スキンケアに関する医薬品について
スキンケアに関しては、どこでも手に入る洗顔剤や保湿クリーム、化粧品などで行う方が多いと思います。
しかし、最近では医療機関で処方される「医薬品」を用いて、医学的により効果があるスキンケアをおこなう「メディカルスキンケア」という考え方も浸透し始めています。
この記事では「メディカルスキンケア」で用いられる医薬品と改善可能な肌トラブルについて詳しく説明していきます。
メディカルスキンケアで改善可能な肌トラブル
シミ
シミはメラニン色素が皮膚に沈着して起こります。原因によりいくつかの種類があり、紫外線を浴びることにより起こる「老人性色素斑(日光性色素斑)」や、女性ホルモンのバランスの乱れによって生じる「肝斑(かんぱん)」などが代表的なシミの原因です。
治療にはビタミン剤やトラネキサム酸の内服、ハイドロキノン配合の外用薬のほか、レーザー治療やピーリング、フォトフェイシャル(光治療)などが行われます。
ニキビ
ニキビは、皮脂が過剰に分泌され、毛穴がつまることによって、皮膚の常在菌であるアクネ菌が増殖して炎症を起こし、赤いぶつぶつしたニキビや膿がたまったニキビとなります。思春期に多く見られますが、大人になってからも起こることがあり「思春期後ざ瘡」と呼ばれます。
ニキビの治療法としては、アダパレンや過酸化ベンゾイルの外用により毛穴のつまりを改善したり、炎症を起こしているアクネ菌を抗生物質の内服や外用により殺菌したります。
毛穴ケア
黒く目立つ毛穴や開いた毛穴は、皮脂の過剰分泌や乾燥、加齢が原因で起こります。
フラクショナルレーザーやダーマペンといった医療機器による治療のほか、ビタミンAの誘導体であるトレチノイン外用薬により皮膚のターンオーバーを促進して、毛穴を目立たなくすることができます。
シワ
シワは紫外線や加齢、乾燥により皮膚の内側の真皮内のコラーゲンやエラスチンが減少・変性されて皮膚から弾力やハリを奪うことで生じます。
ヒアルロン酸注射やボトックス注射などのほか、毛穴ケアでも登場したビタミンA誘導体のトレチノイン外用薬により皮膚のターンオーバーを活性化し、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。ビタミンCの摂取もコラーゲンの生成を促進するため、シワの予防に有効です。
メディカルスキンケアにおける内服薬
メディカルスキンケアでは、ビタミンB群やビタミンCといったビタミン類やトラネキサム酸など様々な内服薬がシミやシワ、毛穴の治療薬として利用されています。
ビタミンC
ビタミンCはアスコルビン酸とも呼ばれ、スキンケアに様々な効果があるビタミンです。皮膚のターンオーバーや肌のコラーゲンの合成を促進し、肌にダメージを与える活性酸素の働きを抑える抗酸化作用を持っており、目立つ毛穴やシワの予防・改善に効果があります。さらに、シミの原因となるメラニン色素の生成を抑制したり、メラニン色素の色を薄くする効果も持っています。
ビタミンCは食事からも摂取できますが、ビタミンCの働きを高める効果があるとされるパントテン酸(ビタミンB5)を配合した内服薬もあり、ビタミンCを効果的に取り入れることができます。また、ローションやクリームなどで直接肌に塗布することで効果的に皮膚に浸透させることもできます。
ビタミンB群
ビタミンBは全部で8種類あり、その中でもスキンケアに重要な役割を果たしているのはビタミンB2、ビタミンB6です。ビタミンB2はリボフラビンとも呼ばれ、皮脂のバランスを調整したり、皮膚のターンオーバーを促進することで肌荒れやニキビに効果があります。ビタミンB6もビタミンB2と同様に皮膚のターンオーバーを促進して皮膚の健康維持に役立ちます。
上で説明したビタミンB2、ビタミンB6の他に、ビタミンB1、ビタミンB12をバランスよく含んだ配合薬を内服することで効率よく摂取することができます。
ビタミンE
ビタミンEは、強い抗酸化作用を持つため、皮膚へダメージを与える活性酸素の働きを抑制して皮膚を健康に保ちます。また、血行を促進する作用も持ち、皮膚の新陳代謝を高めてメラニン色素の排出を促すため、シミの改善効果があります。
ビタミンEは卵やうなぎ、かぼちゃなどの食品に多く含まれているほか、内服薬で摂取することもできます。
L-システイン
L-システインはアミノ酸の一つです。抗酸化作用を持ち、肌のダメージを抑えて皮膚のターンオーバーを促進することで、肌荒れやニキビなどの肌トラブルの改善に役立ちます。また、メラニン色素の産生を抑制する作用もあり、シミの改善にも効果があります。
内服薬があり、市販薬あるいは処方薬として入手することができます。
トラネキサム酸
トラネキサム酸は止血効果や抗炎症作用を持つため、止血剤や、上気道炎などに対する治療薬として幅広く利用されている薬剤です。さらに、メラニン色素の産生を抑える効果があることから、スキンケア領域でもシミの治療薬として利用されています。
抗生物質
アクネ菌が増殖し、炎症を起こすことで生じるニキビに対しては、抗生物質が用いられることがあります。よく用いられる内服薬には、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、ミノサイクリンなどがあります。外用薬としてはナジフロキサシンやクリンダマイシンなどがよく処方されます。
メディカルスキンケアにおける外用薬
内服薬だけでなく、皮膚に直接塗って効果のある外用薬もメディカルスキンケアではよく用いられています。
トレチノイン
トレチノインはビタミンAの誘導体で、食品から摂取できるビタミンAよりはるかに高い生理活性を持っています。トレチノインは皮膚のターンオーバーを促進する効果があり、皮膚の深い層にあるメラニン色素を排出する効果があります。また、皮脂腺に働き皮脂の分泌を抑えることでニキビの改善や毛穴の引きしめにも有効です。さらに、コラーゲンの産生を促進する働きもあり、シワの改善にも効果が期待できます。
胎児への催奇形性の可能性があり、妊娠の可能性のある方や妊娠中の方には使用できません。
ハイドロキノン
ハイドロキノンはシミの原因となるメラニン色素の産生を阻害する効果があり、シミ・ソバカスの治療に用いられます。上で紹介したトレチノインと組み合わせて使用することで、シミに対する効果をさらに高めることができ、トレチノイン・ハイドロキノン併用療法として知られています。
アダパレン
アダパレンはビタミンA誘導体に似た作用を持っており、毛穴のつまりの原因となる角化細胞の分化を抑えて毛穴のつまりを改善することで、ニキビに対して効果を示します。商品名はディフィリンゲルと言い、1日1回洗顔後に塗布して使用します。トレチノインと同様に、妊娠の可能性のある方や妊娠中の方には使用できません。
まとめ
スキンケアに関しては、医薬品を用いた「メディカルスキンケア」が最近注目を集めており、シミやシワ、ニキビなどの肌トラブルに効果のあるビタミン類やトラネキサム酸などの内服薬、トレチノイン・ハイドロキノン、アダパレンといった外用薬が利用されています。
医師や薬剤師と相談しながら、日常の化粧品や洗顔剤などによるスキンケア、医療機器による治療と組み合わせて自分の肌の状態に合った治療を見つけていきましょう。
参考資料
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