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コラムカテゴリ不眠症・睡眠障害

ベルソムラの効果と副作用|作用時間・依存性・他の睡眠薬との違い

2025/12/26
監修:辛島 史憲

ベルソムラは、「なかなか寝付けない」「夜中に目が覚めてしまう」などの不眠症状に対して処方される睡眠薬です。従来の薬とは異なる作用機序により、自然な眠りに近い状態を促します。

睡眠薬は、「効果は何時間続くのか」「翌朝まで眠気が残らないか」「期待通りに効かないことはあるか」など、不安や疑問を抱きやすいものです。この記事では、ベルソムラの効果と副作用、効果が発現するまでの目安や持続時間などを、医薬品情報とエビデンスに基づいてわかりやすく解説します。初めて服用する方にも理解しやすいよう、服用時の注意点もあわせて解説します。

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ベルソムラとは|特徴と作用メカニズム

ベルソムラは脳の覚醒に関わる仕組みに作用し、自然な眠りを促すタイプの睡眠薬です。従来の睡眠薬とは作用機序が異なり、依存や翌朝のふらつきが比較的起こりにくい特徴があります。

オレキシン受容体拮抗薬(ORA)の仕組み

ベルソムラは、世界で初めて承認されたオレキシン受容体拮抗薬です。オレキシンとは、脳を「起きていよう」と働かせる覚醒物質で、日中の活動や覚醒状態を支えています。

ベルソムラはオレキシンが結合する受容体を阻害し、過剰な覚醒状態を抑えます。覚醒を維持する仕組みに働きかけることで脳の過度な興奮を和らげ、自然な入眠を促します。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬との違い

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、脳の抑制系に関わるGABA受容体に作用して、脳全体を鎮静し入眠へと導きます。

一方、ベルソムラはGABA系に作用せず、覚醒の維持に関わるオレキシンだけを選択的にブロックする薬です。そのため依存性や耐性が起こりにくく、翌朝のふらつきや記憶への影響も少ないとされています。このように、両者は作用する仕組みが異なるため、効果や副作用のあらわれ方にも違いがみられます。

依存性が低い理由

ベルソムラは、依存や乱用に関与しやすいGABA受容体を直接刺激しません。そのため、多幸感や強い鎮静を引き起こしにくいと考えられています。動物試験やヒトでの研究においても、従来の睡眠薬と比べて「乱用性(習慣化しやすさ)」が低い可能性が示されています。ただし、依存の可能性が完全に否定されているわけではないため、用量や服用期間については医師の指示を守る必要があります。

ベルソムラの効果|どんな不眠に効く?

ベルソムラは、寝つきに時間がかかる「入眠困難」や、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」など、複数のタイプの不眠症状に効果を示します。脳の覚醒を穏やかに抑え、入眠しやすくなるのが特徴です。睡眠の質を整えたい場合に処方されるケースもあります。

寝つきが悪い(入眠困難)

布団に入ってからもなかなか眠れない「入眠困難」に対して効果が期待されます。覚醒を促すオレキシンの働きを抑えるため、頭の冴えや余計な緊張が和らぎ、自然と眠りに入りやすくなるとされています。寝つくまでに時間がかかる症状に対して処方される場合があります。

夜中に目が覚める(中途覚醒)

夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」にも用いられます。覚醒を維持するオレキシンの働きに作用するため、夜間の長い覚醒が起こりにくくなり、睡眠が途切れにくくなるとされています。夜中に何度も目が覚める、再入眠に時間がかかるといった症状に用いられることがあります。

早朝に目が覚めてしまう場合の考え方

夜中や明け方に起きてしまう「睡眠維持」の問題に対して改善がみられたという報告があります。一方で、朝早く目覚めてしまう「早朝覚醒」だけを対象にしたデータは多くありません。

ただし、覚醒を抑える作用によって、「目が覚めてから再び眠れずにいる時間」が短くなる可能性もあります。不眠の背景や症状の経過を踏まえ、医師の判断で検討されます。

ベルソムラが効くまでの時間・持続時間は?

