GLP-1ダイエットを強化するSGLT2阻害薬、その効果は?
リベルサスやオゼンピックを使った「GLP-1ダイエット」をさらに強化するSGLT阻害薬の併用。その効果はどんなものでしょうか。「そもそも、SGLT2阻害薬ってどんな薬?」という人も多いかもしれません。
今回は、SGLT2阻害薬の特徴や使用する際の注意点を中心に、GLP-1ダイエット(GLP-1受容体作動薬)との同時使用についても解説します。
DMMオンラインクリニックでは確かな情報を提供するため以下の取り組みを行っています。
- 適正な監修プロセス
- 医療法人との提携
- コンテンツ作成基準の明確化
SGLT2阻害薬ってどんな薬?
SGLT2阻害薬は、リベルサスやオゼンピックといった「GLP-1受容体作動薬」と同じく糖尿病治療薬です。ここでは気になる作用メカニズム、種類、GLP-1ダイエットとの同時使用について解説します。
SGLT2阻害薬とは
SGLT2阻害薬は、血中のグルコース(糖)が腎臓で再吸収されるのを阻害することにより、糖を尿中に排出させ血糖値を低下させる糖尿病治療薬です。糖尿病治療薬には、
- 血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きに作用するもの
- 糖の吸収や排泄を調節して、体内の糖の量を減らすもの
がありますが、SGLT2阻害薬は「体内の糖の量を減らす」タイプの糖尿病治療薬です。
抗肥満薬・ダイエット薬としては認可されていませんが、日本や海外において、多くの糖尿病の患者さんに使用され、実績のある糖尿病治療薬として広く知られています。
体内の血液は定期的に腎臓の糸球体を通り、不要なものが取り除かれます。不要でないものは尿細管を通る時にもう一度血中に戻されますが、本来であれば糖も血中に戻っていきます。糖尿病では糖が尿中に出ますが、これは血中に戻せないほど血液中の糖の量が多いということです。
SGLT2阻害薬は尿細管で糖が戻るのをブロックすることで、より多くの糖を尿中に出して、血液中の糖を下げています。
SGLT2阻害薬はどうして体重を減らせるの?
では、どうしてSGLT2阻害薬で体重が減るのでしょうか。
体内では余分な糖は脂肪に変換されて蓄えられます。SGLT2阻害薬を使っていると、体内の余分な糖は尿中へ出ていくため、脂肪が増えることはありません。
さらに、人の体の血糖値は低すぎてもいけません。SGLT2阻害薬によって体内に必要な量の糖がなくなってしまった人は、ためておいた脂肪を分解して、糖に変え、血糖値を維持しようとします。その結果、皮下脂肪や内臓脂肪といった余分な脂肪が減っていきます。
このようなメカニズムで、SGLT2阻害薬は体重を減らしているのです。
SGLT2阻害薬にはどんな種類があるの?
SGLT2阻害薬には、ルセフィ、フォシーガ、ジャディアンスといった薬があります。どれも1日1回の飲み薬ですが、ルセフィとジャディアンスは朝食時に飲むことになっています。
GLP-1ダイエットと一緒に使ってもいいの?
前にも触れましたが、SGLT2阻害薬を抗肥満薬・ダイエット薬として承認している国はありません。
ただし、抗肥満薬としての可能性については議論が進んでおり、特にGLP-1受容体作動薬との同時使用は、その特徴から体重減少などの効果が期待されています。
では、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の同時使用にはどんなメリットがあるでしょうか。
最も大きなメリットとして考えられているのは食欲の調節です。SGLT2阻害薬は糖を体の外に出して血糖値を下げることから食欲が増します。一方、GLP-1受容体作動薬は食欲を抑える効果があります。そのため、SGLT2阻害薬で増した食欲をGLP-1受容体作動薬が抑えることになり、結果として食べ過ぎを防ぎます。
また、一般的には体重が減ると代謝が落ち、痩せにくくなる傾向があります。SGLT2阻害薬は代謝が落ちたことにより、消費されなくなった体内の糖を尿として出すことができます。
実際に糖尿病ではない肥満の患者さんに対して、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬を6ヵ月同時使用したところ、36%の人で5%以上体重が減り、減ったのはほとんどが脂肪という結果でした(使用開始時の平均体重は104.6kg)。
SGLT2阻害薬を併用した方が、GLP-1受容体作動薬を単独で使用したときよりも体重減少の効果が高いという報告もあります。糖尿病の患者さんを対象に、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬を併用したグループと、SGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬を単独で使用したグループを比較した研究では、2つの薬を併用したグループの方が、5%以上の体重減少がみられた患者さんの割合が多かったことがわかっています。
関連記事
SGLT2阻害薬を使う場合は、どんなことに注意すればいい?
