女性AGA（女性型脱毛症：FPHL）とは？ 症状や原因、対策方法をご紹介します

では、実際に女性で薄毛の人はどのくらい居るのでしょうか。医学的な調査によると、以下のように報告されています。

• 29歳までに：女性の12％が医学的にみて女性型脱毛症
• 49歳までに：25％
• 69歳までに：41％
• 79歳までに：50％以上

このように、女性の場合、自分では薄毛だと思っていなくても、早い時期から進行している人もいるため、注意が必要です。

女性AGAは男性とほぼ同じメカニズムで起こりますが、薄くなる場所は男性とは異なります。男性は額から薄くなることが多いのに対して、女性の場合は分け目や頭頂部が薄くなることを特徴としています。

■女性AGAの進行イメージ［Ludwig（ルードヴィヒ）分類］

Ⅰ型：頭頂部の髪の毛が薄くなり、分け目が目立つ
Ⅱ型：Ⅰ型よりも頭頂部全体が薄くなり、地肌が透けてみえる
Ⅲ型：頭頂部の薄毛が進行し、地肌が目立つ

女性AGAが発生するメカニズムは、ほぼ男性と同様であると考えられています。まず成長期が短縮され、髪の毛が細くなってきます（軟毛化）。成長期が短縮されることで本来成長するはずの髪の毛が退行期へ移行し成長が止まり薄毛が目立つようになってしまいます。女性AGAでは、頭皮の中央部（分け目）、前頭部（額ではない前方）、頭頂部（てっぺん）において毛包の小型化が進行し、それに伴って毛髪の数が減少します。

■女性AGAにおけるヘアサイクルの変化
※女性AGAでは、成長期が短縮し、毛包休止期が生じることにより、毛包が小さくなっていきます。

もう一つの特徴は、ほとんどの場合、男性のように毛髪が全てなくなってしまうことがない点です。髪が細くなり、毛量が減少することにより、頭髪が薄くみえるようになっていきます。

女性の薄毛の原因は、研究がそれほど進んでいないこともあり、詳細に関してはよくわかっていません。男性のAGAと同様に、アンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンが影響しているほか、遺伝や環境、生活習慣が関与していると考えられます。ただし、アンドロゲンに関係なく薄毛になることもあります。

薄毛になりやすいと報告されているのは、以下の場合です。

1. 空腹時血糖値が高い
2. 出産経験が少ない
3. 紫外線を浴びる
   

また、睡眠不足やアルコール摂取、ポニーテールをよくする、頭皮が脂っぽい人では、より薄毛が進みやすいという報告があります。

注意が必要なのは、他の病気が原因で薄毛になっている場合です。女性AGAによる薄毛の場合、分け目から薄くなることが多いですが、分け目が薄くなっていないのに抜け毛が多い場合は、医療機関を受診した方がよいでしょう。女性AGAだと思われる場合でも、正しい診断のために一度受診することをお勧めします。

残念ながら、根治治療は現在のところありません。女性AGAの治療法は、男性のAGAと同様に、まずは抜け毛を防ぎ、発毛・育毛を促すことが基本となります。

そのため、治療で効果を得られた後も、毛量をキープするには治療を継続することが必要となります。コストや体毛増加などは、薬を変更したり減らしたりすることで解消されるケースもあるので、診察時に相談してみましょう。

A.ミノキシジル内服薬は全身の毛根に作用するため、どうしても体毛や顔面の毛も同時に濃くなってしまうことがあります。毛髪のボリュームは気になるけれど、体毛の増加は避けたいという場合は、ミノキシジル外用薬での治療をおすすめします。
※脱毛で毛根が破壊されている場合は、体毛が濃くなることはありません。

A.早くとも3カ月、一般的には3～6カ月程度効果を実感するまで時間がかかります。あせらずに治療を続けましょう。半年以上継続しても効果が得られない場合は、増量や薬剤変更の検討が必要ですので医師に相談しましょう。

A.抜け毛による整容面での不安は大きいかと思いますが、同時に髪の毛は生えており、周囲から見て明らかに薄毛が進行したといわれる程度の初期脱毛は非常に稀ですので安心してください。

また、治療効果を実感できた方の中でも、初期脱毛をはっきりと自覚するのは3割程度といわれています。