運動や食事制限とはどう違う? 薬によるダイエットの方法を医師が解説
ダイエットには様々なものがあり、いろいろな方法が流行しては、流行がおさまっていきます。最近よく目にするようになったのは、医療機関で処方される薬を使ったダイエットです。今回は、薬を利用したダイエットの適切な利用方法と注意点を解説します。
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薬を使用したダイエットとは?
そもそも、薬を使用したダイエットには、どのような特徴があるのでしょうか? 一般的に想像されるダイエットには、「diet」の語源がそうであるように、食事内容を工夫するもの、運動習慣から減量を目指すものなどがあります。これらとの比較から、薬を使用したダイエットの特徴を見ていきましょう。
運動や食事制限との違い
薬を使用したダイエットと、運動や食事制限によるダイエットの違いは、次のように解説できます。
1.効果の仕組み
薬を使用したダイエットは、身体の代謝や食欲を抑制する働きなどを通じて、体重の減少を促します。一方、運動や食事制限は、カロリーの消費を増やすことや、摂取カロリーを減らすことによって、体重を減らす取り組みです。
2.早さと持続性
薬を使用したダイエットは、比較的短期間で効果を発揮することがあります。しかし、その効果は一時的なものであり、薬の使用を中止した場合、元の体重に戻る可能性があります。一方、運動や食事制限は、より長期にわたって体重管理を目指すものです。効果が比較的ゆっくりとあらわれ、その分リバウンドも緩やかで持続的なダイエット効果が期待できるといえます。
3.健康への影響
薬を使用したダイエットは、即効性があり効果的ですが、副作用や健康への潜在的なリスクがあります。一方、運動や食事制限は、副作用や健康リスクが比較的少ないといえます。
これらの違いを踏まえると、薬の使用は短期的な体重管理には役立つかもしれませんが、持続的な体重管理や健康増進のためには、運動や食事制限などライフスタイルの改善も同時に行うことが重要といえます。
薬を使用したダイエットのメリット・デメリット
薬を使用したダイエットのメリットとデメリットは次のようになります。
メリット
- 効果が出るまでが早い
薬を使用することで比較的短期間で体重を減らすことができます。 - 手軽
薬を服用するだけで効果が得られるため、運動や食事制限に比べて手軽な方法といえます。
デメリット
- 副作用のリスク
薬には副作用があり、適切に使用していても健康問題が発生する可能性があります。 - リバウンドの問題
薬を使用したダイエットが終了した後、元の食生活や運動習慣に戻ると、体重が再び増加する可能性があります。 - 費用が高い
運動や食事制限に比べて、診察代や処方代などの費用がかかり、経済的な負担が大きくなる可能性があります。
以上が、薬を使用したダイエットのメリットとデメリットです。デメリットをなるべく防ぐためにも、薬を利用する際には、医師の指導の下で安全に使用することが重要といえます。
市販のダイエットサプリとはどう違う?
では、市販のいわゆるダイエットサプリと医薬品は、違うのでしょうか?
- 成分
市販のダイエットサプリメントは、天然由来の成分や栄養素を主成分として含むものが一般的です。一方、医薬品は、効果を持つ有効成分が厳密に規定されており、しばしば合成化学物質で構成されています。 - 効果の証明
医薬品は、厳格な臨床試験によって、その効果と安全性の科学的な証明が求められます。一方、市販のダイエットサプリメントは、「食品」に分類され、製品自体に効果または安全性の証明は求められません。製造元が、自己申告でその効果を主張するものといえます。 - 処方が必要
医薬品のうち、医師が使用を判断する医療用医薬品については、医師からの処方が必要です。一方、市販のダイエットサプリメントは、一般的には処方箋なしで購入することができます。 - 副作用のリスク
医薬品は、その効果とともに副作用を引き起こす可能性があります。一方、市販のダイエットサプリメントは、副作用のリスクは比較的低いと考えられています。ただし、すべてのサプリメントに副作用のリスクがないわけではありません。
まとめると、医薬品は効果と安全性が証明されており、そのうち、医療用医薬品は医師の指導の下で使用されるものです。一方、市販のダイエットサプリメントは、効果の証明度合いやリスクが医薬品と比べて小さく、また、個人の裁量で用いられるものといえます。したがって、市販のダイエットサプリメントを使用する際には、製品や効果の信頼性を十分に考慮することが重要です。また、医薬品とダイエットサプリメントを併用する場合は、必ず医師に相談するようにしましょう。
ダイエットに用いられる薬の種類
