お知らせ クーポン ヘルプ
コラムカテゴリメディカルダイエット・肥満症

【医師監修】漢方ダイエットのメカニズムと適した薬の種類

2023/11/13
監修:三上 修

ダイエットを続けるためには、適切な運動やバランスのよい食事が必要です。しかし、日々の用事や仕事に追われると、これを怠ってしまうことがよくあります。結果として、ダイエットが思ったように進まない方も多いでしょう。

 

そんな方におすすめなのが、運動と食事に加え、体の負担を抑えながら体質を改善する漢方薬を取り入れたダイエット方法です。

 

この記事では、漢方薬を使ったダイエットにはどのような種類があるか、そのメカニズムとお薬の選び方をご紹介します。

漢方薬はダイエットに効果がある?

無理なく取り入れやすい運動療法と食事療法にプラスして、漢方薬を服用し体質改善をすることで、太りにくい体を維持することが可能となります。
近頃では、漢方薬がダイエットに効くという研究結果も報告されています。

たとえば、BMI(体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数)が25を超える肥満症患者96人が、週1回の食事指導(1900kcal/日)と併行して漢方薬の防風通聖散(ボウフウツウショウサン)を3カ月間内服したところ、BMIが有意に低下したとの報告があります。

そもそも漢方薬とは

それでは、医療機関で処方される一般的なお薬と漢方薬の違いについてみていきましょう

漢方薬とは、中国で数千年にわたって受け継がれてきた伝統医学に基づく医薬品です。漢方薬の原料は生薬と呼ばれ、さまざまな天然の薬草や動物、鉱物などの成分を組み合わせ、個人の体質と症状に合わせて処方されます。

一般的なお薬は、人工的に化学合成されたものがほとんどで、一つの症状や臓器に強く効きます。
一方で、漢方薬の目的は一時的な症状の緩和ではなく、体の内部のバランスを整え、本来備わっている自然な治癒力を助けることにあります。

さらに、漢方薬を処方される時に大切なのが個人の体質です。
これをあらわす言葉を「証(しょう)」といい、
分かりやすくいうと、「その人の状態(体質・体力・抵抗力・症状の現れ方などの個人差)を表すもの」です。本人が訴える症状や、体格などの要素から判別します。
「証」の分け方のひとつに「虚・実(きょ・じつ)」があり、体がガッチリして、体力がある状態を「実証(じっしょう)」、免疫力が低く体力がない状態を「虚証(きょしょう)」といいます。

一方、漢方の診療でよく使われる「気・血・水」は、不調の原因を探るための用語です。
漢方の
考え方では、私たちの体は「気・血・水」の3つの要素が体内をうまく巡ることによって健康が維持されており、これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに、不調や病気が起きてくるとされています。 これらを整えるのが漢方薬です。

ダイエットにおける漢方薬の役割とメカニズム

漢方薬には多くの生薬が配合されており、それぞれが異なる作用でダイエットに効くと考えらます。
その作用は、基礎代謝の促進、脂肪の燃焼のサポート、食欲の調節、消化機能の強化など多岐にわたります。その他、体内の不要な水分の排出をサポートすることで、むくみの軽減にも効果が期待されます。

例えば防風通聖散には合計18種類の生薬が入っており、そのうちマオウは交感神経に働きかけて褐色脂肪細胞の熱産生(熱を作ること)を促進することにより、基礎代謝を亢進(こうしん:高い度合いにまで進めること)させます。
さらに、カンゾウ・ケイガイ・レンギョウは脂肪代謝経路に働いて体脂肪を減少させ、ダイオウは溜まった老廃物の排泄に働きます。
これらの作用が
あわさって体重が減少すると考えられます。

また、防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)に配合されているボウイは、体の水分の巡りをよくし痛みを取り去る生薬です。
同じく配合されているオウギには、尿の排出をよくする作用があり、
防已黄耆湯は水太りタイプの肥満に対し効果が期待できるといえます。

漢方薬がダイエットにおすすめな3つの理由

以上のように、漢方薬にはさまざまな作用があります。
その中でも、ダイエットに特に効果的だと
思われる理由を3つご紹介します

①体への負担が少ない

天然の薬草や動物、鉱物などが成分であるため、合成化学物質を使用したお薬やダイエット補助食品よりも、体への負担が少ないとされます。
もちろん、副作用が全くないわけではありませんが、個々の体質や症状に合わせて選ばれるため、過剰な刺激や副作用のリスクは通常のお薬よりは低くなります。

