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コラムカテゴリメディカルダイエット・肥満症

ゼニカル(オルリスタット)とアライの違いとは? 効果や注意点を解説

2024/11/29
監修:辛島 史憲

肥満治療薬として広く知られる「ゼニカル」と「アライ」は、どちらも脂肪吸収を抑える効果が期待されていますが、含有成分量や国内での承認状況、使用上の注意点に違いがあります。本記事では、ゼニカルとアライの成分や効能、承認状況の違いを比較し、服用時に知っておきたいポイントについて詳しく解説します。

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ゼニカルとアライの違い


肥満症に対する治療薬として「ゼニカル」と「アライ」という医薬品があります。この章では、両剤の成分や国内での承認状況について簡単に紹介します。

有効成分はオルリスタット

「ゼニカル」と「アライ」には、同じ有効成分であるオルリスタットが含まれています。オルリスタットは、消化管リパーゼの働きを抑制し、食物由来の油脂の吸収を阻害することで、体重や内臓脂肪面積、LDL(悪玉)コレステロール値が低下します。

ゼニカルとアライの異なる点は、オルリスタットの含有量です。ゼニカルにはオルリスタットが120mg含有されているのに対して、アライには60mgが含まれています。オルリスタットの油脂の吸収阻害は、オルリスタットの用量と相関するとされており、120mg含有されているゼニカルのほうが、アライよりも強力であるとされています。

ゼニカルは国内では未承認の医薬品

ゼニカルは日本国内では未承認の医薬品ですが、一時は日本でも開発が進められており2005年に開発が中止されました。一方で、EUでは1998年、米国では1999年に承認され、現在では世界100カ国以上で承認されている医療用医薬品です。

アライは要指導医薬品として承認されている

アライは、国内では2023年2月21日にダイレクトOTC(要指導医薬品)として承認されています。

ダイレクトOTCとは、医療用医薬品として承認されていない新規有効成分が、ダイレクト(直接)に要指導医薬品/一般用医薬品として承認されたものです。OTCとして承認された代表的な医薬品としては、1999年に壮年性脱毛症における発毛、脱毛の進行予防を効能・効果とした「リアップ(ミノキシジル1%配合)」があります。

アライは要指導医薬品に該当するため、薬剤師からの対面による情報提供を受けた上で購入できます。海外では、米国、欧州など70カ国以上でオルリスタット60mgがOTC医薬品(ドラッグストアなどで処方箋なしで購入できる医薬品)として承認されています。

アライの概要

この章では、アライの効能・効果や服用方法、購入条件などを紹介します。

アライの効能・効果、用法・用量

アライの効能・効果と用法・用量は以下の通りです。

【効能・効果】
腹部が太めな方 注)の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)
注)腹囲(へその高さ):男性85cm以上,女性90cm以上

【用法・用量】
次の量を食事中または食後1時間以内に水またはぬるま湯で服用

[年令:1回量:服用回数]
成人(18才以上:1カプセル:1日3回)
18才未満:服用しないこと

アライの購入条件

アライを購入するためには、購入前1カ月間の生活習慣記録(チェックシート)が必要です。

生活習慣記録の内容は以下の4つの項目です。

  • 食事内容
  • 運動内容
  • 腹囲(少なくとも週1回の記録)
  • 体重

チェックシートを薬剤師と確認し、アライの使用可否を確認します。また、要指導医薬品であるため、1回に1個までしか購入できません。

ゼニカル(オルリスタット)の概要

ゼニカルの有効性、副作用、服用する際の注意点を解説します。

ゼニカルの有効性

オルリスタット120mgを1年間投与した研究において、有効性を評価する大事なポイントである「主要評価基準」の体重減少は以下の通りでした。

  • オルリスタット投与患者:6.1kg減少
  • プラセボ(偽薬)投与患者:2.6kg減少

また、1年間投与後(4週間の慣らし期間を除く)に10%以上の体重減少が認められた割合は、オルリスタット服用群では20.2%、プラセボ投与群では8.3%でした。

ゼニカルの副作用

ゼニカルは油脂の吸収を阻害することによって、

  • 油分や便を伴ったおならが出る
  • 油分が漏れる
  • 便が軟らかくなる
  • 排便回数が増える
  • 急に便意をもよおす

など、特有の副作用が起こることを理解しておく必要があります。

服用を開始してから慣れるまでは、念のためにナプキンなどの汚れ防止シートを使用したり、替えの下着を準備しておくと安心です。

ゼニカルを服用する際の注意点

ゼニカルに期待される効果を発揮させるための必要なポイントと、脂溶性ビタミンに関連する注意事項について紹介します。

効果を発揮するために

ゼニカルは臨床試験によって、内臓脂肪面積やウエスト周囲径、体重、BMIの減少が認められています。

しかし、生活習慣が乱れている場合、その効果は十分に得られません。あくまでもゼニカルの服用に加えて、食事の見直しや定期的な運動が必要です。

意識的に脂溶性ビタミンを摂る

オルリスタットの油脂吸収作用により、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収が阻害される可能性があるため、β-カロチン(ビタミンA)やビタミンEなどを積極的に摂りましょう。