ベルソムラは服用後30分から1時間で効き始め、その後も作用が一定時間維持するとされています。この章では、効果があらわれるまでの目安や持続時間、適切な服用タイミングについて解説します。

服用後30分〜1時間程度で効果が出始める

服用後およそ30分〜1時間で眠りに入りやすくなるとされています。臨床試験では、就寝前に服用することで入眠までの時間が短縮する傾向が確認されています。添付文書では就寝直前の服用が推奨されていますが、実際の効果の感じ方には個人差があります。なお、食後すぐに飲むと吸収が遅れ、眠りに入りやすくなるまでに時間を要する場合があります。

効果のピークと持続時間

服用後1〜2時間で血中濃度が最大となり、この時間帯に効果があらわれやすいとされています。作用は一晩持続し、夜中に目が覚めている時間が短くなると報告されています。薬の成分が体の中で半分に減るまでの時間を示す「半減期」は約12時間ですが、臨床試験では翌朝の身体機能への影響は少ないと示されています。

効きやすさを左右する服用タイミング

ベルソムラは服用後30分〜1時間程度で効果があらわれるため、就寝直前に服用すると効果発現と就寝のタイミングを合わせやすくなります。添付文書でも「就寝直前の服用」が指示されており、翌朝への影響を避けるためにも、起床まで7時間以上の睡眠時間を確保できる場合に使用することが重要です。また、食後すぐに服用すると吸収が遅れて効果の出始めが遅くなることがあるため、食事から2時間ほどあけて服用するとよいでしょう。

オレキシン受容体拮抗薬(ORA)の比較表

オレキシン受容体拮抗薬(ORA)は、現在4種類販売されています。それぞれの主な特徴を以下の表にまとめました。

それぞれ作用の特徴や向いている症状が異なるため、不眠のタイプや生活リズムに合わせて医師が使い分けます。

※「作用発現時間」「効果持続時間」は、臨床試験や研究データを基にした目安であり、添付文書に記載された公式な数値ではありません。実際の効果の感じ方には個人差があります。

オンライン診療ではどんな不眠症状を相談できる?

オンライン診療では、自宅から不眠の相談ができ、症状に応じた治療の提案を受けられます。ここでは、診察で相談できる内容や、オンライン診療を利用するメリットについて紹介します。

入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒

オンライン診療では、「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「朝早くに起きてしまう」といった不眠症状に加え、生活リズムの乱れによって眠れない状態についても相談できます。症状の特徴や持続期間を踏まえて、治療の方向性を医師が判断します。

不眠の背景にある要因の整理

睡眠は、ストレスや不安、身体の不調、服用中の薬剤など、さまざまな影響を受けます。オンライン診療では、現在の体調や既往歴、服薬状況を確認した上で、“眠れない背景”を整理します。その結果に応じて、治療内容の見直しや追加の受診が提案されることもあります。

薬の選択や変更についての相談

自宅にいながら、症状のタイプに合った睡眠薬を医師と相談して選ぶことができます。効きにくさや翌朝の眠気などがある場合には、用量の調整や薬剤の変更が検討されます。ベルソムラを含めた複数の選択肢から、症状や生活スタイルに合った治療方針を医師と一緒に検討可能です。

DMMオンラインクリニックで取り扱いのある睡眠薬

DMMオンラインクリニックと提携する医療機関では、不眠のタイプや体質に応じた治療が行われています。ベルソムラなどのオレキシン受容体拮抗薬を中心に、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬や漢方薬も取り扱っており、症状や既往歴、生活状況を踏まえた上で、医師が薬剤の選択や用量を判断します。

【取り扱い薬】

  • ベルソムラ
  • ボルズィ
  • クービビック
  • デエビゴ
  • エスゾピクロン(ルネスタジェネリック)
  • リスミー
  • ラメルテオン(ロゼレムジェネリック)
  • 加味帰脾湯(カミキヒトウ)
  • 酸棗仁湯(サンソウニントウ)
不眠症・睡眠障害はオンラインで相談
近隣に通いやすい医療機関がない、といった場合はオンライン診療をご提案します。生活習慣を見直し、症状にあわせたお薬を服用。自宅にいながら医師のサポートを受けられます。※医師の判断により処方できない場合があります。

ベルソムラが効かない?よくある原因と対処法

ベルソムラが効きにくいと感じる背景には、服用タイミングや不眠の原因、体質など、複数の要因があります。ここでは、考えられる理由と対処法を紹介します。

【1】食後すぐの服用

食後すぐに服用すると吸収が遅れ、効果があらわれ始めるまでに時間を要する場合があります。特に脂肪を多く含む食事の後では、薬が効くタイミングが後ろにずれやすく、「効果がない」「寝つきにくい」と感じる原因になる可能性があります。

対処法

就寝直前の空腹に近いタイミングでの服用が推奨されています。食事から一定時間をあけて服用することで、効果の感じ方が変わることがあります。

【2】重度の不眠・期待値が高すぎる

強いストレスやうつ状態、慢性的な睡眠リズムの乱れなど、根本的な要因が大きく関与している場合には、ベルソムラ単独では十分な効果を実感しにくいケースがあります。また「服用すればすぐに深く眠れる」と期待しすぎると、実際の作用との間にギャップが生まれやすくなります。