このように体重を減らす効果が期待されるSGLT2阻害薬ですが、医薬品であることから使用には一定の注意が必要です。ここでは、代表的な副作用や、SGLT2阻害薬を使えない人、注意が必要な人について解説します。
SGLT2阻害薬の副作用と対策
SGLT2阻害薬の代表的な副作用としては、
- 脱水
- 尿路・性器感染症
- ケトアシドーシス
- サルコペニア
などがあります。聞き慣れない言葉もあると思いますが、一つひとつ説明します。
脱水
脱水は比較的よく起こる副作用です。糖を尿として出すというメカニズムのため、トイレの回数も増え、脱水症状が起きます。SGLT2阻害薬を使用している間は積極的に水分補給するようにしましょう。
尿路・性器感染症
尿路・性器感染症も比較的起こる副作用です。これは尿中に含まれる糖分を栄養にして菌が繁殖することによって起こります。陰部のかゆみや排尿時の痛み、その他異常を感じた場合は医師に相談しましょう。お手洗いを我慢しないこと、陰部を清潔に保つことも大切です。
ケトアシドーシス
ケトアシドーシスは、血中にケトンと呼ばれる物質が増える病気です。血糖値が下がると脂肪以外に筋肉が分解されることがあり、筋肉が分解される過程でケトンが出てきます。
全身がだるくなったり、気持ち悪くなったり、吐き気などの症状があらわれた場合は、すぐに受診してください。
サルコペニア
サルコペニアも筋肉が分解されることにより起こる病気です。筋肉量が少なくなり、筋力も下がってしまいます。
ケトアシドーシスでもそうですが、過度の糖不足は体によくありません。SGLT2阻害薬を使用している間は、特に糖質制限をするようなダイエットは避けましょう。筋力の低下を防ぐためには、定期的に適度な運動を行うことも大切です。
SGLT2阻害薬が使えない人・注意が必要な人
それではSGLT2阻害薬を使えない人、注意が必要な人はどんな人でしょうか。
SGLT2阻害薬は糖を尿として出すことにより痩せるため、重い腎臓病の人は効果が期待できません。
また、脱水を起こしやすい人は、副作用で脱水を起こす可能性があることから注意が必要です。
ルセフィ、ジャディアンスは朝食前後に服薬することになっているので、そのタイミングでの服用が不可能な人は医師に相談してみましょう。
よくある質問
SGLT2阻害薬を使用している人からの、よくある質問をまとめました。
Q.SGLT2阻害薬を飲むと疲れやすくなる?
A.疲れやすくなったと感じる場合、ケトアシドーシスの可能性もありますので、医師に相談してください。
また、ケトアシドーシスが起こりやすくなるため、過度の糖質制限(炭水化物抜きダイエット)は避けましょう。
Q.のどが乾いてトイレが近くなったんだけど……
A.のどが乾いてトイレが近くなるのは、SGLT2阻害薬が効いている証拠です。積極的に水分補給をするようにしましょう。
仕事の関係などで、こまめな水分補給やトイレに頻繁に行くことが難しい人は、残念ながらSGLT2阻害薬を飲むのを中止した方がいいでしょう。
まとめ
SGLT2阻害薬は単独でも体重を減らす効果がありますが、GLP-1受容体作動薬と同時に使用することで、より効果が期待できます。
同時に使用して困ったことがあれば、すぐに医師に相談してみましょう。
出典
スマホやPCで、お好きな場所から医師の診察を受けられます。
問題が解決しない場合は、
こちらからお問い合わせください。