頭皮が臭くなりやすい女性の特徴は? ニオイの原因・ケア方法を解説
年を重ねるにつれて、頭皮のニオイやベタつきに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。頭皮環境は、ホルモンバランスや食事内容、ストレスなどさまざまな因子によって影響を受けます。この記事では、頭皮が臭くなりやすい女性の特徴に加えて、ニオイの原因やケア方法を詳しく解説します。
頭皮が臭くなりやすい女性の特徴
頭皮が臭くなりやすい人には、いくつかの共通点があります。
主な共通点は、
- 食生活が偏っている
- 過剰なストレスを受けている
- シャンプーの仕方が間違っている
などです。
頭皮のニオイが気になる方は、該当しないかを一度チェックしてみてください。
食生活が偏っている
食生活が偏っていると、頭皮の健康に悪影響を及ぼします。揚げ物の脂肪分、ご飯や麺類などの糖分を多く摂取すると皮脂の分泌が増加し、ニオイやベタつきの原因となるからです。高脂肪食と低脂肪食では、高脂肪食を食事した後のほうが、体臭成分である「2-ノネナール」が増加したと報告されています。
また、ビタミン類が不足するとフケが出たり、脱毛が進んだりするともいわれており、頭皮の健康を守るためにはバランスの取れた食生活が大切です。
過剰なストレスを受けている
過剰なストレスは心身の負荷となり、さまざまな不調をもたらしますが、頭皮においても同様です。ストレスを受けると皮脂の分泌が増加します。汗臭さの一つに「イソ吉草酸」と呼ばれる成分があり、この物質は、皮脂や汗を常在菌が分解することで発生します。
このように、仕事で気を遣いすぎたり、家事などで自分の時間を持てなかったりで過剰なストレスを受けることは、ニオイの原因となり得るのです。
シャンプーの仕方が間違っている
頭皮を洗いすぎると、必要な皮脂を洗い流してしまい、かえって皮脂の分泌が増加するとされています。一方で洗浄が足りない場合は、余分な皮脂が蓄積し、ニオイやベタつきの原因となります。
シャンプーによって、洗浄成分に違いがあり、洗浄力や泡切れなどが異なります。自分の頭皮や髪質に合ったシャンプーを選ぶとともに、後述する予洗いや丁寧なすすぎも大切です。
ニオイやベタつきの原因
頭皮のニオイやベタつきの原因は、前述の通り過剰に分泌された皮脂にあります。皮脂は頭皮を保護するために必要な成分ですが、過度に分泌されると毛穴を詰まらせ、細菌が繁殖しやすい環境をつくります。
皮膚常在菌によって皮脂が酸化分解された物質が、加齢臭成分である「2-ノネナール」です。皮脂などの脂肪分を分解して2-ノネナールの産生に関わるのは、連鎖球菌や緑膿菌と呼ばれる常在菌です。ブドウ球菌はタンパク質の分解に関わる常在菌で、タンパク質が分解されるとイオウ系のニオイが発生します。
これって病気かも? 疑われる3つの疾患と症状
頭皮のニオイやベタつきは、もしかしたら病気や他の症状から来るサインかもしれません。更年期障害や脂漏性皮膚炎、化膿性汗腺炎を紹介します。
【1】更年期障害
閉経前後の5年間を併せた10年間を「更年期」と呼び、更年期に現れるさまざまな症状で他の疾患によらないものが「更年期症状」です。更年期症状で、日常生活に支障をきたすケースを「更年期障害」と呼びます。
更年期障害は、女性ホルモンであるエストロゲンの低下で起こり、ホルモンバランスが崩れることが一つの原因です。ホルモンバランスが崩れることによって、皮脂の分泌にも影響を及ぼし、過剰分泌となるとニオイの原因となります。
【2】脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎とは、頭皮を含む脂質分泌の多い部分に発生する炎症性皮膚疾患です。皮脂の過剰分泌と、皮膚に常在する真菌の一種であるマラセチアに起因すると注目されています。
マラセチアは皮脂を栄養源とし、増殖することで頭皮に炎症を起こします。その結果、ニオイに加えて頭皮の赤み、かゆみ、フケなどを生じることがある疾患です。治療には外用ステロイド剤が使用されていますが、抗真菌剤である2%ケトコナゾールクリームも脂漏性皮膚炎の治療薬です。いずれにしても、医師の診察が必要となりますので、気になる方は受診をおすすめします。
【3】化膿性汗腺炎
化膿性汗腺炎とは、慢性・炎症性で繰り返される毛包性の疾患であり、膿のニオイや痛みを伴います。頭皮にも発生することがあり、放置すると症状が進行していきます。
治療には、膿を出すための切開や抗生剤の内服・外用、生物学的製剤と呼ばれる注射剤などが使用されます。早期診断、早期治療が大切であり、思い当たる症状がある方は早めに医療機関を受診しましょう。
