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コラムカテゴリメディカルダイエット・肥満症

漢方から脂肪吸引まで 医療ダイエットの方法を医師が解説

2023/11/13
監修:三上 修

「医療ダイエット」という言葉を耳にすることが増えてきましたが、その詳細を知っている人は少ないのではないでしょうか。
なんとなく「効果はありそうだけど、お金がかかる」「そもそも自分には関係ない」と思っていませんか?

 

この記事では知っているようでよく知らない医療ダイエットについて、概要や、メリット・デメリットなどを医師の立場から解説していきます。
お薬(西洋薬)や漢方薬を使った方法や、脂肪吸引、注射療法など医療ダイエットの種類についても詳しくまとめていますので、ぜひご一読ください。

医療ダイエットとは?

医療ダイエットとは、医師の監督のもとで行われる健康管理と体重減少のプログラムを指します。
個人の健康状態や目標に合わせて行われることが一般的で、通常は食事、運動、そして時には医薬品や医療処置を含みます。

一般的なダイエットプログラムや自己流のダイエットとは異なり、医療ダイエットは科学的根拠に基づいているのが特徴です。
そのため、一般的なダイエットプログラムなどと比較して、安全で効果的な体重減少が期待できます。
特に持病を持つ人や、従来のダイエット方法がうまくいかなかった人にとって、とても有効な選択肢となります。

医療ダイエットは、体重管理だけでなく、慢性病の予防や管理、メタボリックシンドロームの改善、および全体的な健康の最適化にも焦点を当てています。
個人の生活の質の向上と、健康的な生活習慣の促進を目指すものであるといえます。

医療ダイエットのメリット

以上をふまえて、医療ダイエットのメリットについて整理してみましょう。

メリットは下記の5つです。

  • 個人の健康状態、体重減少の目標、生活習慣に合わせた効果的なプランを作成することができる。
  • 食事と運動のプラン、そして必要に応じた医薬品や医療処置などの選択肢から選べる。
  • 医師を中心とした専門家チームがサポートするため、正しい指導と助言を得ることができる。また、安全かつ効果的な体重減少と健康促進が期待できる。
  • 科学的に検証された方法に基づいており、健康リスクを最小限に抑えながら目標を達成することができる。
  • 慢性疾患のリスクを減らし、体重に関わること以外の健康問題を管理する助けにもなる。

医療ダイエットのデメリット

医療ダイエットは多くの利点がある一方で、いくつかのデメリットもあります。

下記の4つを参照ください。

  • 医療ダイエットでは専門家のサポートのもと個別のプランを提供するため、コストが高くなることがある。加えて医薬品や医療処置の費用も加わる場合があり、他のダイエット方法と比較すると初期費用が高い傾向にある。
  • 医療機関への定期的な受診が必要なのでその分手間がかかる。
  • 医療ダイエットを成功させるには、個人がプログラムに対して真剣にコミットし、医師からの指示を守ることが必要。
  • 処方される医薬品で副作用が出る可能性があり、その出方にも個人差がある。

これらのデメリットを考慮し、医療ダイエットが最適な選択であるかどうかを検討することが重要です。
不明点があれば遠慮なく医師に相談するようにしてください。

医療ダイエットの種類

医療ダイエットには多くの種類があり、個人の健康状態や目標に応じて選択することができます。
以下に主な方法を挙げましたので参照ください。

それぞれにメリットやデメリットも存在するため、疑問点なども含めて事前に医師に相談してみましょう。

お薬(西洋薬)

医療ダイエットにおける西洋薬は、医師によるしっかりとした監督のもとで処方されます。
代表的なものとしては、食欲を抑えるお薬やGLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬、αグルコシダーゼ阻害薬などがあります。
また、海外で承認されている食欲抑制サプリメントを併用する場合もあります。

これらのお薬には副作用を伴う可能性があり、特に他の医薬品とも相互作用を引き起こす可能性があります。
医師の指示に従って正しく使用し、定期的な受診による管理を受けることが大切です。
医療ダイエットのお薬は、食事と運動のプランと組み合わせることで、より効果的な体重減少と健康促進が期待できます。

漢方薬

中国医学の伝統に基づいた漢方薬は、体重管理や健康促進のために使用されることがあります。

漢方薬は、個人の体質や健康状態を考慮して、バランスを取り戻すことを目的としています。
医療ダイエットに用いられる漢方薬としては、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)や防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、大柴胡湯(だいさいことう)などが一般的です。

