マンジャロはどんな薬? ダイエット効果と安全性について解説
昨今、糖尿病治療薬は血糖降下作用に加えて、体重減少効果も期待されてきました。最近開発された糖尿病治療薬の中には、体重減少効果が大きいものも多く、肥満症治療薬として開発されているものもいくつかあります。今回、紹介するマンジャロもそのひとつです。
この記事では、メディカルダイエットにおけるマンジャロの効果や安全性について解説します。
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マンジャロってどんな薬?
マンジャロ(チルゼパチド)は、「GIP/GLP-1受容体作動薬」というタイプの糖尿病治療薬です。米国では2022年5月に、日本では2022年9月に「2型糖尿病」を効能・効果として承認されました。
マンジャロには、主に体内のインスリン分泌を調整する働きがあり、食欲減少や満腹感などにも影響することで、体重減少効果をもたらします。GIP/GLP-1受容体については、後ほど詳しく説明します。
肥満症治療薬としても開発中
食欲抑制や満腹感の持続といったダイエットにも役立つ効果が着目され、肥満症治療薬としても開発が進められました。アメリカでは、2023年11月から肥満症治療薬として、Zepboundという製品名で発売されています。
日本でも肥満症治療薬としての開発が進められ、まもなく「ゼップバウンド」という製品名で販売される予定になっています(2024年12月現在)。ただし、肥満症の治療ではなく、ダイエットを目的とする場合は自由診療となります。自由診療においては、同一成分のマンジャロが引き続き処方されます。
マンジャロのダイエット効果は?
メディカルダイエットで使われる薬には、いくつか種類があります。その中でも、マンジャロはGIP/GLP-1受容体作動薬と呼ばれるタイプの薬です。リベルサスやオゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬とは異なり、GIP受容体にも作用するため、より高い効果が期待できます。
マンジャロの体重減少メカニズム
マンジャロは、食事をしたときにインスリンの分泌調整を行う生体内物質「GLP-1」「GIP」と同様の働きをします。このような物質は総称してインクレチンと呼ばれており、インスリンの分泌だけではなく、食欲や消化管の動き、脂肪の分解や代謝の調節も行うことが明らかになっています。
マンジャロは、GLP-1・GIPと同様に膵臓に働いて血糖を分解するほか、
- 脳に働き、食欲を減退させる
- 消化管の動きを抑える。また、胃の内容物が胃から出ていく時間を遅らせて、満腹感を持続させる
- 脂肪の分解を増やし、脂肪の生成を減らすことにより、脂肪を減らす
- 代謝を上げてエネルギー消費を増加させる
といった作用により、体重を減少させます。
体重減少効果は?
マンジャロの体重減少効果については、肥満症の人に対する臨床試験で効果が認められています。
平均体重100kg超、BMI27以上の人を対象に、マンジャロ(5mg、10mgまたは15mg)を使用した臨床試験では、72週間で約15〜20%の体重減少が認められました。これは食事と運動のみでダイエットをした場合の約5〜7倍の減量効果に相当します。また、体脂肪量は30%以上減少しました。
マンジャロは減量に成功した人が続けて使用しても、さらなる効果が期待できます。マンジャロ(10mgまたは15mg)を9カ月使用して約20%減量した人(平均BMI30、平均体重85kg)が、引き続き1年間マンジャロを使用した結果、減量した体重からさらに5%以上体重が減少しました。
マンジャロは週1回の注射により効果を発揮します。2.5mgから開始し、少しずつ量を増やしていくのが一般的な使用方法です。
マンジャロの安全性は? 使えない人は?
マンジャロを用いたメディカルダイエットは効果的ですが、薬である以上、副作用が生じる可能性があります。ただし、多くの副作用は早期に発見すれば対処可能です。そのため、使用にあたっては、副作用の種類と内容を正しく知っておくことが大切です。
マンジャロの副作用
マンジャロの主な副作用として、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退などが報告されています。マンジャロを初めて使用するときや、投与量を増やしたときに起こりやすくなります。徐々に収まることがほとんどですが、長引く場合は医師にご相談ください。
吐き気があるときは、脂っこい食事を避け、1回あたりの食事量を減らしてみましょう。
主な副作用とは別に、重大な副作用が発生することがあります。これらの重大な副作用は、初期の症状を素早くキャッチし、薬の使用を中止した上で、ただちに医師に相談する必要があります。
マンジャロを使えない人
重度の胃腸障害、糖尿病や膵炎、低血糖を起こす可能性がある人などは、マンジャロを使うにあたって注意が必要です。
また、妊娠中のマンジャロの使用は、おなかの赤ちゃんに影響が出る可能性があることが動物実験でわかっています。妊娠、またはその予定がある人は医師に申し出るようにしてください。また、マンジャロを使用している間や使用を終了して1カ月間は避妊するようにしましょう。
使用にあたり、気を付けたい点がもうひとつあります。安全にメディカルダイエットを行うため、多くのクリニックではマンジャロを処方する際に体重基準を設けています。体重基準を設けていないクリニックでの処方は、思わぬ副作用などで健康を害する恐れがあるため、避けるようにしましょう。
マンジャロとオゼンピック、どちらがおすすめ?
