コラムカテゴリ性感染症

男性に多い7つの性感染症とは?

2022/10/20
提供:三上 修

「この症状って、もしかして性病” !?」いつもと違う症状があると、とても不安になりますよね。今回は、男性に多い性感染症 (現在では、性病のことをこう呼びます) についてお読みいただき、ご自身の症状に当てはまるものが無いか、確認してみて下さい。近年の医療技術の進歩により、性感染症は昔に比べて怖い病気ではなくなっています。最も大切なのは、自己判断で放っておくのではなく、迷った場合はまず専門医を受診することです。

性感染症とは?

性感染症とは、性交、または、これに類似した性行為(オーラルセックスやアナルセックスも含む)によって感染する病気のことを言います。ウイルス、細菌、原虫などが、性器、泌尿器、肛門、口腔などに接触することで感染します。

以前は「性病」と呼ばれていました。英語では、以前はSTD(sexually trandmitted diseasesの頭文字)と呼ばれていましたが、なかには感染しても無症状の場合があるため、最近ではSTI(sexually transmitted infectionsの頭文字)と呼ばれています。

現在、約19種類の性感染症があり、20種類超の病原体が確認されています。病原体により、感染してから症状が現れるまでの期間は様々で、早いもので2日、遅いものでは感染してから数ヶ月後に、初めて症状が現れるものもあります。

男性に多い性感染症

一般的に、男性は女性に比べて性感染症の症状が出現しやすいため、受診する機会につながることが多いです。しかし、症状が無い、または、あっても軽度な症状のために感染していることに気付かない、という場合もあります。

また、性行為の際にコンドームを使用していない場合や、不特定多数のパートナーと性行為を行なっている場合には、性感染症への感染リスクは上昇します。
従って、もしはっきりとした症状がみられなくても、リスクのある性行為をした場合には、検査のために受診を検討することも必要です。

以下に、代表的な7つの男性の性感染症の症状、診断に伴う検査、治療、について述べたいと思います。

クラミジア感染症

男性に生じる性感染症のうち、最も頻度が高いものが性器クラミジア感染症です。尿道に感染したものを、クラミジア性尿道炎と呼びます。

症状としては、性行為ののち13週間の潜伏期間(無症状の期間)を経た後、尿道口から、水っぽい、または粘り気の少ない粘液が少量でます。排尿時の痛みは軽いことが多く、感染しても気付かない場合があります。

クラミジアが尿道に感染した後、感染が広がり、精巣上体 (いわゆるタマに接している臓器) に達すると、精巣上体炎と呼ばれ、その部分の腫れや痛み、時に発熱を生じます。また、オーラルセックスを介して、口の中にクラミジアが感染 (咽頭感染) することもあります。咽頭感染では、症状を自覚することが少ないため感染に気付きにくく、注意が必要です。 

クラミジア性尿道炎を疑う場合、初尿 (尿の排泄時、始めに出てくる尿のこと) を採取し、核酸増幅法という検査により診断します。精巣上体炎では、見た目が腫れていること、および、触診で圧痛を認めることで診断します。咽頭感染を疑う場合は、のどの一部を綿棒でこすったり、うがい液をとって検査することで診断します。

いずれのクラミジア感染においても、抗菌薬の内服により治療を行います。治療を開始してから7日間は、完全に治っていない恐れがあるため、あらゆる性行為をしないようにします。治療後、治っているかどうかの確認として、内服を開始してから2週間後に再検査を行い、クラミジアが陰性となったかどうかを調べます。

病原菌を感染させたり、感染しているパートナーから病原菌をもらう(ピンポン感染といいます)ことを避けるため、セックスパートナーも同時期に検査と治療を受けることが非常に大切です。

淋菌感染症

性器クラミジア感染症の次に、頻度が高い性感染症です。尿道に感染したものを、淋菌性性尿道炎と呼びます。クラミジア性尿道炎と同様、性行為ののちに尿道口から膿が出ます。クラミジア性尿道炎と異なり、潜伏期間は27日間と短く、強い排尿時の痛みが急激に出現します。

