「ルセフィで痩せる」は本当? 副作用や注意点も紹介
2型糖尿病の治療薬「ルセフィ」は、ジャディアンスやフォシーガといった他の糖尿病治療薬と同様に、1日1回の服用で体重を減少させるという報告があります。近年、医師に相談しながらダイエット目的で使用されるケースも出てきました。
この記事では、ルセフィの作用メカニズムや臨床試験で確認された体重減少効果、服用時の注意点まで、わかりやすく解説します。
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ルセフィは本当に痩せる? データでみる効果と仕組み
ルセフィは、2014年に2型糖尿病の治療薬として発売されました。SGLT2(ナトリウム・グルコース共輸送体2)阻害薬として日本で開発された薬であり、尿中に体内の余分な糖を排出させて血糖値を下げる効果があります。2025年4月時点でジェネリック医薬品は登場しておらず、医師の管理下での使用が基本となっています。
では、ルセフィによる「痩せる効果」はどの程度期待できるのでしょうか。実際に行われた臨床試験の結果をみてみましょう。
臨床試験で明らかになった体重減少効果とは
糖尿病患者を対象とした臨床試験において、ルセフィの服用で体重が減少したことが確認されています。
この臨床試験では、日本人の2型糖尿病患者158人に対して、ルセフィ錠2.5mgを投与するグループ(治療完了は76人)と偽薬(プラセボ)を投与するグループ(治療完了は72人)に分け、治療全体を完了した148人において24週間(約6ヶ月)後の効果が比較されました。その結果、ルセフィを投与されたグループでは、血糖コントロールの改善に加えて、平均2.7kgの体重減少も確認されました。一方、プラセボ群では体重の変化はみられませんでした。
ルセフィの作用メカニズム
SGLT2阻害薬であるルセフィは、腎臓に存在するSGLT2というタンパク質に働きかけ、血液中にある余分な糖分を尿として体外に排泄させる作用を持つ薬です。
もともと糖尿病の人に使われる薬ですが、血糖値が正常な人でもこの作用はみられます。この仕組みによって、1日あたり約240kcal分の糖が尿に排出されるとされており、これが体重減少につながると考えられています。なお、この排出量(約240kcal/日)は糖尿病患者を対象としたデータに基づいており、血糖値が正常な人ではこれより少なくなる可能性があります。また、減った体重のうち約3分の2は脂肪の減少によるものとされています。
GLP-1との併用でさらに痩せる?
リベルサスやオゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬に加えてルセフィを用いた場合、より効果的な減量効果が期待されます。これはGLP-1受容体作動薬の食欲を抑えて体重を減らす作用に、ルセフィの作用が加わるためです。
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GLP-1ダイエットとの組み合わせに関しては、以下の記事もご覧ください。
GLP-1ダイエットを強化するSGLT2阻害薬、その効果は?
副作用や飲み方のポイントは? 使う前に知っておきたいこと
ルセフィによって体重減少効果を安全に得るためには、決められた服用方法を正しく守ることが重要です。
ルセフィは医薬品であり、安全性や副作用についても慎重な検討が行われています。自己判断での服用は避け、医師の指導のもとで服用しましょう。
ルセフィを服用できない方
ルセフィは、2型糖尿病の治療薬として以下の場合に使用禁忌とされています。
- 重症ケトーシスや糖尿病性昏睡または前昏睡の状態
- 手術前後や重症の感染症、外傷がある状態
- 成分に対して過敏反応の既往歴がある
- 重度の腎機能障害、透析中の末期腎不全の方
また、低血糖のリスクがある方ではルセフィの服用に際して注意が必要です。低血糖が起こる状態としては、具体的に以下のようなことが考えられます。
- 食事が不規則
- 食事量が足りない
- 断食や極端な低炭水化物食(糖質制限)を行っている
- 激しく筋肉を動かす運動を行う
- アルコールを過剰に摂取する
さらに、妊婦さんまたは妊娠している可能性がある女性、授乳中の女性には投与しないこととされています。
服用方法と注意点
ルセフィは、1日1回、朝食の前または後に服用します。飲み方がシンプルで、特別なタイミングや制限はありません。
たとえば、同じくメディカルダイエットに使われるGLP-1受容体作動薬・リベルサスは、起床後すぐ空腹状態で飲む必要があり、水の量やその後の飲食にも細かいルールがあります。それに比べてルセフィは、日常生活に取り入れやすいのが特徴です。
先ほど紹介した臨床試験でも、ルセフィは朝食前に服用されています。ダイエット効果を得るためにも、決められた服用方法を守ることが重要です。
また以下の薬を使用している場合は、服用を慎重に判断することとされています。
- 他の糖尿病治療薬
- 血糖値に影響を与える薬
- 高血圧の治療に使われる一部の利尿薬
GLP-1受容体作動薬やメトホルミンなどをダイエット目的で使用している場合も同様です。低血糖や副作用のリスクが高まる可能性があるため、併用する場合は必ず医師に相談しましょう。
主な副作用
ルセフィによる主な副作用として、低血糖が1.0%の頻度で報告されています。冷や汗が出る、手足がふるえるなどの症状が出た場合は、すぐに医師に相談しましょう。繰り返しになりますが、GLP-1受容体作動薬やメトホルミンなど他の糖尿病治療薬と併用する場合は、低血糖のリスクが高まるため注意が必要です。
また、食事を抜いたり、極端に炭水化物を制限したりすると、さらに低血糖を起こしやすくなることがあります。無理な食事制限は避け、バランスよく食べながら治療を続けることが大切です。
重大な副作用
重大な副作用として、低血糖の他に以下のようなものが報告されています。
- 脱水、腎盂腎炎など:0.1%
- 敗血症、ケトアシドーシス、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎炎(フルニエ壊疽):頻度不明
その他の副作用
また、その他の副作用としては以下のようなものが報告されています。
- 1~3%未満:膀胱炎、便秘、頻尿、血中ケトン体増加、尿中アルブミン陽性など
- 1%未満:性器カンジダ症、尿路感染、性器感染、赤血球増加症、体位性めまい、浮動性めまい、頭痛、低血圧、下痢、胃食道逆流性疾患、腹痛、腹部膨満、発疹、湿疹、多尿口渇、倦怠感など
- 1%未満:眠気、回転性めまい、悪心、嘔吐、腹部不快感、そう痒症、蕁麻疹、脱力感、空腹など
ルセフィを服用する際は医師の指示を守り、副作用が疑われる症状が起こった場合は、速やかに医療機関を受診してください。
ルセフィ服用時に注意が必要な副作用と対処法
- 低血糖:ブドウ糖を多く含む食品や飲料を摂取する
- 脱水:適切な水分補給を行う
- 尿路及び性器感染の症状悪化:トイレを我慢しない、陰部を清潔に保つ
ルセフィについてよくある質問
ルセフィを使ったダイエットについて、よくある質問をQ&A形式でまとめました。
Q.ルセフィだけで痩せられる?
