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GLP-1ダイエット、飲み薬と注射どっちがいい?

2024/10/30
監修:辛島 史憲

最近、話題のGLP-1ダイエット。薬を使ったダイエットであることは知っていても、「なぜ薬でダイエットできるの?」「安全性は?」といった疑問があるかと思います。特に、飲み薬の「リベルサス」と注射薬の「オゼンピック」は、どちらが効くのか気になりますよね。

結論からいうと、リベルサスとオゼンピックは同じ有効成分で、効果もほぼ同じです。今回は、GLP-1ダイエットで使われる薬のメカニズム、飲み薬と注射薬の違いについて詳しく解説します。

そもそも「GLP-1ダイエット」のGLP-1って何?

「GLP-1」は私たちの体内にある消化管ホルモンです。GLP-1は食後に腸から分泌され、血糖値を下げたり、食欲を抑えたりといった働きをしています。

なかでも血糖値を下げる働きが注目され、GLP-1によく似た働きをする物質が糖尿病治療薬として開発されました。

「GLP-1ダイエット」では、糖尿病治療薬としても使われており、GLP-1とよく似た働きをするGLP-1受容体作動薬というお薬が使われています。受容体とは、GLP-1が働くためのスイッチ、作動薬は同じ働きをする薬という意味です。

肥満症治療薬として認可されたGLP-1受容体作動薬を解説!

ここからはGLP-1ダイエットに使われるGLP-1受容体作動薬について解説していきます。

抗肥満薬(ダイエット薬)として開発された理由

糖尿病治療薬として開発されたGLP-1受容体作動薬でしたが、開発中から投与された患者さんの多くで体重の減少が確認されました。

GLP-1受容体作動薬によって体重が減る現象について調べたところ、以下のような効果があることがわかりました。

  • 食欲や空腹感を抑える
  • 胃腸の働きを抑えて満腹感を得やすくなる
  • 高カロリー食(脂っこい食べ物)を好まなくなる(嗜好の変化)

この効果に着目し、GLP-1受容体作動薬の開発が進められ、現在、アメリカでは2つのGLP-1受容体作動薬が抗肥満薬として使われています。

GLP-1受容体作動薬「リベルサス」と「オゼンピック」

日本でGLP-1ダイエットに使われているGLP-1受容体作動薬の中には、リベルサスとオゼンピックがあります。ともにセマグルチドを有効成分とするGLP-1受容体作動薬です。

セマグルチドはアメリカで抗肥満薬として使われているGLP-1受容体作動薬の一つであり、日本でも注射薬が抗肥満薬(肥満症治療薬)として使用できるようになりました。

ただし、日本で抗肥満薬としてのセマグルチドを使用できる病院は限られており、かつ肥満により健康障害が出ていると診断された人のみしか使えません。そのため、GLP-1ダイエットでセマグルチドを使う場合は、糖尿病治療薬として販売されているリベルサス、またはオゼンピックが自由診療で使われます。

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リベルサスとオゼンピック、どちらがいいの?

リベルサスとオゼンピックの有効成分はともにセマグルチドですが、

  • リベルサスは1日1回の飲み薬
  • オゼンピックは週1回の注射薬

といった違いがあります。

では、リベルサスとオゼンピックのどちらがよく効くのでしょうか。セマグルチドの飲み薬を開発中のNovo Nordisk社は、「飲み薬と注射薬の効果は同じである」と発表しています。

そのため、飲み薬と注射薬のどちらを使うかについては、続けやすさやご自分の好みで選ぶとよいでしょう。

注射が苦手なら:「リベルサス」

注射が苦手な人や長期に家を空けることが多いなど、注射薬を持ち運べないような人は飲み薬のリベルサスが向いています。

ただし、

  • 空腹時に飲むこと
  • 飲んだ後30分は飲食してはいけない

といった点に注意しながら、毎日の服用が必要です。

薬を毎日飲むのが面倒なら:週1回注射の「オゼンピック」

一方で注射が苦手ではない、毎日服用するのが煩わしいと感じる人は注射薬のオゼンピックがおすすめです。オゼンピックは皮下注射で、針の長さは短く直径もかなり細くなっており、痛みを感じることはほとんどありません。また、週1回の注射でよいのも便利な点です。