脂溶性ビタミンは、たとえば次の食品に多く含まれています。

  • β-カロチン:にんじん、モロヘイヤ
  • ビタミンD:しらす干し、鮭
  • ビタミンE:アーモンド、大豆
  • ビタミンK:わかめ、ブロッコリー など

オルリスタット120mgを1日3回、2年間投与した後の脂溶性ビタミンの体内変化では、β-カロチン(ビタミンA)、ビタミンE、ビタミンDの減少が臨床的に重要と判断されました。

脂溶性ビタミンの減少に伴う症状として、アライの添付文書には以下の内容が注意喚起として掲載されています。

■脂溶性ビタミンの減少に伴う症状

ビタミンA:目の違和感(夜間視力の低下,目の乾燥等),皮膚の違和感(皮膚が硬くなる,カサカサになる等),繰り返しの感染症の発症,発熱,発疹・発赤等

ビタミンD:腰・関節・骨の痛み,骨折,筋力の低下,筋肉の痛み等

ビタミンE:貧血(ふらつき,息切れ,動悸等),しびれ・知覚鈍麻等の神経症状等

ビタミンK:青あざができる,鼻血,腹部不快感,黒色便の持続,血便,脱力,疲労を感じやすい,めまい,生理出血量の増加,血尿等

脂溶性ビタミンを食事で摂ることが難しい場合は、マルチビタミンのサプリを摂取してもよいでしょう。ただし、過剰摂取には注意が必要です。

ゼニカルを購入、服用する際の注意点

実際にゼニカルを使う場合は、どのような点に気を付けたらいいのでしょうか。この章では、ゼニカルを購入、服用する際の注意点についてまとめました。

個人輸入などでの入手はNG。医師に処方してもらう

ゼニカルは医師に処方してもらう他に、個人輸入やSNSからも購入できる場合がありますが、おすすめできません。

個人輸入やSNSで入手したものは正規品ではない可能性があり、また、その品質を確認する手段もないためです。もし低品質の粗悪品を服用してしまうと、期待された効果が出ないだけでなく、予見しない副作用が発生する可能性もあります。ゼニカルを服用する際は、必ず医師から処方を受けるようにしましょう。

アライと異なり、クリニックでゼニカルの処方を受けるにあたっては、生活習慣記録の提出は不要です。また、費用を抑えたい場合には、ゼニカルのジェネリックである「オルリファスト」もありますので、選択肢の一つに入れておきましょう。

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医師のサポートのもとで服用する

オルリスタットには油脂吸収を阻害する作用があり、油漏れなど特有の懸念事項があります。

またオルリスタットの含有量がアライよりも多いゼニカルは、脂肪吸収阻害率が高い反面、より深刻な副作用に悩む可能性もあります。そのため、医師から適切な説明を受け、サポートのもとで服用することをおすすめします。

よくある質問

ここでは、ゼニカルに関するよくある質問と回答を紹介します。

いつ頃から効果が出る?

糞便中の脂肪測定によると、ゼニカルの効果は投与後24〜48時間以内にあらわれます。服用を中止すると、便中の脂肪含有量は通常48~72時間以内に服用前のレベルに戻ります。

ただし、副作用は服用直後に出る可能性がありますので、注意が必要です。

脂っこい食事を増やしてもいい?

「ゼニカルを飲んでいるから、こってりしたものを食べても大丈夫」と考えず、炭水化物、タンパク質、脂肪のバランスが取れた食事を摂るように心がけましょう。

体重減少などの効果は、生活習慣の改善の取り組みを行っている場合にのみ得られるとされており、食事内容の見直しも必須事項となります。つまり、脂っこい食事を増やしてしまうと、内臓脂肪や腹囲の減少を期待できなくなる可能性があります。

毎日飲む必要があるの?

ゼニカルの推奨用量は以下の通りです。

  • 1回120mgのカプセルを1日3回まで
  • 食事中または食後1時間までに服用

ただし、食事を摂らないときや、脂肪を含まない食事の際には服用しなくてもよいとされています。

オンラインクリニックであれば、気軽に相談できる

アライは薬局で購入できますが、腹囲や購入前1カ月間の生活習慣記録などの購入条件が設けられており、厳しい基準をクリアする必要があります。

一方、ゼニカルをクリニックで処方してもらうのであれば、生活習慣記録などの提出はなく、より安価なゼニカルのジェネリック薬「オルリファスト」を選択することも可能です。また、服用中の副作用や効果についても随時相談できるため、自分に合った治療を無理なく継続できるでしょう。

さらにオンライン診療なら、自宅から気軽に相談できるため、通院の負担を減らすことができます。ゼニカルやオルリファストの服用を悩んでいる方は、オンライン診療の活用も検討してみてはいかがでしょうか。

出典

オルリファスト(ゼニカルジェネリック)について

◆未承認医薬品等
本診療科目に用いるオルリファスト(ゼニカルジェネリック)は、国内未承認の医薬品です。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
◆入手経路等
提携クリニックが本治療に用いる海外製の医薬品・機器等は厚生局の正式なプロセスを経て、提携クリニック所属の医師の判断の下、個人輸入をしたものになります。
◆国内の承認医薬品等の有無
国内において肥満症治療薬として承認されている同量かつ同一成分の医薬品はありません。
◆諸外国における安全性等に係る情報
アメリカ食品医薬品局(FDA)において肥満治療薬として承認されています。

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