メトホルミンのダイエット&若返り効果とは?
メトホルミンは世界各国で古くから使われている2型糖尿病の飲み薬ですが、最近ではダイエットやアンチエイジング(エイジングケア・老化予防)にも役立つ可能性が注目されています。メトホルミンダイエットは、気軽にメディカルダイエットを始めたい方におすすめの方法です。
今回は、メトホルミンダイエットの特徴や注意点などについて解説します。
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メトホルミンで痩せる? エイジングケアにも効果あり?
メトホルミンは古くからある2型糖尿病の飲み薬です。GLP-1ダイエットほどの効果はないものの、最近は、ダイエット効果やエイジングケア効果が期待できると注目されています。このパートでは、メトホルミンダイエットの特徴を紹介します。
メトホルミンのダイエット効果と作用メカニズム
手軽な飲み薬で、お財布にもやさしいメトホルミン。海外では1970年代から使われ始め、今では日本も含めた多くの国で使用されている、2型糖尿病の治療薬です。
最近の研究では、血糖値を下げる効果だけではなく、ダイエット効果があることも報告されています。さらに、一部の研究ではがんや老化に関わる作用への可能性も指摘されていますが、これらについては研究段階であり明らかなエビデンスはまだないという状況です。
メトホルミンのダイエット効果は、
- 肥満の原因である体内の糖を減らす
- 腸内細菌の働きを整え、腸内環境を健やかに保つ
- 肥満ホルモンの調節を行う
- 食欲を抑える
などのさまざまなメカニズムによるものと考えられます。
どれくらい痩せる?臨床試験の結果からみる減量効果
メトホルミンには体重を減らす効果があるとされる研究もありますが、その効果には個人差があり、試験の条件によっても結果はさまざまです。
たとえば、メトホルミン850mgを1日2回、1年間投与した試験では約2kgの体重減少が報告されています。また糖尿病でない肥満患者31名を対象に、1日2.55gを28週間投与し、試験開始から29週目まで観察した研究では、平均13ポンド(約6.7kg)の体重減少がみられました。なお、この用量は日本国内での通常の使用量(1日最大2,250mg)をやや上回っており、同様の結果が得られるかは使用量や体質によって異なる可能性があります。
このように、飲む期間や体の状態によって体重減少が得られた例もあります。ただし、すべての研究で同じような結果が出ているわけではなく、「あまり体重が減らなかった」という報告もあります。GLP-1受容体作動薬(いわゆるGLP-1ダイエット)と比べると、メトホルミンの体重減少効果はおだやかで、より副次的なものといえます。ダイエットを目的に使用する場合は、医師の判断や個々の健康状態をふまえて検討することが大切です。
GLP-1と併用するとどうなる?
メトホルミンとGLP-1受容体作動薬は、どちらも食欲や血糖値に影響を与える働きがありますが、その仕組みは異なります。作用が一部重なるため、併用によってより高い減量効果が期待できる場合もあります。メトホルミンはGLP-1ダイエットと似た仕組みで食欲を抑える作用があり、間接的に体重減少をサポートすることが知られています。そのため、GLP-1製剤と併用することで、より減量効果が得られる可能性があります。
しかし、GLP-1ダイエットだけでも十分な効果が見込まれるため、すべての方に併用が必要というわけではありません。ご自身の体質や目的に応じて、医師と相談しながら使い分けるのがよいでしょう。
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メトホルミンのエイジングケア効果って?
