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唾液を用いたPCR検査のやり方は?検査キットの精度や注意点を解説

2023/07/25
監修:三上 修

新型コロナウイルス感染症の検査で、もっとも精度が高いのはPCR検査です。従来は鼻咽頭ぬぐい液を用いて検査を行っていましたが、感染拡大を受け医療従事者の感染予防や人材不足と被験者の負担軽減のため、唾液でのPCR検査も認められています。これにより自宅で検査キットを使って検体を採取することができるようになりました。

唾液を用いたPCR検査とは

 

鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査は、医師や看護師、臨床検査技師などの医療従事者に限られていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、検体採取者の感染リスクから守るために必要なガウンやマスクなどの防護服と人員が不足する事態になりました。

そこで被験者の負担が軽く、被験者自身で採取できる唾液でPCR検査を行える可能性を求めて鼻咽頭ぬぐい液と同等の精度があることを示したデータが集められ、厚生労働省が唾液による検査を認めました。※1

唾液を用いたPCR検査の精度

唾液を用いたPCR検査が陽性診断に可能かを調べるために、厚生労働科学研究が行われました。発症後14日以内の88症例に対し、鼻咽頭ぬぐい液と唾液を使ってPCR検査を行ったところ、発症から9日以内の症例では鼻咽頭ぬぐい液と唾液との結果に高い一致率が認められました。※2

この結果を受けて、厚生労働省は発症から9日以内であれば唾液を用いてPCR検査を行うことが可能であると判断しました。

PCR検査の種類

 

新型コロナウイルスのPCR検査には、目的と費用の違いで4種類に分けられます。※3

・行政検査
感染の疑いがある症状、または無症状でも感染の可能性があるなど、保健所や医師が必要と判断して行う無料の検査です。病院・保健所などで行います。

・自治体などの独自検査
人が集まる場所でのクラスター発生予防や感染拡大の早期発見を目的として、症状がない人に行われます。費用は無料、対象は施設従業員や入院患者、学生などです。

・自費検査
発熱などの症状がなく、仕事やイベントなどの社会活動を営むため、自費で受ける検査です。病院や診療所のほか、民間の自費検査事業者による検査もあります。ただし医師の判断を伴わない検査結果は陰性であっても感染していないといえないので注意が必要です。

・PCR等検査無料化事業
感染リスクが高い環境にあるなどの理由で不安を感じる無症状の住民を対象にしたPCR等検査無料化事業もあります。本事業を実施するかどうかは自治体の判断になります。実施期間が設けられているので検査を受ける際には確認が必要です。
内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策のウェブサイトにて、各都道府県の無料検査事業サイトを見ることができます。※4

PCR検査の費用

PCR検査の費用は、まず保険適用になるかどうかで変わります。

保険適用になるのは、医師や保健所が検査の必要ありと判断した場合です。通常保険が適用される場合でも1〜3割は支払いますが、これを国が負担するので実質無料となります。初診料や再診療は別途支払う必要があり、800〜900円程度です。

保険適用外のでも、自治体が検査無料化事業を行っており、条件を満たせば無料で検査を受けることができます。自費で検査を受ける場合には医療機関によって料金が異なり、15,000〜30,000円位が多いようです。また陰性証明を発行してもらうと検査費用とは別に2,000〜5,000円ほどかかります。

PCR検査の流れ

 

症状や感染の可能性がある場合、かかりつけの病院または相談センターに相談します。相談先の指示に従って、検査機関でPCR検査を受けます。

自費でPCR検査を受ける場合、病院や検査機関などに行く方法だけではなく、自宅で検査キットを用いて自分で唾液を採取して検査機関に郵送する方法もあります。

唾液によるPCR検査の場合は、自然に口の中に溜まった唾液を専用の容器に溜まった分だけ少しずつ出して、1〜2ml取ります。鼻咽頭ぬぐい液によるPCR検査の場合は、医療従事者による採取が行われます。採取した検体は検査機関に送られて、後日結果が送付されます。結果を待つまでの間は、不要不急の外出は避け、公共交通機関の利用をできるだけ控えましょう。

結果が陰性の場合は、これまで通り感染予防を行い通常の生活に戻ります。陽性の場合は、症状によって入院療養・自宅療養・宿泊療養を行います。

唾液が出ない場合はどうすればいいか?

PCR検査では唾液を1〜2ml採取する必要があります。緊張したりすると交感神経が優位になり唾液の分泌が減ってしまうため、思うように採取できなくなります。そのような時は、唾液腺マッサージをするとよいといわれています。唾液腺は耳下腺、顎下腺、舌下腺の3ヶ所あるので、優しくマッサージしてみましょう。唾液の分泌は副交感神経の働きによるものなので、できるだけリラックスすることで唾液分泌につながります。

PCR検査の持ち物

無症状者を対象にした、自治体が行う無料のPCR検査を受けるには、申込書の記入と本人確認書類などの提示が必要です。検査を無料で受けるには、当自治体の住民であることが条件なので、運転免許証やマイナンバーカードなどの公的証明書、健康保険証や学生証など、住所が明記されたものを用意しなければなりません。

提示した書類で住所が確認できない場合には、公共料金の請求書など、住所確認ができるものをあわせて提示することが求められます。また会場ではマスクの着用は必須ですので、忘れないようにしましょう。

PCR検査を受ける時に注意すること

唾液を用いたPCR検査を受ける際に、気をつけなければならないことがあります。消化酵素が検査の感度を下げるため、飲食の前に唾液を採取することが望ましいとされています。

また口の中のウイルスを除去してしまわないよう、検査前の歯磨きやうがい、飲食は避けなければなりません。どうしても避けられない場合は、検査まで最低10分、できれば30分程度あけるようにしましょう。

唾液を採取する容器の外側が汚染されないよう、被験者自身でアルコール綿を使って清拭するのが望ましいです。唾液は採取容器に直接垂らすように入れ、それを必要量(1〜2ml)採取できるまで複数回繰り返します。※5

会場内は必ずマスクを着用し、人と十分な間隔をあけるように気をつけましょう。検査の前後は手指を手洗い・消毒してください。

まとめ

PCR検査は、感染可能性や症状がある場合と無症状の場合とでは、検査を受ける手順や料金が異なります。唾液を用いたPCR検査は、被験者の負担が軽く医療従事者への感染リスクが低いため、積極的に利用されています。補足として、症状があらわれている場合のPCR検査については、発症から9日以内であれば唾液を用いたPCR検査が可能です。一方、それ以降のPCR検査については鼻咽頭ぬぐい液でPCR検査が行われます。

出典

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