膿の性状としては、濃い白もしくは黄〜緑色の膿が、たくさん出ることが多いです。診断としては、尿道から出た膿または初尿を顕微鏡で調べ、淋菌を認めることで診断します。この検査で淋菌が認められなくても、念のため、核酸増幅法という別の検査で、淋菌に確実に感染していないかどうかを調べます。

なお、淋菌性尿道炎の患者さんの約3割に、クラミジア性尿道炎がみられる(混合感染といいます)ため、淋菌性尿道炎を認めた際は、クラミジアの検査 (核酸増幅法)も同時に行うことが大切です。クラミジア感染と同様、精巣上体炎や咽頭感染など、他の身体の部位に感染がみられることもあります。咽頭感染は症状に乏しいため、自覚がないことが多く、注意が必要です。

治療としては、通常、抗菌薬を注射にて投与します。以前は、抗菌薬の内服による治療が主流でしたが、内服薬が効きにくくなった淋菌が増えたため、注射薬を使うようになりました。クラミジア感染と同様、治療を開始してから7日間は、あらゆる性行為をしないようにし、セックスパートナーの検査および治療を同時期に行うことも大事です。

マイコプラズマ/ウレアプラズマ

知名度は低いですが、クラミジアや淋菌と同じくらいの確率で感染が認められています。症状としては、性行為ののち15週間の潜伏期間(無症状の期間)を経た後、尿道口からの分泌液がみられたり、排尿時の痛みがでます。

また、キスやオーラルセックスを介して、口の中に感染することもあります。のどの感染では、痛みや違和感、せきや痰が出やすくなるといった症状の出現が考えられますが、ほとんどの場合は自覚症状が見られず、感染に気付きにくいため、注意が必要です。 

マイコプラズマ/ウレアプラズマを疑う場合、尿やうがい液を採取し、PCR法という検査により診断します。感染を疑う機会から24時間経過していれば検査を行うことができます。

いずれのマイコプラズマ/ウレアプラズマ感染においても、抗菌薬の内服により治療を行います。1回の飲みきり、または1週間内服を続ける投薬方法により治療を行います。

近年耐性菌と呼ばれる抗菌薬が効かない菌も存在します。治療後、治っているかどうかの確認として、再検査を行い、マイコプラズマ/ウレアプラズマが陰性となったかどうかを調べることがあります。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルス1 (HSV-1) または2 (HSV-2) の感染によって、性器に浅い潰瘍、または水ぶくれを形成する病気です。ヘルペスウイルスは、初めて感染 (初感染) したのち、神経に潜伏し、何らかの刺激により再び活性化されることで、しばしば再燃します。

初めての感染の際は、性器にみられる病変が広範囲におよび、発熱などの全身の症状を伴うことが多いですが、再発では、症状が軽く、全身症状は軽いことが多いです。
性器にみられるヘルペス感染症の約7割は、再発例です。

初感染の症状としては、ヘルペスウイルスを性器や口周囲に有するパートナーと、性的接触をしてから210日後に、亀頭や陰茎に痒みや違和感を伴う、直径12 mmの複数の水ぶくれが出現し、その後、それが破れてくっつき合い、痛みを伴う円形の浅い潰瘍となり、1週間前後で痛みと潰瘍の状態がピークに達します。

太ももの付け根のリンパ節が腫れたり、尿道から分泌物が出ることもあります。これらの、皮膚および粘膜にみられる特徴的な病変から、ヘルペスと診断されることが多いです。

抗ヘルペスウイルス薬の内服により治療しますが、重症の場合は、点滴で投与することもあります。注意点として、ウイルス薬では、神経に潜伏している単純ヘルペスウイルスを排除することは不可能であるため、治療後の再発を防ぐことは出来ない点があげられます。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス (HPV) というウイルスが性器に感染することで、できものを生じる病気です。できものは、表面がとげとげとしていて硬く(鶏冠状またはカリフラワー状と医学的には表現されます)、色はピンク色〜茶色っぽいです。