マンジャロと同じような作用メカニズムを持つ薬として、オゼンピックがあります。オゼンピックはGLP-1受容体作動薬と呼ばれるタイプの薬であり、GLP-1と同じ働きをする部分はマンジャロと同じです。ここではオゼンピックと比較しながら、マンジャロのおすすめポイントについて紹介します。
効果重視ならばマンジャロ
糖尿病ではない肥満症患者を対象とした研究において、マンジャロはオゼンピックよりも強い体重減少効果を示しています。また、ウエスト減少効果においてもマンジャロの方が優れていることが確認されています。
- 体重減少効果:オゼンピック−12.9%、マンジャロ−19.2%
- ウエスト減少効果:オゼンピック−9.7cm、マンジャロ−14.6cm ※1
※1 オゼンピック2.4mg、マンジャロ10mgまたは15mg
また、マンジャロは、オゼンピックより体重減少効果があらわれる人が多いことも明らかになっています。
- 5%以上体重が減った人:オゼンピックの1.76倍
- 10%以上体重が減った人:オゼンピックの2.54倍
- 15%以上体重が減った人:オゼンピックの3.24倍 ※2
※2 標準的な用量:オゼンピック0.5mg、マンジャロ5mg
さらに糖尿病患者で調べた結果ですが、マンジャロの方がより早くから効果が認められることがわかりました。
マンジャロはこんな人におすすめ
上記の結果からマンジャロは、
- リベルサス、オゼンピックなどの他のGLP-1受容体作動薬でダイエット効果が実感できなかった人
- できるかぎり早めに効果を出したい人
におすすめできます。まずは低用量(2.5mg)から開始し、副作用を最小限に抑えつつ、段階的に用量を増やすのがおすすめです。
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よくある質問
マンジャロに関するよくある質問をまとめました。
Q.リベルサスやオゼンピックより副作用が強い?
A.重大な有害事象または副作用に関して、発現しやすさに差はないといわれています。
ただし、効果が強いので、痩せすぎてしまう危険性があります。医師から指示された使用方法を守ることが大切です。量を増やしたいときは自分で勝手に増やさず、必ず医師に相談しましょう。
Q.クリニック以外でも購入できる?
A.メディカルダイエット目的での使用は保険適用外のため、クリニックで自由診療により処方してもらうのが一般的です。医師の診察なしで販売しているインターネットサイトは違法行為にあたります。決してそのようなところから購入しないようにしましょう。
制度上、個人輸入は可能ではあるものの、手続きが煩雑です。また偽物の可能性があり、健康被害を引き起こす危険性もあります。個人輸入代行業者からの購入も同様です。
友人・知人から譲り受けるのも違法です。医師の診察を受けていないため、思わぬ副作用が起こる可能性もあります。
まとめ
マンジャロは優れた体重減少効果が期待できる薬ですが、安全に減量目標を達成するには、医師の診断・指示のもと、使用法や使用量をしっかりと守ることが大切です。また、マンジャロの効果を最大限引き出すために、適切な食事療法や運動もあわせて行いましょう。
もし副作用が気になる場合は、すぐに受診してください。体調など安全に注意しながら、より効果的なダイエットを実現しましょう。
出典
医薬品インタビューフォーム「マンジャロ®皮下注2.5 mg アテオス®」2024年8月改訂(第6版)
日本イーライリリー・田辺三菱製薬:プレスリリース「肥満症に対するチルゼパチド 承認申請および日本における販売提携のお知らせ」(2024年5月8日)
Ruocco C, Malavazos AE, Ragni M, Carruba MO, Valerio A, Iacobellis G, Nisoli E. Amino acids contribute to adaptive thermogenesis. New insights into the mechanisms of action of recent drugs for metabolic disorders are emerging. Pharmacol Res. 2023 Sep;195:106892. doi: 10.1016/j.phrs.2023.106892. Epub 2023 Aug 22. PMID: 37619907.
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Zepbound® (tirzepatide) Injection for Adults with Obesity or Excess Weight
マンジャロ皮下注5mgアテオスくすりのしおり,2024年9月改訂
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