ダイエットに用いられる薬には、大きく分けて西洋薬と漢方薬があります。両者の違いをとらえることで、それぞれの特徴が見えてきます。
薬(西洋薬)と漢方薬の違い
ダイエットに使用される薬には、西洋医学に基づく西洋薬と、伝統的な中医学に基づく漢方薬の2つの一般的なカテゴリーがあります。以下にそれぞれの違いを説明します。
西洋薬
成分
西洋薬は通常、特定の有効成分(化学的な薬物)を含む薬剤です。これらの成分は化学的に合成され、研究と試験を経て承認されています。
作用機序(薬が作用を生むメカニズム)
西洋薬の作用機序は、一般的にある程度判明しています。例えば、食欲を抑制する、脂肪の吸収を阻害するなどの方法で体重減少を促進します。
臨床試験
西洋薬は、厳格な臨床試験を経て承認され、副作用や相互作用についての情報が入手しやすいものが多いです。
漢方薬
成分
漢方薬は、天然の植物、動物、ミネラルから作られる複数の成分を含むことが多く、独自の処方で混合されます。これらの成分は、伝統的な中医学の理論に基づいて処方されています。
作用機序
漢方薬の効果は、中医学のバランスと調和の理念に基づいており、体のエネルギー(気や血や水)の流れを調整することで、体重減少を促進すると考えられています。
ダイエットに使用する薬の選択は、個人の健康状態や好みによって異なってきます。西洋薬、漢方薬どちらのアプローチも利点と欠点がありますので、選択する前に医師の診察を受け、よく相談することが重要です。
ダイエットに使用される主な薬(西洋薬)
ダイエットに使用される主な薬は以下の通りです。
・食欲抑制剤
食欲を抑制する働きがあり、食欲を感じにくくすることで摂取カロリーを減らす効果が期待される薬です。例としては、マジンドール(サノレックス)などがあります。
・GLP-1受容体作動薬
GLP-1(腸管ホルモン)を模倣して作用する薬で、食欲抑制効果や血糖コントロール効果があります。また、食事後の膵臓からのインスリン分泌も増加します。代表的なものにはリラグルチド(ビクトーザ、サクセンダ)やセマグルチド(リベルサス、オゼンピック)などがあります。
・リパーゼ阻害薬
リパーゼという脂肪の分解酵素を阻害し、脂肪の吸収を抑える効果があります。代表的なものとしてオルリスタット(ゼニカル)があります。
・SGLT阻害薬
SGLTという、腎臓の尿管細胞に存在しブドウ糖を腎臓から再吸収する酵素を、阻害する効果がある薬です。結果として、尿中にブドウ糖が排出され、減量効果が期待できます。エンパグリフロジン(ジャディアンス)やカナグリフロジン(カナグル)などが一般的です。
ダイエットに使用される主な漢方薬
ダイエットに使用される代表的な漢方薬は以下の通りです。
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
体内の湿気や熱を除去し、消化不良や便秘といった症状の改善を目指す漢方薬です。体内のバランスを整えることで、体重のコントロールをサポートします。
・大柴胡湯(だいさいことう)
胃腸の働きを促進し、消化不良や脂肪の代謝をサポートする漢方薬です。また、気分の落ち込みやイライラなどの精神的な不調を改善する効果もあります。
・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
体内の水分代謝を促進し、水分の停滞や浮腫を改善します。また、免疫力を高める効果もあり、体内の代謝を活発化させることでダイエットをサポートします。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
ストレスや疲労による不眠や消化不良、気分の落ち込みなどの症状を改善する漢方薬です。体内のバランスを整えることで、ダイエットにおける心身のストレスを軽減する効果が期待されます。
ダイエット薬を通販で購入しても大丈夫?
ダイエットに医療用医薬品を使用する場合、本来は医療機関で処方を受け、医師の指導のもとで使用しなければなりません。医薬品の個人輸入代行の通販サイト等を通じて、薬を適切に処方する資格や知識を持つ医師の判断を経ずに、薬を購入できる場合がありますが、薬の誤った使用や、偽造・不正な商品のリスクがあるため、個人輸入代行を安易に利用することはお勧めいたしません。
安全かつ適切なダイエットのためには、まずは医療機関を受診し、医師や専門家に相談することをおすすめします。
正しい理解と適切な診察のもとで医療ダイエットを行おう
薬を利用したダイエットについて解説してきました。医薬品をダイエットに使用する場合は、そのメリットとデメリットをよく理解し、医師の指導のもと適切に使用することが大切です。正しい理解と適切な診察の下で、ダイエットを進めてください。
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