男性器に発生する場所としては、陰茎の亀頭部や陰嚢が多いですが、肛門およびその周辺、尿道にみられることもあります。自覚症状は無いことが多いですが、場合により、痛みや痒みを伴うこともあります。特徴のある見た目から尖圭コンジローマと診断することが可能ですが、他の似たような疾患と区別するため、できものを一部採取し、顕微鏡で調べることで診断することもあります。

治療法としては、専用のクリームを患部に塗る薬物療法、液体窒素による凍結療法、レーザーなどによる外科的切除療法があります。どの治療法も、単独では完全に治すことは難しく、再発率が2030%であるため、複数の治療法をしばしば繰り返し行いながら、根気強く治療を受けることが大切です。

カンジダ症


カンジダ属
(カビの一種)による感染症です。女性に比べ、男性で罹患する例は多くはありません。ここでは、男性の性器にみられるカンジダ感染について説明します。

男性の性器カンジダ症では、亀頭炎の症状を呈することが多く、見た目の異常や自覚症状としては、亀頭部に、赤みや赤い湿疹、小さな水ぶくれやビラン、白い苔のようなものの付着がみられ、痒みや違和感を感じることがあります。稀ですが、クラミジア感染症や淋菌感染症のように、尿道炎を起こす場合があります。

包茎や糖尿病、ステロイド剤の使用が、カンジダ症の誘因となる場合があります。
亀頭部およびその周辺を綿棒で擦り、培養検査をすることでカンジダ症と診断します。抗真菌剤の軟膏、クリームを患部に塗ることで治療を行います。

梅毒

Treponema pallidumという、細菌による性感染症です。この性感染症の特徴は、症状が一度みられた後に消え去り、あたかも自然になおったかのように思われる期間があることです。感染後、全身に菌がばら撒かれたのち、無症状の期間を経て、さまざまな合併症を生じます。

1期〜第4期梅毒と、4つの進行段階に分けられ、それぞれの段階で、潰瘍や発疹など、梅毒に特徴的な皮膚の病変がみられますが、無治療のままで感染が進行すると、最終的に脳や心血管系にも異常をきたします。梅毒が疑われる場合、各種検査を行い、診断後は数週間にわたる抗菌薬の内服により治療します。

国立感染症研究所の報告によると、今年 (2022) に入り、梅毒の患者数が徐々に増えてきており、男性患者の年代別に見ると、若年層だけでなく40代および50代の患者数も比較的多くなっており、専門家が警鐘を鳴らしています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ひとくちに男性の性感染症と言っても、原因となる病原体が様々であり、それに伴い検査や診断、治療法が異なることがお分かりいただけたかと思います。

ひとによっては、性感染症の典型的な症状がみられない場合もあります。
自己判断により放っておくと、病状が進行してしまう恐れもあるので、もし気になる症状がみられた場合は、専門医を受診するようにしましょう。

参考文献

性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016

濵砂良一 JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2018 ー男性尿道炎とその関連疾患ー

日本泌尿器科学会ホームページ (尿道口から膿が出る についての説明ページ)

日本感染症学会ホームページ (梅毒 についての説明ページ)

日本皮膚科学会ホームページ 皮膚科Q&A (性感染症 についての説明ページ)

性の健康医学財団ホームページ (性感染症 についての説明ページ)

東京都福祉保健局 東京都性感染症ナビ ホームページ (性感染症について)

NHK webニュース (梅毒の患者 最多のペース 年間1万人を超える可能性)

・岡 秀昭 感染症プラチナマニュアル Ver.7 2021-2022

・岩田 健太郎 目からウロコ! 外科医のための感染症のみかた、考えかた

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