漢方薬による体重管理は、食事や運動、ストレス管理といったライフスタイルのプログラムと組み合わせて行うと、より効果的です。
医師や漢方専門家との相談のもとで使用することが大切で、自己判断での使用は推奨されません。
特に、他の医薬品やサプリメントとの相互作用や、潜在的な副作用を避けるためにも、使用前に医師に相談をしましょう。

脂肪溶解注射

脂肪溶解注射は、デオキシコール酸など特定の成分によって脂肪細胞を溶かし、体外に排出する医療処置です。

通常、特定の脂肪蓄積エリアに直接注射され、短時間で完了するため、回復期間が短いことが特徴です。
処置のあと、体は溶かされた脂肪を自然に排出し、数週から数カ月の間に体の輪郭が改善されます。

脂肪溶解注射は、手術的な脂肪除去処置を用いる場合の代わりとして選ばれることがあり、特定のエリアの脂肪を減らし、体のシルエットを改善することを目的としています。
注射にはリスクや副作用が伴う可能性があり、有効な結果を得るためには専門的の評価と医師の指導が必要です。

GLP-1注射

GLP-1は、自然に存在するホルモンです。血糖値を低下させるインスリンの分泌を促進し、血糖値を制御する役割を果たします。
また、GLP-1注射には、満腹感を促進し、食欲を抑制する効果もあります。
これにより、食事の摂取量が減少し、体重の減少を目指すことができます。

通常は医師の監督のもとで使用され、個人の健康状態と体重減少の目標に応じて処方されます。
ただし、これらの注射には副作用が伴う可能性もあり、定期的に医師の診察を受ける必要があります。

医療痩身マシン

医療痩身マシンは、体に負担が少ない方法で体脂肪を減少させる目的で使用されます。
医療痩身マシンには、ラジオ波治療、超音波治療、レーザー治療などがあり、手術を避けながら体脂肪を減少させることが可能です。

結果は通常、数週から数カ月後に徐々に見られ、複数回の治療が推奨されます。

脂肪吸引

脂肪吸引は、特定の部位から不要な脂肪を直接除去する治療法であり、特にダイエットや運動で解消できない頑固な脂肪の蓄積に対処するために行われます。

通常、腹部、臀部、太もも、上腕、背中、顎下など、特定の脂肪蓄積エリアをターゲットとし、処置をするとすぐ結果が得られるのが特徴です。
ただし、脂肪吸引は回復期間を必要としており、完全な回復には数週から数カ月かかる場合があります。

また、脂肪吸引にはリスクと副作用が伴う可能性があり、適切な医師の評価と指導が不可欠です。
個人の健康状態と目標を慎重に考慮したうえで処置が行われます。

クールスカルプティング

クールスカルプティングは、体への負担が少ない脂肪減少手法です。
冷却技術を使用して特定の部位の脂肪細胞を凍結し、自然に体外に排出させることを目的としています。
手術や注射などは必要ないため、回復期間が短く、日常生活への影響が最小限に抑えられます。

冷却装置を使用して、脂肪細胞を対象としたエリアを冷却します。
脂肪細胞は低温に対して敏感で、冷却により自然に壊死し、体外に排出されます。通常、腹部、脇の下、太もも、お尻、背中などの特定の脂肪蓄積エリアに適用され、結果は数週から数カ月後に徐々に現れます。

クールスカルプティングも医師の監督のもとで行われます。期待される効果とリスクを理解し、医師にしっかり相談することが大切です。

適切な医療ダイエットを取り入れて健康な体を手に入れよう

医療ダイエットでは、個人の健康状態や体重減少の目標に応じて、内服薬から非侵襲性(身体的な負担の少ない)の治療、外科手術までさまざまな治療法が存在します。
重要なのは、個人の目標を達成するために最も適切な方法を選び、目標達成まで正しく継続することです。

また、医療ダイエットの成功のためには、食事や運動など自身での生活管理も大切です。
目標を正しく医師と共有し、達成までに必要な努力を続けることが成功への近道となります。

医療ダイエットの各治療法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。これらの利点とリスクを理解して、医師としっかりと連携したうえで取り組みましょう。

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