新型コロナ感染でEDに？ 後遺症リスクと対策

最初に、新型コロナウイルス感染症の後遺症とはどういうものなのか、押さえておきましょう。

厚生労働省によると、感染後に検査で陰性になった後も続く症状や、新たに出現する症状を罹患後症状、いわゆる「後遺症」と定義しています。

代表的な後遺症は、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰（たん）、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下などです。これらの後遺症は、時間の経過と共に回復するケースが多いと報告されています。

新型コロナウイルス感染後にEDになるリスクが高まることが研究で示されており、EDも新型コロナウイルス感染症の後遺症だと考えられています。

新型コロナウイルス感染症後にEDになりやすい理由として、血管内皮機能障害や性腺機能低下（男性ホルモンの低下）、精神的ストレスが原因となる可能性が示唆されています。

血管内皮機能障害とは、血管の一番内側にある内皮細胞が傷ついて機能が低下した状態です。新型コロナウイルスによって血管が傷ついた結果、勃起に必要な血流に影響し、EDを引き起こすと考えられています。

それでは、新型コロナウイルスワクチン接種によってEDになる可能性はあるのでしょうか。

2021年にアメリカで行われた調査では、新型コロナウイルスワクチン接種はEDになるリスクと無関係でした。また、現在のところ精子の量や濃度、運動性などに影響するという報告はありません（2025年2月時点）。

まず、生活習慣を見直してみましょう。バランスの取れた食事や禁煙、お酒を控えるといったことや十分な睡眠が大切です。また、ストレスをあまりためないようにしましょう。

運動は、ウォーキングなどの有酸素運動のほか、ケーゲル体操と呼ばれる骨盤底筋を鍛える体操がED改善に効果的であるといわれています。

生活習慣を見直してもEDが改善しなかった場合は、ED治療薬を試してみるのも有効です。ED治療薬は血管の拡張を妨げるPDE5という物質の働きを抑制し、勃起に必要な陰茎（ペニス）の血流を増やすことによって効果を発揮します。

ED治療薬の処方には医師の診察が必要ですが、オンライン診療を利用することも可能です。また、ED治療薬は、製品によって効果があらわれる早さや持続時間が異なります。医師と相談しながら目的やライフスタイルに合わせたものを選びましょう。

その他の治療法として、心理カウンセリング、漢方薬などのED治療薬以外の薬、男性ホルモン補充療法、陰茎形成術、血管手術などがあります。

A.影響する可能性があります。新型コロナウイルスの感染に関係する生体内物質が精巣内の細胞で作られることから、新型コロナウイルスによる精巣細胞の破壊、それに伴った男性ホルモン減少の可能性が指摘されています。

A.新型コロナウイルスワクチンとED治療薬の同時使用自体は、特に問題ありません。

しかし、ワクチン接種後に体調が変化する人もいます。ED治療薬を使ったとしても性行為を十分に楽しめない可能性がありますので、新型コロナウイルスワクチンの接種後は控えた方がよいでしょう。

A.新型コロナウイルス治療薬の副作用として、勃起障害は報告されていません。よって、新型コロナウイルス感染症治療薬が原因でEDになる可能性はないものと考えられます。

A.一緒に飲むのはやめておきましょう。新型コロナウイルス感染症治療薬の中には、他の薬との同時使用で薬の効き目が変わったり、副作用があらわれやすい薬があったりするためです。

ED治療薬の中には効果持続時間が長いものもあります。新型コロナウイルス感染症の治療のために薬を勧められた際、ED治療薬を飲んでいる場合は必ず医師に伝えるようにしましょう。