頭皮のニオイをケアする方法
頭皮のニオイをケアする方法は、生活習慣を整え、正しくシャンプーすることです。
生活習慣とは、バランスの良い食事を摂り、良質な睡眠を確保して、メンタルを安定させることが基本となります。
バランスの良い食事を摂る
食生活は、皮脂分泌に影響を与えます。脂質や糖質の多い食事は控えめにして、タンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含むバランスの良い食事を心がけましょう。
特にビタミンB2は、皮脂腺の機能を正常に保つために必要な栄養分だといわれています。ビタミンB2を多く含む食べ物は、魚介類や肉類、豆類、藻類、卵類、野菜類、種実類などです。1日3食の食事を通して、栄養バランスを考慮することが大切です。
しっかりと睡眠をとる
睡眠時間と休養感からなる良い睡眠は、頭皮の健康にとっても重要です。睡眠不足は、ホルモンバランスを崩し、皮脂の過剰分泌を招く原因となる可能性があります。日中はしっかりと体を動かし、就寝前にはリラックスできる環境を整え、スマートフォンやパソコンの使用を控えると良いでしょう。また、寝る間に軽いストレッチや深呼吸を取り入れると、リラックス効果がさらに高まります。
ストレスをコントロールする
ストレスは、頭皮に影響を与えます。頭皮の健康を維持するため、仕事や家事で忙しく過ごす1日のなかにリラックスする時間をつくることが大切です。趣味やちょっとした運動を取り入れることで、ストレスを軽減させましょう。適度な運動やストレッチは、血行を促し頭皮の健康にも役立ちます。
また、瞑想や深呼吸もストレス軽減に効果的とされているため、日常生活でできることから始めてみましょう。
正しくシャンプーをする
シャンプーの仕方も頭皮のニオイケアにおいて重要です。以下の手順で行います。
- ブラッシングで髪のもつれをとく
- シャワーで頭皮と髪をしっかり濡らし、頭皮の隅々まで洗い流す(予洗い)
- シャンプーで頭皮を洗う
- すすぎで泡をしっかり落とす
髪の長さに関係なく、「予洗い・シャンプー・すすぎ」にはそれぞれ同じくらいの時間をかけ、指の腹を使って丁寧に行いましょう。特にシャンプー後のすすぎが大切です。シャンプーの泡が残っていると、ニオイや炎症、ベタつき、フケの原因となるため、しっかり洗い流しましょう。
適切な頭皮ケアでニオイが改善しない場合は医師に相談を
生活習慣を整えたり、適切にシャンプーをしたりしても頭皮のニオイが改善しない場合は、医師に相談することをおすすめします。頭皮のニオイの原因には、皮膚疾患やホルモンの関与など、専門的な治療が必要なケースがあるからです。
頭皮のニオイは頭皮環境悪化のサインであり、また頭皮の汚れを放置すると抜け毛の原因にもなります。頭皮のニオイと女性AGAに直接的な関係はありませんが、極端に抜け毛が増えた場合は注意が必要です。ニオイだけでなく「普段より抜け毛が多い」「フケやかゆみ、赤みがある」など気になる症状が続く場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
薄毛が気になる方はこちらの記事もチェック
出典
コスメトロジー研究報告 Vol.22,2014 9-14
Journal of Hokusei Jr.Col,Vol.35:181-192,1999
日本化粧品学会誌 Vol.46,No.1,46-50(2022)
におい・かおり環境学会雑誌 54巻4号 令和5年 226-234
におい・かおり環境学会雑誌 47巻4号 平成28年 296-300
日本産科婦人科学会 更年期障害(2024年7月16日取得)
Jpn.J.Med.Mycol.Vol.46,163-167,2005
ニゾラールクリーム2%添付文書(第1版)
日本皮膚科学会ガイドライン 化膿性汗腺炎診療の手引き2020
Jpn.J.Med.Mycol.Vol.44,77-8-,2003
健康長寿ネット ビタミンB2の働きと1日の摂取量(2024年7月16日取得)
厚生労働省 Good Sleep ガイド
厚生労働省 e-ヘルスネット -快眠と生活習慣-(2024年7月16日取得)
厚生労働省 こころもメンテしよう(2024年7月16日取得)
福岡県立大学看護学研究紀要6(1),35-39,2008
J.Jpn.Acad.Nurs.Sci.,Vol.38,pp.245-254,2018
スマホやPCで、お好きな場所から医師の診察を受けられます。
問題が解決しない場合は、
こちらからお問い合わせください。