ED(勃起障害)とは? 原因と具体的な対策を解説
「ED」という言葉はなんとなく聞いたことはあるけれど、具体的にどんな状態を指すのか、自分にも当てはまるのか、治療法はあるのか——実は、EDについてよく知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、EDの定義や原因、そして治療法まで、わかりやすく解説します。
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EDとは?
EDは、勃起障害や勃起不全に相当する英語“Erectile Dysfunction”の頭文字を取った略称です。医学的には、
“満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること”
と定義されています。以前は異なる言葉で呼ばれることもありましたが、治療薬が登場したことをきっかけに、医学用語であるEDが一般の人にも広く知られるようになりました。
では、EDの診断はどのように行われるのでしょうか。一般的には、医師による問診によって診断されます。問診では、性行為や起床時の勃起状況、性欲、射精の有無、心理的な状態などについて確認されます。
他の病気のように問診票が使われることもあります。EDを診断する問診票はいくつかあり、
- どれくらいの頻度で勃起を維持できたか
- どれくらいの時間勃起を維持できたか
- 性行為に満足できたか
- どれくらいペニスが硬くなったか
といった質問が含まれます。
EDで悩んでいる人はどのくらいいる?
日本性機能学会が2024年に行った、全国調査の結果をみてみましょう。20〜79歳の男性37,485人を対象にオンライン調査への参加を依頼し、6,228人から回答を得ました。
まず、EDに悩んでいるかどうかについて尋ねたところ、「はい」と答えた人は13.0%でした。
一方、「陰茎は大きくなるが、硬くはない」から「陰茎は完全に硬く、硬直している」までの5段階で評価する勃起硬度スコアによる回答では、EDとされる「グレード2」以下の人の割合は30.9%でした。これは日本人男性の約1,400万人がEDであることを示しています。EDの割合は20代が30代・40代を上回っていました。
また、夜間勃起のない男性は30代、40代よりも20代に多く、性欲を感じない男性も20~24歳が25~39歳よりも多いという結果でした。
本人には自覚がなくてもEDと判定される人は多く、さらに若い男性は他人に対する性欲や満足度が低いことがうかがえる結果でした。
若い男性にEDが増えている理由は?
若い男性にEDが増えている背景には、デジタルコンテンツの多様化やソーシャルメディアの充実が大きく影響している可能性があります。パーソナライズされた性的情報に気軽にアクセスすることで、性的な感覚を鈍らせたり、理想と現実のギャップを感じさせたりし、EDにつながるという考え方です。
ただし、性的な動画などがEDの直接的な原因であるとは断定できず、個人によって影響の度合いも異なります。
EDの原因にはどんなものがある?
EDの原因はひとつではありません。いくつもの原因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。ここでは、EDを引き起こす可能性のある多種多様な要因について説明します。
原因は大きくわけて3種類
EDの原因は、大きくわけると3つです。
- 病気を含めた身体的な不調が原因の器質性ED
- 心理的な要因によってEDになる心因性ED
- 器質性EDと心因性EDが混ざり合った混合性ED
ほとんどのEDは混合性EDであり、その中で器質性の要素が大きいもの、心因性の要素が大きいものがあります。
心因性EDは文字通り、不安や緊張、焦りなどのストレスやうつ状態など精神的なものに起因するEDです。
一方、器質性EDの原因は、加齢、糖尿病、肥満や運動不足、心血管疾患や高血圧などさまざまです。中には薬や手術など、他の病気のための治療が原因となっているものもあります。
EDと早漏との関係は?
早漏は射精が早い状態です。いくつかの団体から異なる定義が発表されていますが、射精までの時間が短い(1〜2分)、自分で射精をコントロールできない、そしてその状態を苦痛に感じることが要件となっていることが多いようです。
早漏とEDが直接関連しているという証拠はありません。しかし、早漏で抑うつや不安がある人は、EDにもなりやすいことが明らかになっています。
また、EDの人は射精に至るまでの時間が短い(早漏である)こともいくつかの研究で示されています。
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自分でEDは解消できる?
EDの原因には、自分で改善できるものと医療の手助けが必要なものがあります。このパートでは自分でできるED対策を紹介していきます。
自分で改善可能な原因は肥満・運動不足・喫煙
EDの原因と考えられているもののうち、生活習慣の見直しで改善可能なものとしては、肥満、運動不足、喫煙があります。
肥満はそれ自体も原因となり得ますが、同じくEDの原因と考えられている糖尿病や心血管疾患、高血圧の危険因子でもあることから、肥満の解消はEDの改善につながる可能性があります。適度な運動も同様です。
喫煙もEDの原因のひとつです。喫煙がEDの原因となるメカニズムとしては、血管内皮障害やペニスへの血流障害、交感神経の刺激などが考えられています。多くの研究で喫煙者がEDになりやすいことが示されており、禁煙は有効なED対策のひとつといえます。
ED対策に効果的な食生活は?