A.食事や運動の見直しとあわせて使うのが基本です。ルセフィ単独ではなく、生活習慣と組み合わせることで、より効果が期待できます。先ほど紹介したルセフィの臨床試験でも、ルセフィを服用する前から一定の食事療法を行っている人を対象として実施されています。
ただし、不規則な食事や、食事量が不足しているなどの過度のダイエットは、ルセフィの副作用でもある低血糖のリスク要因となります。医師の指示のもと、生活習慣改善や服薬を続けましょう。
Q.ルセフィはどのぐらいで効果が出る?
A.効果のあらわれ方には個人差がありますが、先述の日本人の2型糖尿病患者に対する臨床試験では、ルセフィによる体重減少効果は服用を始めて2週間後から示されました。さらに、2週間を過ぎても半年後まで体重が減り続けていたと報告されています。
Q.ジャディアンスや他のSGLT2阻害薬とどう違うの?
A.SGLT2阻害薬は、名前が違っても基本的な作用機序は同じです。よって、ほぼ同じ種類の薬と考えて差し支えありません。
SGLT2阻害薬には、ルセフィの他にジャディアンスやフォシーガ、カナグルなどがあります。これらは腎臓に存在するSGLT2に作用し、血中の糖分を尿中に排泄することで血糖値を下げる糖尿病治療薬で大きな違いはありません。
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Q.リベルサスとどっちが痩せる?
A.現時点では「どちらが痩せる」と言い切ることはできませんが、リベルサスの方がダイエット効果が出やすい患者さんが多い印象です。参考までに、それぞれの臨床試験の結果をご紹介します。
日本人の2型糖尿病患者を対象に行われた臨床試験(PIONEER 9試験)では、リベルサスを52週間投与し、その効果が検証されました。この試験では、服用量に応じて3つのグループに分け、それぞれの体重変化が試験開始から26週後に比較されています。具体的には、3mgを服用した49人のグループでは平均0.5kg、7mgを服用した49人では1.0kg、14mgを服用した48人では2.4kgの体重減少が報告されました。
一方、ルセフィ錠2.5mgの臨床試験では、標準的な食事療法および運動療法の指導を受けた日本人の2型糖尿病患者に対して、24週間の投与で平均2.7kgの体重減少が確認されています。
ただし、試験の条件や期間が異なるため、数値だけをみて直接比較することはできません。使用する薬の種類は、医師とよく相談して判断しましょう。
ルセフィを使ったダイエットを成功させるには
ルセフィは、もともと糖尿病治療のために開発されたSGLT2阻害薬ですが、体重の減少効果が注目され、ダイエット目的での使用を検討する方も増えています。臨床試験では24週間の服用で平均2.7kgの体重減少効果が確認されており、効果は服用開始から2週間後にはあらわれ始めたとされています。
体重減少効果をしっかりと引き出すには、安全性の面からも決められた服用方法を正しく守ることがポイントです。あわせて、バランスの取れた食事や適度な運動もダイエットの基本となります。薬だけに頼るのではなく、生活習慣の見直しと組み合わせることが大切です。
ルセフィを使ったダイエットを検討している方は、オンライン診療も活用しながら、必ず医師に相談して進めましょう。適切なサポートを受けながら、自分に合った方法をみつけていくことをおすすめします。
出典
Seino Y et al. : Curr Med Res Opin 2014; 30(7): 1245-1255
佐藤吉彦 : 信州医誌 2015; 63(1): 9-18
Seino Y et al. : J Diabetes Investig 2018; 9(2): 332-340
Yamada Y et al. : Lancet Diabetes Endocrinol 2020; 8(5): 377-391
ルセフィ錠 添付文書
ルセフィ錠 インタビューフォーム
ジャディアンス錠 添付文書
フォシーガ錠 添付文書
カナグル錠 添付文書
DMMオンラインクリニックのメディカルダイエット薬
※DMMオンラインクリニックはオンライン診療プラットフォームサービスです。診療は提携先医療機関が行います。
ルセフィについて
◆未承認医薬品等(異なる目的での使用)
本診療科目に用いるルセフィは、2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に承認されています。肥満治療目的での処方は国内で承認されていません。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
◆入手経路等
提携クリニックで処方するルセフィは、国内医薬品販売代理店経由で購入しています。
◆国内の承認医薬品等の有無
国内において肥満症治療薬として承認されている同一成分の医薬品はありません。
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