対処法

思うような睡眠の改善が得られない場合には、生活習慣の見直しや治療方針の変更も含めて医師に相談しましょう。

【3】体質や不眠のタイプに合わない

体質や不眠のタイプによっては、ベルソムラでは十分な効果を実感しにくいことがあります。特に、強い不安による入眠障害が中心の場合には、医師の判断によって別の作用機序を持つ睡眠薬が選択される可能性もあります。

対処法

自己判断での増量は避け、効果が弱いと感じるときには医師に相談し、用量や薬の種類の見直しを検討してもらいましょう。

【4】他の薬剤との飲み合わせによる影響

ベルソムラはCYP3A4と呼ばれる肝臓の酵素によって代謝される薬です。そのため、抗菌薬や抗真菌薬、一部のてんかん薬など、CYP3A4の働きに影響を及ぼす薬と併用すると、効果が強く出たり、反対に弱まったりする可能性があります。

また、精神安定薬や抗不安薬など、中枢神経を抑える薬と併用すると、翌朝の眠気やふらつきが強まる場合があります。

対処法

他に服用している薬や飲酒習慣がある場合は、診察時に正確に伝えましょう。安全性の観点から、併用の可否について医師の確認が必要です。

【5】アルコールとの併用

アルコールには脳の働きを抑える作用があるため、ベルソムラと一緒に飲むと眠気やふらつきが強まり、転倒や判断力の低下につながる恐れがあります。また、夜中に目が覚めやすくなったり、睡眠の質が悪化したりする場合もあります。

対処法

ベルソムラの効果を十分に得るためにも、服用時の飲酒は避けましょう。

ベルソムラの副作用|頻度・重症度・注意すべき症状

ベルソムラは副作用が比較的少ないとされていますが、眠気や疲労感、頭痛などの症状がみられる場合があります。ここでは、注意すべきポイントや受診の目安について解説します。

比較的よくみられる副作用

ベルソムラで比較的よくみられる副作用は、日中の眠気(傾眠)、疲労感、頭痛、ふらつきを感じる浮動性めまい、悪夢などです。これらの副作用は臨床試験で報告されていますが、症状の出方や感じ方には個人差があります。ただし、日常生活に支障がある場合や症状が強くあらわれる場合は、無理に服用を続けず医師に相談してください。

注意が必要な副作用・稀にみられる症状

ベルソムラには、添付文書上の「重大な副作用」として明確に分類されている項目はありませんが、頻度は低いものの注意が必要な症状が報告されています。

具体的には、眠っている間に無意識の行動が起こる「睡眠関連行動」や、呼吸機能に問題がある場合の呼吸抑制、高齢者を中心とするふらつきによる転倒リスクなどです。特に呼吸器疾患など既往歴がある方や、高齢者は影響が出やすい可能性があります。普段と異なる症状があればすぐに服薬を中止し、医療機関を受診してください。

睡眠時無呼吸症候群(OSA)がある場合の注意点

ベルソムラは、軽度から中等度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)患者を対象とした試験において、短期間の服用では明らかな呼吸抑制作用は認められなかったと報告されています。

一方で、重度のOSA患者を対象とした十分な検討が行われていないため、安全性は確認されていません。無呼吸が強い場合や、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)などの治療を受けている場合には、自己判断での使用は避け、必ず医師に相談した上で慎重に服用してください。

高齢者での注意点

高齢者は肝臓や腎臓の機能低下により代謝が遅くなり、薬の作用が翌朝まで残りやすいとされています。その結果、眠気やふらつきが生じ、転倒リスクが高まることがあります。一般的に、高齢者では低用量の15mgから開始するよう推奨されており、他の薬との組み合わせにも注意が必要です。服用後に体調の変化を感じた場合には、無理をせずに早めに医師に相談しましょう。

併用禁忌・注意が必要な薬

ベルソムラは肝臓のCYP3A4と呼ばれる酵素で代謝されるため、この酵素の働きを強く阻害する薬と一併用すると、血中濃度が過度に上昇し副作用が強まる恐れがあります。

◆併用が禁忌とされている主な薬剤

  • 抗真菌薬(イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール)
  • 抗菌薬(クラリスロマイシン、クラリスロマイシンを含むピロリ菌除菌治療薬)
  • 抗HIV薬(リトナビル)
  • 新型コロナウイルス感染症の治療薬 (ニルマトレルビル・リトナビル〈パキロビッド〉、エンシトレルビル〈ゾコーバ〉)