注意点として、オゼンピックは冷蔵庫での保存が求められます。また、皮膚を消毒するための器具や注射針なども必要です。

GLP-1受容体作動薬が使えない人・向いていない人

では、リベルサスやオゼンピックが使えない、向いていないのはどのようなケースでしょうか。それぞれ詳しく解説します。

使えない人

糖尿病の治療を受けている人は、ダイエット目的での使用はできません。

また、妊娠している人や2カ月以内に妊娠予定の人も、お腹の赤ちゃんに影響する可能性があるため使用できません。

以下に該当する人は使えないわけではありませんが、使用前に医師に相談しましょう。

  • 膵炎(すいえん)になったことがある人
  • 低血糖を起こしやすい人
  • 重度の胃腸障害がある人
  • 胃を摘出した人 など

向いていない人

特に向いていないという人はいません。しかし、副作用として吐き気や下痢が比較的多くの人にあらわれます。副作用は一時的ではあるものの、どうしても気になる場合はやめておいた方がいいかもしれません。

また、GLP-1受容体作動薬を使うことにより、脂っこいものが苦手になるなど、食べ物の好みの変化が報告されています。食べることが人生の楽しみと考えている人はつらいかもしれません。

よくある質問

Q.食べ過ぎた日にだけ飲めばいい? 食事を思いきり楽しみたいときは休薬してもいい?

A.飲み薬のリベルサスは1日1回投与なので、1日だけの休薬は可能ですが、休薬で食欲がすぐに戻るなどのデータはありません。

注射薬のオゼンピックは週1回投与のため、食べ過ぎた日だけ使ったり、休薬したりすることはできません。

Q.どれくらい続けたらリバウンドしにくい?

A.減量を目的としてセマグルチドを15ヵ月使用していた人が使用を中止したところ、1年間で減った分の2/3の体重が戻り、その後体重が増え続けたという報告があります。

リバウンドを防ぐためには、GLP-1ダイエットを継続するか、GLP-1受容体作動薬を使っていたときの食事量を続けていくことが必要です。

Q.食事制限・運動なしで本当に痩せる?

A.リベルサスやオゼンピックを使用すると、食欲が低下したり、空腹感が抑えられたりします。食事制限するのと同様の効果が得られることになり、体重が減る可能性は高くなります。ただし、確実に減量するためには、無理のない範囲での食事制限と運動が大切です。

Q.SNSでリベルサスを安く譲ってもらった。 飲んでも問題ない?

A.お金を支払い、薬を譲ってもらうのは違法行為の可能性があります。また、出所がわからない薬は偽物である恐れもあります。信頼できるクリニックで、医師の診断を受けて処方してもらいましょう。

まとめ

GLP-1ダイエットで使われるリベルサス、オゼンピックはどちらも有効成分は「セマグルチド」で、効果もほぼ同じです。

今回の記事を参考に、ご自分の好みやライフスタイルにあった方を選んでみてください。肥満に悩んでいる人は医師に相談してみましょう。

出典

GLP-1 受容体作動薬(リベルサス・オゼンピック)について

◆未承認医薬品等(異なる目的での使用)
本診療科目に用いるリベルサス・オゼンピックは、2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に承認されています。肥満治療目的での処方は国内で承認されていません。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
◆入手経路等
提携クリニックで処方するリベルサス・オゼンピックは、国内医薬品販売代理店経由で購入しています。
◆国内の承認医薬品等の有無
リベルサス・オゼンピックと同成分(セマグルチド)の注射製剤が、肥満症の治療薬として国内で承認されています。
◆諸外国における安全性等に係る情報
アメリカ食品医薬品局(FDA)において2型糖尿病治療薬として承認されています。

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