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コラムカテゴリ性感染症

女性のクラミジア感染症について症状や検査方法を解説

2023/06/07
監修:三上修

みなさんは、クラミジアという感染症について聞いたことはありますか?

クラミジア感染症は、国内において最も多い性感染症(性病)です※1。

名前を耳にすることもあるかもしれませんが、その内容について詳しく知っているという方は多くはないのではないかと思います。
この記事では、女性のクラミジア感染症について解説していきます。

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クラミジアとは?

クラミジア感染症は、クラミジア属に属するChlamydia trachomatis(クラミジア・トラコマティス、以下クラミジアと表記)という病原体によって引き起こされる病気(性感染症)です。クラミジアは寄生性細菌といわれ、通常の細菌とは異なり、生きた動物の細胞の中でしか生存できません※2。

クラミジアは、尿道や子宮頸管(子宮頸部)、咽頭などに感染します。主な感染経路は性行為による粘膜同士の接触ですが、オーラルセックスにより尿道から咽頭、あるいは咽頭から尿道の感染も起こります※3。また、通常のキスではうつることはめったにありませんが、ディープキスにより咽頭から咽頭への感染を起こすこともあります※4。

クラミジアの病原体は、動物の細胞内でしか生存できないため、前述の感染経路以外で感染することは基本的にありません。たとえば、クラミジアに感染した人と同じ湯船につかったり、同じトイレを使用したりということでの感染は原則起こりません。

女性のクラミジアでみられる症状

女性の場合、クラミジアが感染を起こす代表的な場所として、主に子宮頸管、咽頭の2か所があります。それぞれ感染して炎症を起こした場合、クラミジア頸管炎(けいかんえん)、クラミジア咽頭炎(いんとうえん)と呼ばれます。

過去には眼への感染も多く報告されていましたが、近年では衛生環境の向上により、めったにありません。クラミジアは感染部位により症状が異なります。クラミジア頸管炎、クラミジア咽頭炎に分けて解説します。

クラミジア頸管炎

クラミジアに感染した男性との性行為やオーラルセックスにより感染します。潜伏期間は1〜3週間といわれており、その間に子宮頸管だけでなく、子宮・卵管を通じて腹腔内(お腹の中)に徐々に広まっていくことがあります※3。

クラミジア頸管炎の症状としては、帯下(おりもの)の量や性状の変化を感じたり、不正出血、性交時の出血、排尿時の痛みなどを自覚することがあります※5。
しかし、クラミジア頸管炎を発症した女性の半分以上は、自覚症状が全く無いといわれています※3。

お腹の中にクラミジアが広まっていった場合、骨盤腹膜炎(子宮や卵巣・卵管の周りの骨盤内の炎症)や、肝周囲炎を引き起こすことがあり、それぞれ下腹部痛、右季肋部痛(肋骨の下付近の痛み)が生じたり、まれに強い腹痛で救急車で運ばれたりすることもあります※3, 4。

クラミジアが腹腔内に広がり炎症を起こした場合、卵管炎を生じることがあります。
卵管には、妊娠の際に受精の場所を提供したり、受精卵を子宮の内に輸送するといった役割があります。卵管炎が生じると、卵管が炎症により固く細くなってしまったり、卵管が周囲の臓器に癒着を起こして卵管の動きが悪くなってしまったりするため、受精が出来ない、または受精卵の子宮内への輸送が障害されてしまいます。

このような卵管の炎症による変化は、一度生じてしまうとクラミジアの治療を行っても体の中に永久に残り続けます。

これにより、不妊症の原因となったり、受精卵が子宮の中に着床できずに卵管に着床してしまい、子宮外妊娠の1つである卵管妊娠の原因となることがあります。なお、卵管妊娠となった場合は原則妊娠継続はできず、破裂し大量出血で命を落とす危険性があるため、卵管摘出などの手術が必要となります。

それだけでなく、クラミジアに気が付かずに妊娠した場合にも影響を及ぼします。
クラミジアが炎症を起こすことにより、子宮収縮が促進され流産・早産の原因となります。また、分娩で胎児が産道を通るときに感染を起こし、新生児結膜炎や新生児肺炎を引き起こします。このように、妊娠中や新生児への影響もあるため、クラミジア検査は妊婦健診中に行う必須検査の1つになっています。

クラミジア咽頭炎

オーラルセックスにより感染します。クラミジア咽頭炎を持つ人のオーラルセックスやディープキスなどにより、他の人にうつすこともあります。

クラミジア咽頭炎の症状としては咽頭痛・咳などがありますが、クラミジア頸管炎と同様に全く症状がないことも多いです。子宮頸管からクラミジアが検出された女性のうち、症状がなくても10〜20%の割合で咽頭からクラミジアが検出されたという報告もあります※3。

クラミジアの検査方法と検査時期

クラミジアの検査には、大きく分けてPCR検査、クラミジア抗体検査(血液検査)があります。

クラミジアPCR検査

クラミジアPCR検査は、性器であれば子宮頸管擦過検体(子宮口付近のおりものを細い綿棒で拭って採取する)、咽頭であれば咽頭ぬぐい液またはうがい液を採取し、それらをPCRにかけることによりクラミジアの病原体を検出します。(PCRは核酸増幅法のことでDNAを増幅する方法ですが、ここでは説明は割愛します。)

子宮頸管擦過検体を採取する場合は、内診で医師が子宮頸管からピンポイントで綿棒などで採取する必要があります。おりものを自己採取して提出するキットも販売されていますが、子宮頸管がクラミジア感染が起きる可能性が高い場所であり、子宮頸管からの検査がよりすすめられます※5。