上記の薬を服用中の場合、ベルソムラは使用できません。

 

◆併用に注意が必要な薬

  • 他の睡眠薬や中枢神経に作用する薬
  • アルコール

これらと併用すると、眠気やふらつきが強まる可能性があります。現在服用している薬だけでなく、最近使用した治療薬や飲酒習慣についても、診察時に必ず医師へ伝えてください。

妊娠中・授乳中の注意点

ベルソムラは、妊娠中の使用について十分な安全性が確認されていません。動物実験では、多量投与した際の着床数や胎児体重の低下などが報告されています。このため、妊婦または妊娠している可能性のある女性では、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用が検討されます。

また、ベルソムラは母乳へ移行することが確認されており、授乳中に服用する場合は「授乳を続けるか」「薬の使用を継続するか」を医師と相談して判断する必要があります。安全のため、妊娠中または授乳中の方は必ず医師に相談してから使用してください。

ベルソムラについてよくある疑問

本文の内容を踏まえつつ、ベルソムラに関する疑問をまとめて解説します。効果の持続時間や依存性、飲み合わせなど、使用前後に不安を感じやすい点について簡潔に整理しています。

Q.効果が出るまでどれくらい?

A.ベルソムラは、服用後およそ30分〜1時間ほどで眠りに入りやすくなるとされています。そのため、寝る準備を整えた上で就寝直前に服用するのが適しています。なお、食後すぐに服用すると吸収が遅れて効果発現が遅くなる場合があります。

Q.ベルソムラは何時間効く?

A.7時間ほど作用が続くとされています。そのため、服用するときは起床までに7時間以上の睡眠時間を確保しておくことが大切です。十分な睡眠時間を取れない日は、無理に服用しないようにしましょう。

Q.アルコールと一緒に飲んでも問題ない?

A.ベルソムラとアルコールの併用は避けるよう推奨されています。どちらにも脳の働きを抑える作用があるため、併用すると眠気やふらつきが強まったり、転倒などの事故につながったりする恐れがあります。

また、アルコールの影響で眠りが浅くなり、薬の効果を感じにくくなる場合もあります。ベルソムラを服用する日は飲酒を控えるようにしましょう。

Q.併用に注意が必要な薬はある?

A.一部の抗菌薬や抗真菌薬と併用すると、ベルソムラの血中濃度が上がり、副作用が強まる可能性があるため、一緒に服用することはできません。他に服用している薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えて確認してください。

Q.依存性や長期使用のリスクはある?

A.ベルソムラは依存や乱用に関わる脳の仕組みに強く作用しないため、依存に繋がりにくいとされています。実際の研究においても、従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬ほどの乱用性は示されていません。

ただし、長期間継続して使用する場合は、症状の経過をみながら医師と相談して継続の可否を判断することが重要です。

Q.ベルソムラで注意しておきたい点は?

A.食後すぐの服用やアルコールとの併用によって、効果の出方や副作用が強まる場合があります。

また、ベルソムラは自然な眠りを促す睡眠薬ですが、うつ病や身体疾患、薬剤の影響など、他の原因によって起こる不眠に対する有効性や安全性は十分に確立されていません。そのため、不眠の背景に原因となる病気がある場合には、睡眠薬の使用だけでは十分な改善が得られないことがあります。

ベルソムラを安全に使うために

ベルソムラは、脳の覚醒に関わる仕組みに作用して自然な眠りを促す睡眠薬です。入眠困難や中途覚醒など、幅広い不眠症状に対して使用されており、依存性が生じにくい点も特徴です。また、作用メカニズムの特性から筋弛緩作用が少なく、ふらつきが起こりにくいとされています。

一方で、食後に服用すると効果発現が遅れる場合や、併用できない薬があるケースなど、注意すべき点も存在します。不眠の背景に他の疾患や生活習慣の影響がある場合には、十分な改善が得られないこともあります。

ベルソムラが体質に合うかどうかは体質や生活環境によっても変わるため、自己判断せずに医師に相談しましょう。オンライン診療を活用すれば、不眠で外出がつらいときでも通院の負担なく、自宅から受診することができます。状態に応じた治療の提案を受けられるため、無理のない形で不眠治療を継続できます。

不眠症・睡眠障害はオンラインで相談
近隣に通いやすい医療機関がない、といった場合はオンライン診療をご提案します。生活習慣を見直し、症状にあわせたお薬を服用。自宅にいながら医師のサポートを受けられます。※医師の判断により処方できない場合があります。

出典

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