EDになりやすいとされる肥満、糖尿病、高血圧では、食生活も大切になってきます。肥満の人は肥満を解消するような食事、糖尿病や高血圧の人は医師から指導されている食事療法をきちんと守ることが大切です。
EDに効果的な運動は?
また、食生活の改善と同時に運動を行うのもよい方法です。EDに効果的な運動には、有酸素運動と骨盤底筋トレーニングがあります。
有酸素運動は、EDの原因である肥満や生活習慣病を解消することによって、EDにも効果があるものと考えられます。
骨盤底筋トレーニングは尿漏れ治療のための運動療法として行われますが、EDにも効果があることが明らかになっています。
- トレーニングを行う姿勢を決めます
- その姿勢のまま、肛門まわりの筋肉を引き締めます(10秒程度)
- 力を抜き、全身をリラックスさせます(10秒程度)
- このサイクルを1日30回以上繰り返します(最初はできる回数から始めましょう)
EDに効果がある薬とは? 入手方法は?
ED治療には、原因である糖尿病や高血圧の治療の他に、EDそのものを改善する治療薬があります。といってもEDを完治させるのではなく、必要なときに勃起に導く薬です。このパートではED治療薬であるPDE5阻害薬について解説します。
PDE5阻害薬(ED治療薬)とは?
PDE5阻害薬はペニスの海綿体に作用して、勃起を助ける薬です。性的刺激により効果を発揮するため、薬を飲んだら勃ちっぱなしということもなく、ごく自然な性行為を楽しめます。
有名なバイアグラ(シルデナフィル)の他にも、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)、ステンドラ(アバナフィル)といった薬があり、薬によって効果が少しずつ異なります。飲んでから効果が出るまでの時間、効果が持続する時間、食事の影響など、ご自分のスタイルに合った薬を見つけて使うようにしましょう。
なお、どのED治療薬でも共通する副作用として、
- 頭痛
- ほてり
- 消化不良
- 鼻閉(鼻づまり)
- 眼症状
などがあります。症状は軽いことが一般的で、一時的なものが多いようです。
気をつける必要があるのは、4時間以上勃起が続く場合です。極めて稀な副作用ですが、万が一そのようなことがあれば緊急度が高いので、すぐに医師に相談しましょう。
各ED治療薬の特徴や選び方については、こちらの記事をご覧ください。
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医師の処方箋があれば購入可能
ED治療薬は医師の処方箋があれば、購入可能です。処方箋は医療機関で医師の診察を受けることにより発行してもらえます。
個人での売買や医療機関以外の場所からの購入は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(通称:薬機法)という法律で禁止されており、違法となりますのでご注意ください。
また、インターネットを利用した海外からの個人輸入の場合、偽造医薬品の可能性もあり、大変危険です。医師の診察を受けずに入手した場合、体に合わずに思わぬ副作用が出る可能性もあります。
「通院する時間がない」「対面だと恥ずかしい」という方は、スキマ時間で受診可能なオンライン診療という手段もあります。オンライン診療であれば、自宅に薬を届けてもらえるのもポイントです。
よくある質問
ED治療薬に関するよくある質問をまとめました。
Q.ED治療薬で完治しますか?
A.ED治療薬は、ペニスの海綿体の筋肉を弛緩させて血流を増やすことで勃起させる薬です。EDを完治させるためには、原因となる病気や状態を改善する必要があります。
Q.ED治療薬を飲み続けると効かなくなる?毎日飲む必要がある?
A.ED治療薬は性行為をするタイミングで飲む薬です。毎日飲む必要はありません。また、飲み続けたからといって効かなくなるようなこともありません。
毎日飲んでも問題はありませんが、必ず用法・用量を守り、24時間は間隔を空けるようにしてください。
Q.ED治療薬が効かない場合は?
A.ED治療薬が効かない場合の81%は、不適切な飲み方によるものという報告があります。例えば脂っこいものを食べた後の服用や過度な飲酒後での服用では、効果が出るのが遅くなったり、効果が減弱します。
指示通りに飲んでいても効かない場合は、薬を変更してみるのもひとつの方法です。いろいろな薬を試してみて、自分に合ったED治療薬を見つけましょう。
Q.ED治療薬以外の治療法は?
A.ED治療薬以外の治療法としては、陰圧式勃起補助具というペニスにかぶせて吸引する医療機器や、海綿体にPGE1という薬を注射するといった方法があります。
また、心因性の場合はカウンセリングなどが有効な場合があります。
さらに原因となる疾患を治療することにより、EDが改善したという報告がありますので、現在、慢性疾患の治療を受けている方はしっかりと治療をすることをおすすめします。
まとめ
EDは20代でも起こる身近な症状であり、薬による治療も可能です。原因を特定し、最適な治療を確認するためにも、医師に相談してみましょう。
出典
日本性機能学会/日本泌尿器科学会編:ED診療ガイドライン[第3版],2018
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