についてよくある質問

ここでは、フィナステリドの長期服用に関して寄せられる主な質問に回答します。
Q.フィナステリドは10年以上飲み続けても効果がありますか?
A.日本人男性を対象とした10年間の観察研究では、91.5%に改善が認められ、99.1%でAGAの進行が抑えられました。
ただし、この研究から確認できるのは10年間の経過です。10年を超えて服用する場合も、効果や副作用を定期的に確認しながら継続します。
Q.長期服用でEDや性欲低下が起きる確率はどのくらいですか?
A.国内で行われた臨床試験では、リビドー(性欲)減退は1.1%、勃起機能不全は0.7%でした。海外の5年間の長期投与試験では、服用期間の長期化に伴って、これらの副作用が増加する傾向は認められていません。
Q.フィナステリドの長期服用で肝臓に影響はありますか?
A.重大な副作用として肝機能障害が報告されています。しかし、長期服用で肝機能障害の発現率が高くなるかは明らかになっていません。
肝臓の異常を指摘された経験がある方や、服用中に倦怠感、吐き気、食欲不振などがあらわれた方は、医師へ相談してください。
Q.フィナステリドをやめると、血液中の薬の濃度はいつ頃低下しますか?
A.1日程度と考えられます。フィナステリド1mgを服用した場合、血液中の濃度が半分になるまでの時間は約4時間です。その後も血液中の濃度は徐々に低下します。
ただし、DHT産生を抑える作用や毛髪への影響が1日でなくなるという意味ではありません。
Q. AGA治療は一生続けないといけないですか?
A.髪の状態を維持したい間は、治療を続ける必要があります。いつまで続けるかどうかは、医師と相談しながら判断していきましょう。
Q.効果が落ちてきた気がします。デュタステリドに切り替えるべきですか?
A.まずは、服用期間や飲み忘れの有無を確認し、受診時にAGAの進行状態を医師に確認してもらいましょう。
フィナステリドを継続しても十分な効果を得られない場合は、デュタステリドなど別の治療薬への変更を検討する場合があります。
フィナステリドの長期服用は定期的に効果と副作用を確認する

長期間の使用によってフィナステリドが効かなくなることは、現時点では証明されていません。日本人男性を対象とした観察研究では、5年間または10年間にわたって効果が維持されたと報告されています。
しかし、思ったような変化が感じられない場合、「効き目がない」「効かなくなってきた」と思うことがあるかもしれません。
AGA治療薬には、フィナステリドのほか、デュタステリドやミノキシジル外用薬などがあります。治療効果や副作用、本人の希望を踏まえ、継続や変更を医師と検討しましょう。
出典
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