ダイエット目的でメトホルミンを使用するメリットのひとつに、エイジングケア効果(老化予防効果)が期待されることがあります。最近の研究では、動物を用いた実験などでメトホルミンによる寿命の延長や、老化に伴う疾患の進行を遅らせる可能性が注目を集めています。
メトホルミンのエイジングケア効果に関してはまだ十分な研究が進んでいませんが、
- ミトコンドリア由来の酸化ストレスを減らす
- 老化に関わる遺伝子に作用して、細胞の老化スピードを緩やかにする
といったメカニズムが考えられています。
また、メトホルミンは高齢者に多い「サルコペニア(筋力低下)」や「フレイル(心身の虚弱)」を予防する効果があるともいわれています。
メトホルミンはこうして使おう
メトホルミンは効果がマイルドで値段もリーズナブルなため、費用を抑えながら少しずつ体重を減らしたい方におすすめの薬です。このパートでは、メトホルミンはどんな人におすすめできるのか、そして使用する際のポイントについてご紹介します。
メトホルミンはこんな方におすすめ
メトホルミンは次のような方に向いています。
時間をかけて無理なく体重を減らしたい方
メトホルミンのダイエット効果はマイルドで、副作用も比較的少ないため、続けやすいのが特徴です。
薬にかかる費用をできるだけ抑えたい方
メトホルミンは長年使われてきたジェネリック医薬品が豊富にあり、コストパフォーマンスに優れています。
メタボ健診(特定健康診査)で指摘を受けた方
メタボ健診で血糖値が高めと指摘された方にもおすすめです。インスリンの働きを助け、血糖値を下げやすい体に整えることで、糖尿病の予防にも役立ちます。
実際にアメリカで行われた大規模研究では、糖尿病予備群の人にメトホルミン850mgを1日2回使ったところ、糖尿病への進行リスクが31%低下したという結果も報告されています。
ただし、同じ研究では食事や運動などの生活習慣の改善が、発症リスクをより大きく(58%)下げたこともわかっています。生活改善が難しい場合は、メトホルミンを取り入れるのもひとつの方法です。
メトホルミンの使用方法と注意点
メトホルミンは、比較的安全性の高い薬ですが、正しく使うことが大切です。 「いつ飲めばいいの?」「副作用はある?」といった疑問にしっかり答えながら、使用前に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
使用方法は?
1回1錠を1日2回または3回、食事の直前または食後に服用します。
副作用とその対策
主な副作用には、下痢、吐き気、食欲不振、腹痛、嘔吐などがあります。
重大な副作用には以下のようなものがあります。次のような症状がある場合は、直ちに医療機関を受診し、医師に相談してください。
■重大な副作用と考えられる自覚症状
- 乳酸アシドーシス:悪心・嘔吐などの胃腸症状、倦怠感、筋肉痛
- 低血糖:脱力感、空腹感、発汗
- 肝機能障害、黄疸(おうだん):全身倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる
- 横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう):手足の筋肉の痛み、こわばり、しびれ
乳酸アシドーシスは、アルコールの飲み過ぎや脱水症状で起こりやすい状態です。メトホルミンを使っている間はアルコールの飲み過ぎに注意し、水分を多めに摂るようにしましょう。
また、CT検査や心臓カテーテル造影検査などのヨード造影剤を使う検査で、乳酸アシドーシスを起こす可能性があります。検査を受ける際にはメトホルミンを飲んでいることを申し出るか、検査前48時間は使用するのをやめましょう。
低血糖があらわれた場合は、糖質を含む食品や砂糖を摂りましょう。ダイエット飲料は甘くても糖質が含まれていない場合があるため、注意が必要です。また、まれに低血糖を起こして意識を失うことがあります。身近な人に副作用が起こる可能性があることを伝えておきましょう。メトホルミンを飲んでいることを書いたメモを持ち歩くのもひとつの方法です。
使えない方は?
以下のような方はメトホルミンを使用できません。メトホルミンの処方時に限らず、受診の際は医師に自身の服薬状況や健康状態について話す習慣を身につけましょう。場合によっては一緒に使えない薬があるためです。