また、数カ月かけて徐々に体重が減少することも、体にやさしいとされる理由の一つといえます。

②リバウンドしにくい

漢方薬は体のバランスを整えることを目的としています。
そのため一時的な減量ではなく、体の水分量を調節したり脂肪代謝を改善したりすることで、やせやすい体質をつくる効果が期待できます。

これにより、ダイエット後のリバウンドが他の方法に比べて少ないといわれています。

③ダイエット以外にもプラスの効果がある

漢方薬の効果はダイエットだけにとどまりません。
たとえば、むくみや冷え性の改善、月経不順や更年期障害の緩和、ストレスの軽減など、女性特有の悩みにも対応する効果が期待されます。

また、体質を整えることで、結果的に肩こり、便秘などの症状が軽くなる方もいます。

ダイエットに用いられる漢方薬の種類と期待される効果

ダイエットに用いられる漢方薬には何種類かあり、自分の体質に合ったお薬を選ぶことが大切です。
体力があり、筋肉質でガッチリしている実証と呼ばれるタイプの方には防風通聖散や大柴胡湯など、また中等度以下の体力で、体が細くて華奢な虚証と呼ばれるタイプの方には防已黄耆湯や
加味帰脾湯などがすすめられます。

効果が現れるまでの期間には個人差があり、体質改善を目的として使用されるため、一般的には3カ月以上の長期間服用することが推奨されています。
以下でそれぞれのお薬についてご説明します。

防風通聖散(ボウフウツウショウサン)

この漢方薬は、ダイエットの漢方薬としてとてもよく知られています。
体にためこんだ脂肪の分解を促進し、体内の水分を調節して便通をよくする作用があります。

体力があり、お腹が膨れて便秘気味の方や、高血圧とそれに伴う動悸、肩こり、のぼせがある方に適しています。

大柴胡湯(ダイサイコトウ)

ストレスや食生活の乱れからくる体の不調を整える漢方薬で、このお薬も体力がある方向きです。
みぞおちの痛みがあり、便秘気味な方にも適しています。

体の熱を冷まし、リラックス効果をもたらすとともに体内のバランスを整えます。
また、肝機能のサポートや胃腸の調子を整える効果が期待されます。

防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)

防已黄耆湯は肥満症、多汗症、むくみなどの治療に用いられる漢方薬です。
体力が中等度以下で、水分代謝が悪くなっている方に向いてます。

余分な水分の排出を促し、水太りを改善する効果に加え、脂質代謝を活性化させ、余分な脂肪を分解・燃焼する働きがあるとされています。

加味帰脾湯(カミキヒトウ)

このお薬は体力が低下気味の方に適しています。
精神不安やイライラするなどの精神症状や月経不順、手足の冷え、頭痛、めまい、肩こりなど更年期障害に伴う症状にも効果が期待できます。

最近の研究では、加味帰脾湯は脳内オキシトシンの増加を示唆する結果が出ています。
脳内でオキシトシンが増加することにより、抗肥満効果があることが示されており、オキシトシン増加による肥満解消が注目されています。

イライラしたりストレスがたまると、食べることが止まらなくなってしまう方におすすめです。

ダイエットに用いられる漢方薬に副作用はある?

漢方薬は天然成分をもとにしていますが、過剰に摂取したり体質に合わない場合は、軽度の副作用が現れることがあります。
それでも、普通のお薬と比べると副作用が出る頻度は少なくなります。

副作用の例としては、皮膚のかゆみのような軽いものから、肝機能障害、腹痛、下痢、吐き気などが挙げられます。
適切な量と指示に従って服用すれば大きな副作用のリスクは低くなるため、漢方薬を使用する際には、専門家のアドバイスを受け、定期的に診察を受けましょう。

体質改善によりダイエットを健康的にサポートする漢方薬 

漢方薬は、個人の体質や体の状態に合わせて体の中から健康づくりをサポートするものであり、ダイエットの際にもその真髄を生かすことができます。

徐々に体のバランスを整えるため、無理な運動療法や食事療法にみられるような急激な体重変化がなく、体にやさしくリバウンドしにくいことが特長です。
また、天然の成分を使用しているため、一般のお薬と比べて副作用が少なくなります。

同じ年齢や性別、症状でも、体質に合う漢方薬は人によって異なる可能性があるため、服用するときには専門家への相談をおすすめします。
体質に合った漢方薬を選ぶことは、自分の体質や体調を振り返る機会にもなります。結果、健康的で美しい体を手に入れる手助けとなるでしょう。

DMMオンラインクリニックでは
予約、事前問診、ビデオチャットでの診察、決済、薬の受け取りまでワンストップで完結!
スマホやPCで、お好きな場所から医師の診察を受けられます。

問題が解決しない場合は、
こちらからお問い合わせください。