咽頭ぬぐい液は咽頭を綿棒で擦過した検体を、うがい液は生理食塩水などでうがいをした検体を提出します。

クラミジアPCR検査にはいくつか種類がありますが※5、性器・咽頭どちらにおいてもわずかな数のクラミジアの病原体でも検出可能です。感染の可能性のあった機会からすぐに検査可能な場合もあります※6。詳しい検査可能な時期については、実際に検査を受ける医療機関に問い合わせしてみることをおすすめします。

クラミジア抗体検査

血液検査(採血)により、血液中のクラミジアに対する抗体価を調べます。抗体とは免疫系が病原体に反応して作られる病原体を攻撃するための物質で、クラミジアの場合IgG、IgAという種類の抗体を調べます。

IgGはクラミジアの感染から1ヶ月ほどで上昇し、数年間持続して徐々に低下していきます。IgAはクラミジア感染から5〜6週間後から上昇し、半年〜3年ほどの期間を経て陰性化します。注意点としては、クラミジア抗体検査は感染直後であれば上昇しない場合があること、また抗体価が陰性化するまでに時間がかかるため、治癒していても検査陽性になる場合があることです。

よってクラミジア抗体検査は、過去にクラミジアに感染したかことがあるかどうかを調べたり、補助診断として用いられたりすることが多く、現在実際に感染しているかどうかについては最終的にPCR検査にゆだねられます。

過去に一度でもクラミジアに感染していた場合、現在治癒していても卵管炎により卵管が詰まっている可能性はゼロではありません。したがって、このクラミジア抗体検査は、過去のクラミジア感染の有無を調べるために不妊症の検査の1つとして用いられることもあります。

クラミジアの治療方法 

クラミジア検査を行い陽性となった場合、抗菌薬による治療を用います。主にマクロライド系、ニューキノロン系といわれる抗菌薬の内服を行います。症状や炎症の強い劇症型には、点滴の抗菌薬を使うことがあります。以下にクラミジア治療の抗菌薬使用の例を示します※3。

1回の内服で済むものや妊娠中でも使用できるものもあるため、妊娠中の方でも安心して治療ができます。具体的なお薬の種類については、治療を受ける医療機関に相談をしてください。また、妊娠中の方またはその可能性のある方は、その旨を必ず伝えた上で相談してください。

DMMオンラインクリニックでは、以下の治療を提供しています。また別途、550円の配送料がかかります。
(※ DMMオンラインクリニックはオンライン診療のプラットフォームサービスの名称です。診療は提携先医療機関が行います。)

アジスロマイシン(商品名:ジスロマック ジェネリックの処方薬)500mg錠
1回に2錠内服(1回あたりの料金:税込 7,800円)

レボフロキサシン(商品名:クラビット ジェネリックの処方薬)500mg錠
1日1回1錠の内服を14日間継続(1回あたりの料金:税込 7,800円)

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治療効果を上げるために、確実に用法用量を守って飲み切ることが重要です。治療後も、お薬を飲んで終了ではなく、3〜4週間後にクラミジアが検出された部位の再検査を行い、治癒したかを確認する必要があります。この治療後の検査で陰性を確認をして、ようやくクラミジアの治療は終わりになります。

ここで陽性の場合は、再度抗菌薬を使用し、治療とその後の再検査が陰性になるまで確認が必要になります。感染部位は子宮頸管と咽頭が挙げられますが、クラミジア咽頭炎の場合、頸管炎の場合と比較して治療に時間がかかることもあると言われています※3。

治療後の再検査の注意点としては3〜4週間しっかり時間を空けることが重要です。この間隔が短い場合、治癒しているにもかかわらずクラミジアの死骸を検出して陽性となってしまう可能性があるからです。

また、クラミジアは性感染症の一種ですので、自分が陽性となった場合は必ずパートナーの検査も必要です。クラミジアは、女性は症状が全くないことが多いのですが、男性も同様に症状が全くないことが多く、クラミジアに感染しているかどうかは性器・咽頭のどちらも検査をしなければ分かりません。パートナーも陽性となった場合は、当然治療が必要ですが、自分が再検査まで受けてしっかり治癒していても、パートナーが治癒していなければ性行為により再度感染することもあります。

このように、片方が治っても感染しているパートナーから再度感染し、延々とお互いうつし合ってしまうことをピンポン感染といいます。ピンポン感染を防ぐために、自分とパートナーの両方が、治療後の再検査で陰性であることをお互いにしっかり確認するまでは、性行為を行わないようにすることが重要です。お互いの陰性が確認できるまではコンドームを使用して、という方法もあるのですが、破れてしまった、外れてしまったなどの場合に感染の可能性がありますので、おすすめできません。

まとめ

クラミジアは日本で最も多い性感染症であり、症状が全くないことが多いにもかかわらず最悪の場合不妊症になる可能性のある恐ろしい感染症です。クラミジアに限らず性感染症の予防の一環として、不特定多数の相手とは性行為を行わない、コンドームを使用するといったことが非常に重要です。これは、通常の性行為に限らず、オーラルセックスにおいても当てはまります。

また、感染の可能性のある機会があった場合は、症状がなくてもなるべく早めに産婦人科や性病を扱っているクリニックなどの医療機関を受診することが重要です。症状がある場合は、保険適応で自費の検査と比べ安価に検査ができることがあります。市区町村によっては保健所等で性感染症の検査を無料で行っていることがあります。検査できる項目や検査の可否などは、市区町村ごとに異なります。自治体に問い合わせをしたりホームページを確認したりすることをおすすめします。

出典

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