- 腎臓や肝臓に重い病気がある方
- 心臓や肺に重い病気がある方
- 低酸素血症になりやすい方
- 脱水症状を起こす可能性が高い方
- 飲酒量が多い方
- 1型糖尿病や重い感染症、手術をした方、手術を予定している方
- 妊娠または妊娠の可能性がある方
- 過去にメトホルミンに含まれる成分やビグアナイド系薬剤で過敏症のあった方 など
メトホルミンについてよくある質問
メトホルミンについて「実際どれくらい痩せるの?」「GLP-1と比べてどうなの?」といった疑問がある方も多いでしょう。
ここでは、メトホルミンダイエットを始める前に知っておきたいポイントをわかりやすくまとめました。
Q. メトホルミンで何キロ痩せる?
A.個人差があるため一概にはいえません。複数の研究で、2型糖尿病ではない肥満の人において、1日1,700mg〜2,550mg程度のメトホルミンを1カ月〜1年間の投与で、2〜6.7kgの体重減少があったことが報告されています。なお、2,550mgという用量は、日本国内で定められた最大投与量(2250mg/日)をやや上回るため、国内では同様の投与は行われていません。また、すべての研究で一貫した効果が出ているわけではなく、減量効果はマイルドです。
Q. メトホルミンとリベルサス、どっちが痩せる?
A.その人の体質などによって異なりますが、ダイエット効果はメトホルミンの方がマイルドといえるでしょう。
リベルサスについての研究ではありませんが、糖尿病でない肥満の人に対してGLP-1受容体作動薬とメトホルミンを使用し、効果を比較した研究があります。この研究で、GLP-1受容体作動薬の方がダイエット効果が高いことがわかっています。また、薬の副作用で体重が増えた人に対して、メトホルミンとリベルサスを使用した結果、リベルサスの方がダイエット効果が高いことが明らかになりました。
Q. メトホルミンと一緒に飲まない方がいい薬は?
A.メトホルミンと一緒に使用しない方がいい薬には、検査で使用されるヨード造影剤や利尿薬、糖尿病治療薬(特にSGLT2阻害薬)があります。
他にも注意が必要な薬がありますので、診察時や薬の処方時には、既往歴や服用している薬など、自身の健康状態について医師に伝えることが大切です。また、薬ではありませんが、アルコールの飲み過ぎは控えるようにしましょう。過度の飲酒により、乳酸アシドーシスを起こす可能性があります。
Q. どれくらいで効果が出る?
A.さまざまな研究が行われてきましたが、低カロリー食とメトホルミンを併用することで、1カ月ほどで体重に変化があらわれたという報告もあります。また、糖尿病ではない肥満の人を対象とした複数の臨床試験において、3つの試験で使用開始後6カ月時点での体重減少効果が認められています。
しかし、効果のあらわれ方には個人差があるため、具体的な基準を示すのは難しいといえるでしょう。
Q. 使い続けるとビタミンB12不足になる?
A.メトホルミンを長く使い続けることにより、ビタミンB12の吸収が低下する可能性があります。体調に変化を感じた場合は医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。心配な方は、医療機関で定期的に血液検査を受けて、ビタミンB12の値をチェックするのもおすすめです。
気になるメトホルミン、まずは医師に相談を
メトホルミンは古くから使われている2型糖尿病の薬ですが、最近の研究結果からダイエットやエイジングケアでも注目されるようになりました。
メトホルミンを使用する場合であっても、ダイエットには無理のない範囲での食事制限と運動が大切です。メトホルミンの使用を検討している場合、医師と相談の上で治療を開始するようにしましょう。
出典
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くすりの適正使用協議会:メトグルコ錠250mgくすりのしおり
DMMオンラインクリニックのメディカルダイエット薬
※DMMオンラインクリニックはオンライン診療プラットフォームサービスです。診療は提携先医療機関が行います。
メトホルミンについて
◆未承認医薬品等(異なる目的での使用)
本診療科目に用いるメトホルミンは、2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に承認されています。肥満治療目的での処方は国内で承認されていません。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
◆入手経路等
提携クリニックで処方するメトホルミンは、国内医薬品販売代理店経由で購入しています。
◆国内の承認医薬品等の有無
国内において肥満症治療薬として承認されている同一成分の医薬品はありません。
◆諸外国における安全性等に係る情報
アメリカ食品医薬品局(FDA)において2型糖尿病治療薬として承認されています。
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